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Developers CAREER Boost 2024 セッションレポート

「ソフトウェアエンジニア * MBA」で広がる新しい可能性とキャリア像

【B-4】ソフトウェアエンジニア * MBA

 「MBA」(経営学修士)と聞いて、「自分には無縁だ」と感じるエンジニアも多いかもしれない。しかし、技術を専門とする立場だからこそ、ビジネスや経営の視点が強い武器となる場面も実は多いものだ。その「二刀流」を体得した存在こそ、本セッションに登壇する河原田政典氏だ。株式会社グロービスに所属し、QAチームのシニアエンジニアを務める河原田氏は、どのようにしてこれらの武器を活かしてきたのだろうか?「ソフトウェアエンジニア * MBA」という異色の組み合わせがもたらす可能性と、それによって拓けるキャリア戦略について語った。

キャリアの「掛け算」が生む新たな価値

 「『ソフトウェアエンジニア * MBA』。セッションタイトルに含まれるアスタリスク(*)には、掛け算記号としてだけでなく、多様な意味を込めた」。河原田氏は冒頭、セッションタイトルに触れる。

 河原田氏はSES企業の開発エンジニアとしてキャリアをスタートし、テストベンダーへ転職してQAエンジニアの道へ。その後はソフトウェア品質やアジャイル開発の経験を積み、現在は教育事業を手がける株式会社グロービスで、QAチームのユニットリードを務める。文系出身という異色の経歴を持ちながら、エンジニアリングと異分野の知識を融合させ、独自のキャリアを築いてきた人物だ。

 そんな河原田氏が初めに触れるアスタリスク(*)の意味は、「乗算記号」。「ソフトウェアエンジニア×MBA」、つまり、エンジニアリングと経営視点を「掛け合わせる」という視点だ。

株式会社グロービス グロービス・デジタル・プラットフォーム QAチーム シニアエンジニア 河原田 政典氏
株式会社グロービス グロービス・デジタル・プラットフォーム QAチーム シニアエンジニア 河原田 政典氏

 河原田氏は、Takramの代表である田川欣哉氏の著書『イノベーションスキルセット』を引用し、スキルやマインドセットが「ビジネス(B)」「テクノロジー(T)」「クリエイティビティ(C)」という三つの要素に分類できることを紹介。この三つを兼ね備えた「BTC型人材」が、異なる部門間の溝を埋め、新たな価値を生む存在になることを強調する。

 一方で、河原田氏は「BTC型人材になるのは容易ではない」とも語る。その中で、エンジニアが現実的に目指せる方向性として、「ビジネスとテクノロジーの両方を理解する立ち位置」を提案した。

 ビジネスとテクノロジーを橋渡しするスキルは、どのような価値を生むのか。河原田氏は、職場でよくあるシーンを例に挙げる。ビジネス側が「こういうプロダクトを作りたい」「こういう機能が必要だ」と依頼したものの、テクノロジー側が「なぜそれをやるのか」に納得感を持てないままプロジェクトが進み、その結果、思うような進捗が得られないような場面だ。

 ごくありふれた課題だが、こんなときにも、ビジネスとテクノロジー双方に通じた人材がいれば、その背景や目的を適切に解釈し、チーム全体に共有することでスムーズな意思決定やプロジェクト推進が可能になる。「『この人がいると仕事が回りやすい』と思われる存在になれるのは、ビジネスとテクノロジーを掛け合わせたエンジニアの強みだ」と河原田氏は説く。

B(ビジネス)とT(テクノロジー)双方に通じた人材の価値は高い
B(ビジネス)とT(テクノロジー)双方に通じた人材の価値は高い

 では、この「ビジネスを理解する力」をどのように身につければ良いのか?その方法のひとつが、まさしくタイトルにも含まれているMBA(経営学修士)なのだ。

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MBAで広がるエンジニアの可能性

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この記事の著者

水無瀬 あずさ(ミナセ アズサ)

 現役エンジニア兼フリーランスライター。PHPで社内開発を行う傍ら、オウンドメディアコンテンツを執筆しています。得意ジャンルはIT・転職・教育。個人ゲーム開発に興味があり、最近になってUnity(C#)の勉強を始めました。おでんのコンニャクが主役のゲームを作るのが目標です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

丸毛 透(マルモ トオル)

インタビュー(人物)、ポートレート、商品撮影、料理写真をWeb雑誌中心に活動。

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