SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

ComponentZine(ActiveReports)(AD)

帳票アプリを主要クラウド上にデプロイして公開しよう──ActiveReports for .NETの活用例

帳票開発コンポーネント「ActiveReports for .NET」の活用術 第2回

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Microsoft Azure仮想マシン環境での公開

 最後に、Microsoft Azure仮想マシン環境に帳票アプリをデプロイし、公開する手順を紹介します。

公開環境を構築する

 Azureの利用には、MicrosoftアカウントかGitHubアカウントが必要です。いずれのアカウントも持っていない場合は、あらかじめ作成しておきます。筆者は、Microsoftアカウントを使用しました。「Azure の無料アカウントを今すぐ作成する」にアクセスし、[無料で始める]からサインアップを済ませます。

 Azureポータル「ホーム」にアクセスします。サインアップ直後に誘導されると「クイックスタートセンター」にアクセスしますが、ここではAzureポータルに直接アクセスしたとして説明を進めます。

 「Azureサービス」にある[Virtual Machines]にマウスポインタを乗せると、「Virtual Machines」がポップアップするので、[+作成]をクリックします。表示されるドロップダウンから、[Azure仮想マシン]をクリックすると「仮想マシンの作成」ページになるので、ここで仮想マシンの仕様を決定していきます。基本的には、文字通り「基本」タブの設定だけで済むので、他のタブの項目は既定値のままでかまいません(図16)。

図16:Azure仮想マシンを作成
図16:Azure仮想マシンを作成

 「プロジェクトの詳細」セクションで、サブスクリプションとリソースグループを設定します。サブスクリプションは既定の「Azure subscription 1」のままで、リソースグループは新規に作成します。[新規作成]リンクをクリックして、リソースグループ名を指定します。ここでは、「ResourceGroup」としました。

 「インスタンスの詳細」セクションで、仮想マシンの名前などを設定します。[仮想マシン名]に、仮想マシンの名前を設定します。ここでは、「ActiveReportsServer」としました。[地域]は既定から「(Asia Pacific) Japan East」に変更します。[イメージ]は「Ubuntu Server 22.04 LTS - 64 Gen2(利用可能な無料サービス)」に変更します。その他の項目は既定値で構いません。[サイズ]は「Standard_D2s_v3 - 2 vcpu 数、8 GiBのメモリ($94.17/月)」のままとしておきますが、上の表示にもあるように無料試用期間中であれば課金されません(図17)。

図17:「プロジェクトの詳細」と「インスタンスの詳細」
図17:「プロジェクトの詳細」と「インスタンスの詳細」

 「管理者アカウント」セクションで、ログインの方法やユーザ名などを設定します。これらの項目は自動生成される既定値で構いません。[認証の種類]は「SSH公開キー」となっていること、[ユーザー名][キーの組名]の内容を確認してください。

 「受信ポートの規則」セクションで、外部からアクセス可能なサービス(ポート)を設定します。[パブリック受信ポート]が「選択したポートを許可する」となっていることを確認し、[受信ポートを選択]をプルダウンして「HTTP(80)」と「HTTPS(443)」にチェックを入れます。ここまで設定したら、[確認および作成]をクリックします(図18)。

図18:「管理者アカウント」と「受信ポートの規則」
図18:「管理者アカウント」と「受信ポートの規則」

 「検証に成功しました」と表示されて、「Price」セクションに課金の見積り、「基本」セクションなどに設定内容が表示されます。設定内容を確認して[作成]をクリックすると、「新しいキーの組の作成」ダイアログがポップアップするので、[秘密キーのダウンロードとリソースの作成]をクリックして、キーのファイルをダウンロードしてください。ファイルは、「管理者アカウント」セクションで指定したファイル名.pemでダウンロードされます。

 画面が切り替わり、「...デプロイが進行中です」としばらく表示されたあと、「デプロイが完了しました」と表示されれば仮想マシンの作成は成功です。[リソースに移動]をクリックすると、仮想マシンの詳細を確認したり、停止や再起動を行える画面となります(図19)。仮想マシンはすでに実行中です。

図19:仮想マシンの詳細
図19:仮想マシンの詳細

インスタンスへ接続してデプロイする

 続いて、インスタンスに接続して帳票アプリをデプロイしましょう。SSHにログインします。図19において[接続]をクリックすると、SSHで仮想マシンに接続できます。「Azure CLI を使用した SSH」ではAzureストレージの新規作成が必要になるなど多少面倒なので、ここではオーソドックスな「ネイティブSSH」を選択します。[選択]をクリックすると、「ネイティブ SSH」パネルが右サイドから現れるので、一通り内容を確認したあと、コマンドをコピーしてからWindowsの「ターミナル」を起動し、コマンドをペーストして実行します。

> ssh -i ActiveReportsServer_key.pem azureuser@aaa.bbb.ccc.ddd

 .NET 6のランタイムをインストールします。以下のコマンドを実行します。AzureのUbuntuではリポジトリが2種類あるので、このうちMicrosoftリポジトリを無効にしてから、Ubuntuリポジトリからパッケージをインストールする必要があります。

$ sudo apt remove 'dotnet*' 'aspnet*' 'netstandard*'
$ sudo rm /etc/apt/sources.list.d/microsoft-prod.list
$ sudo apt-get update
$ sudo apt-get install -y aspnetcore-runtime-6.0

 デプロイは、ターミナルに新しいタブを開いて、以下のscpコマンドで行います。キーペアファイルの場所、公開フォルダの場所、ホスト名は各自のものを指定してください。

> scp -r -i "ActiveReportsServer_key.pem" C:\Users\nao\source\nepos\JSViewerSample\JSViewerSample\bin\Release\net6.0\publish\* azureuser@aaa.bbb.ccc.ddd:/home/azureuser/app

 フォントをインストールします。IPAexフォントのみ使っている場合には、fonts-ipafontのインストールは不要です。

$ sudo apt install -y fonts-ipafont
$ sudo apt install -y fonts-ipaexfont

動作確認する

 帳票アプリを起動して、動作を確認しましょう。サーバの起動とWebブラウザからの接続はCompute Engineと全く同じなので、そちらを参照してください。図20のようにブラウザに帳票が表示されれば成功です。PDFへの書き出しも試してみてください。

図20:Azure仮想マシンで帳票アプリを実行
図20:Azure仮想マシンで帳票アプリを実行

まとめ

 今回は、ガバメントクラウド認定ベンダー3社のクラウド上にActiveReports for .NETを使用した帳票アプリケーションをデプロイする方法を紹介しました。ActiveReports for .NETではこのほか、Oracle Cloud Infrastructureにおいても同様にデプロイが可能です。デジタル庁が推進する「地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化」の取り組みにおいて、基幹業務などのアプリケーションをガバメントクラウド上に構築することが求められているので、本記事で紹介した方法を活用し、帳票アプリを作成してみてはいかがでしょうか。

この記事は参考になりましたか?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
ComponentZine(ActiveReports)連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

WINGSプロジェクト 山内 直(WINGSプロジェクト ヤマウチ ナオ)

WINGSプロジェクトについて> 有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS Twitter: @yyamada(公式)、@yyamada/wings(メンバーリスト) Facebook <個人紹介> WINGSプロジェクト所属のテクニカルライター。出版社を経てフリーランスとして独立。ライター、エディター、デベロッパー、講師業に従事。屋号は「たまデジ。」。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:グレープシティ株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/18445 2023/10/20 12:00

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング