![PIVOT株式会社 プロダクトマネージャー 蜂須賀 大貴氏](http://cz-cdn.shoeisha.jp/static/images/article/20116/20116_a.jpg)
組織と設計、共通するのは理論と現実のギャップ
モデレーターの蜂須賀氏はセッションの冒頭で、「組織とアーキテクチャの関係性をどう意識しているか」について、企業リーダーたちに問いかけた。
企業向けの金融サービスを提供しているUPSIDERのVPoEを務める泉氏は「組織とアーキテクチャの関係性を意識している」としたうえで、それらの設計の難しさを次のように語る。
「理論上は関係性を意識して設計することが望ましいが、現実の組織では、感情的な要因や現場の複雑さが絡み合い、思うようには動かない壁にぶつかることがある」
UPSIDERのエンジニアリング部門は約50名、10チーム体制で構成されている。これだけの規模になると、無計画には進められず、フレームワークの適用が必要となる。泉氏は「例えば共通部品の開発をどのチームが担当するか、そのチームに予算をどう配分するかなど、理論と現実のギャップを埋めるための意思決定を頻繁に行う必要がある」と述べ、理論的な正しさと現場の実態のバランスを取る重要性を強調した。
![株式会社UPSIDER VP of Engineer 泉 雄介氏](http://cz-cdn.shoeisha.jp/static/images/article/20116/20116_b.jpg)
現行のシステムに含まれる機能をベースに、組織やアーキテクチャを分解していく際には、ミッション型の組織がビジネス目標やチームの責務を明確にする一方で、システム的に分解しやすいかどうかには多くの課題が残る。泉氏は「複数の要素を横断してKPIを達成する必要はあるが、各要素が分離されすぎると、1つのチームで担当する意味が薄れる」と指摘する。例えば、フロントエンドに特化した機能が中心となるなら、該当チームにその機能を持たせるのが合理的だが、そのための調整が容易ではない場合も多いというのだ。
さらに泉氏は、組織のスキルセットが必ずしも理想的でないケースについても触れた。バックエンドがメインのプロジェクトにフロントエンドエンジニアしかいないといった状況の中では、組織の再編やスキルの調整に半年から1年の時間が必要になるという。