SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

Women Developers Summit 2023 セッションレポート(AD)

freeeに学ぶ、言語や文化の壁を越えたグローバルチームの作り方──バックグラウンドの異なるメンバーと働くということ

【B-5】社会の進化を担う~私のキャリアとエンジニアリングにおけるD&Iの重要性~/Empowering Change: My Career and the Role of Diversity & Inclusion in Engineering

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

グローバルなチーム開発を成功に導くポイント──障害を「Happy」と捉える共通認識

 国をまたいだ開発を成功させるためのポイントについても事例で紹介。テジュ氏のチームが開発しているのは日本のアドバイザー向けの会計システムで、フィリピンでは利用できないためユーザーはいない。ではどのようにしてフィリピンのメンバーがドメイン知識を身につけ、そのプロダクトがユーザーに与える影響について把握しているのか。

 複数国にまたがる開発においては、「大前提としてコミュニケーションが確立されていることが重要になる」とテジュ氏は話す。幸いなことに開発の場面では、開発者同士は共通のコードで会話することができる。「コードを使った議論では、意見を共有しやすい」とテジュ氏。また意思疎通するためには、メンバー全員が協力し合う文化を醸成する必要もある。

グローバルなチーム開発を成功に導くポイント
グローバルなチーム開発を成功に導くポイント

 そしてユーザーのことをよりよく知るためにテジュ氏のチームが実施しているのが、継続的なフィードバックプロセスである。「フィードバックプロセスには2種類ある」とテジュ氏。一つは「業務が改善された」「こんなに早く届けてくれてありがとう」などのポジティブなフィードバック。そしてもう一つが「この機能は追加できますか」「この機能は私たちのニーズに合っていない」「エラーメッセージが表示される」などのネガティブなフィードバックである。このようなフィードバックはユーザーがプロダクトに何を期待しているのかを理解するのに役立つという。

 次に障害の原因について透明性を持つことも重要だという。「各エンジニアが直面している問題について、日頃からチーム内で共有しておくこと」とテジュ氏は指摘する。こうすることで他の人が同様の問題に直面したときに、スムーズに担当したエンジニアに話を聞くことができるからだ。freeeでは障害を「Happy」と呼んでおり、障害が起こっても前向きに明るく対処できるようにしているという。

 多様性のあるチームをうまく運営するため、心理的安全性を育むことにも取り組んでいる。「これはすべてのチームで実践されるべきことです。心理的安全性が担保されることで、メンバー全員が自分の強み、弱みを安心して共有し、成長することができます」(テジュ氏)

グローバルチームでプロダクト開発するメリットとは

 苦労はあるが、多様性のあるチームを作ることで得られる効果は複数ある。第一にプロダクトや日常の問題に対する革新的なアプローチが得られることだ。同じような考えを持つメンバーだけで構成されたチームでは、潜在的なバイアスがかかってしまうことがある。だが、異なる文化や人生経験を持った多様性のあるチームであれば、「潜在的なバイアスもなく、より良いゴールに向かって意見を出し合うことができる」とテジュ氏は言い切る。

 第二により良い市場洞察ができること。仮に日本人だけのチームの場合、全員が日本人のマインドセットを持っているため、ターゲットユーザーは日本のみに限定されてしまうという。しかし複数の国のメンバーが共に働く事で、世界の市場がどうなっているのか、他国ではそのプロダクトに関する問題にどのように取り組もうとしているのかなどについても共有できるようになる。「インターネットで得られる知識と思われるかもしれませんが、その国の経験者と直接議論しならが学ぶことができるのは有意義なことです」(テジュ氏)

 第三は優秀な人材が採用できること。freeeでは地域を限定することなくグローバル採用を実施している。「私のチームも多様かつ優秀なメンバーが集まっている。だからユーザーにとってより良いプロダクトが開発できていると思う」テジュ氏は最後にそうチームメンバーのことを話し、セッションを締めくくった。

12カ国のメンバーから成るグローバルチーム
12カ国のメンバーから成るグローバルチーム

この記事は参考になりましたか?

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
Women Developers Summit 2023 セッションレポート連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

中村 仁美(ナカムラ ヒトミ)

 大阪府出身。教育大学卒。大学時代は臨床心理学を専攻。大手化学メーカー、日経BP社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランス編集&ライターとして独立。現在はIT、キャリアというテーマを中心に活動中。IT記者会所属。趣味は読書、ドライブ、城探訪(日本の城)。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

CodeZineは、株式会社翔泳社が運営するソフトウェア開発者向けのWebメディアです。「デベロッパーの成長と課題解決に貢献するメディア」をコンセプトに、現場で役立つ最新情報を日々お届けします。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:freee株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/18697 2024/02/06 12:00

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング