IPA、「デジタル時代のスキル変革等に関する調査（2023年度）全体報告書」を発表

　情報処理推進機構（IPA）は、デジタル人材の動向調査として2018年度から進めている調査・研究の2023年度版である、「デジタル時代のスキル変革等に関する調査（2023年度）全体報告書」を7月22日に発表した。同調査は、事業会社の人事部門、情報システム部門、DX推進部門など1013社、20〜59歳の企業に所属するデジタル人材1210名、特定の企業に属さないデジタル人材（フリーランス）391名から回答を得ている。

　調査対象のうち企業に、DXを推進する人材の育成にあたっての課題（複数回答）を尋ねたところ、社員の「スキル向上・獲得へのマインドシフト」（48.3％）がもっとも多かった。

DXを推進する人材の育成にあたっての課題（企業調査）

　調査対象のうちデジタル人材に、自身の学びに対する状態を尋ねた質問では、「自律的な学びが習慣化されている」という回答は約33％で、とりわけ学びの成果を実践しやすい先端IT従事者では39％に達している。

「自律的な学び」の状況（個人調査）

　自律的な学びができている人は、人材市場における相対的な現在のスキルレベルについて、「十分に競争力がある」「相対的な位置を把握している、しようとしている」という回答の割合が高かった。

自身の現在のスキルレベルは人材市場における相対的な位置についてどのような状態にあるか（個人調査）

　自身が働きたいと思う企業に重要視することを尋ねたところ、自律的な学びができている人はできていない人と比較してエンゲージメントが高い傾向にあり、企業との間で選び・選ばれる関係構築ができている。とりわけ、企業の文化や価値観に関すること、心理的安全性に関すること、学びと実務実践の場や支援に関することといった項目において、「満足」とする回答が多かった。

「自律的な学び」とエンゲージメント（個人調査）

　なお、IPAでは「事例企業における自律的な学び促進の取り組み」において、各社が実施する促進施策を抽出し、10の施策に普遍化している。

「自律的な学び」促進の施策

　さらに、各社が重要視している企業風土・文化などを含めて考察し、「自律的な学び」を促進するためのドライバーとして、「自律的な学び」を促進する企業風土・文化、「自律的な学び」の促進要素、「自律的な学び」の社内への拡大、「自律的な学び」の社外への拡がりの4つを、促進するためのドライバーとして抽出している。

「自律的な学び」を促進するためのドライバー