仕様書が不完全でも「とりあえず触る」、アジリティの高いテスト
もう1つのアプローチがテストプロセスの全体最適化だ。朱峰氏はテストの大枠の活動においても改善の余地があると考えている。実際プロジェクトのアジリティが高くなるほどドキュメントの更新が後手にまわり、後で認識齟齬が起きて手戻りが発生してしまうこともある。このような場合は、探索的テストが有効だ。これはテスト担当者がテストアイテムや以前のテスト結果の知識や調査情報を使用して、テストを動的に設計、および実行するもの。朱峰氏は「端的に言うと『だったら、触ろうぜ』という単純な発想です」と述べる。
開発段階のプロダクトに直接触れて、そこで得た理解や知見をテストケースに落とし込み、次のスプリントでは回帰テストとして活用していく。そうすることでアジリティの高いテスト活動にできると朱峰氏は考える。
さらに形式張ったプロセスではなく、カジュアルにみんなでプロダクトに触れることで、冒頭の課題にもあった全体的な統一感が無くなってしまうことにも歯止めがかかると期待できる。もっと言えばゲーム感覚でプロダクトに関わることができる。
朱峰氏は探索型のプロセスで行うテストのポイントとして「チームみんなで実施」と「気になるを逃さない」を挙げる。前者はいろいろな立場(プロダクトオーナー、デザイナー、エンジニア、テスターなど)がロール横断で同じプロダクトに触れることで多様な視点で気づきの抽出を加速し、共有する。後者は仕様通りかどうかにこだわらず、気になったらみんなで「これどうなの?」と共有して議論を深めていくということだ。
そうした観点からテストを進めて行くと「みんなのプロダクトへの気持ちがより一体となり、こうした新しいテスト活動がアジャイルチームを支えるインフラになるのではないか」と朱峰氏は提言する。
最後に朱峰氏は「テスト資産をうまく活用すること、そしてテストにもゲーミフィケーションを適用しパフォーマンスを高く、プロダクトに触れることを通じてみんなの一体感を醸成していくことも合わせて進めていくといいのではないかというアイデアの提案でした」と述べて講演を締めた。
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