はじめに
前篇/中篇ではVisual Studio 2008のIDE部分、ASP.NET AJAXの解説をしました。後篇ではコーディングのサポート機能、LINQを扱うページの作成、新コントロールの利用方法などについて解説します。なお、今回の記事はベータ2段階での執筆ですが、日本語版RTMの検証結果も行っています。
対象読者
- ASP.NET 2.0を使ったことがある方
- Visual Studio 2008に興味がある方
必要な環境と準備
次のいずれかの環境が必要です。各環境の準備とハードウェア要件については前篇を参照ください。
- Visual Studio 2008(以下、VS 2008)
- Visual Web Developer 2008 Express Edition(以下、VWD 2008)
ASP.NET 3.5の新機能(後篇で触れる部分)
- インテリセンスの機能向上
- 新コントロールの追加(LinqDataSource/ListView/DataPager)
- LINQ対応
インテリセンスの機能向上
VS 2008では、VS 2005までのインテリセンス機能が改善されています。本稿ではVB/C#のインテリセンス機能について解説します。現時点で判明している変更点は次のとおりです。
- 全体共通機能
- インテリセンスウィンドウの透過表示
- 一文字入力直後のインテリセンス表示
- VB特有の機能
- インテリセンスのフィルタリング
- スニペットの増強
- LINQのインテリセンス
- C#特有の機能
- usingの整理
以下、それぞれの項目について、順を追って説明します。
全体共通機能
インテリセンスウィンドウの透過表示
VS 2005ではコーディング時、インテリセンスウィンドウの表示によってコードが隠れていました。VS 2008では[Ctrl]キーを押すとインテリセンスウィンドウを透過表示できます。透過表示は[Ctrl]キーを押下中のみとなります(図1~2)。
この透過表示は大きな修正ではありませんが、多く利用する機能の1つだと思います。
一文字入力直後のインテリセンス表示
VS 2005までのインテリセンスは「.」を入力した際に表示されました。しかし、VS 2008では一文字入力した段階で表示されます(図3)。
便利な機能ですので、今まで以上にインテリセンスを利用する機会が多くなると思います。
VB特有の機能
インテリセンスのフィルタリング
VS 2005までのインテリセンスウィンドウでは入力に応じてダイアログ内の選択位置が変わるだけでした。VS 2008のVBでは、入力に応じてインテリセンスウィンドウ内の表示項目そのものがフィルタリングされます。(図3~図4)。
フィルタリングされた項目だけが表示されるので、よりすばやく目的のクラス/メンバ名を選択することが可能になります。
スニペットの増強
VS 2008ではLINQや.NET Framework 3.5の追加により、スニペットの数が増えています。LINQを初めて使う方には、スニペットが役立つと思います(図5~6)。なお、LINQそのものについては後述します。
LINQのインテリセンス
LINQの記述を行う時、VBではツールチップとインテリセンスも表示されます。(図7~8)。
C#特有の機能
usingの整理
C#ではusingの管理サポートが行われています。usingのリストを選択して、右クリックすると、コンテキストメニューからusingの整理が選択できます(図9)。
整理メニューでは、未使用の「usingの削除」「usingの並べ替え」「削除および並べ替え」が選択できます。
- usingの削除
- 現在のコードファイル内で利用してないusingの削除
- usingの並べ替え
- usingの追加や削除による順番がバラバラになってしまった場合のusingの並べ替え(アルファベット順のソート)
- 削除および並べ替え
- 上記二項目の同時実行
図10~11は実際に並べ替えと削除を行った画面です。
usingの削除はエディタがコードファイル内で利用しているか分析し、サポートする必要のない名前空間を削除します。利用していない名前空間を整理できる重要な機能です。