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「どうしてうまくいかないのか?」新しい視点から照らす開発組織づくり

エンジニア組織における「あるある課題」を、ミンツバーグ組織論で構造化してみた【実践編】

「どうしてうまくいかないのか?」新しい視点から照らす開発組織づくり 第2回

数値計測によって定量性を上げているが、組織がうまく機能しているように感じられない……そのワケは?

 組織の効率を数値によって定量的に測っているのに、組織がうまく機能しているように感じられないことがあります。ミンツバーグ氏は、この点に関して以下のように述べています。

 人は「効率」という言葉を聞くと、無意識に、最も数値計測しやすい要素に目が向くのだ。

 (略)

 効率は、「数値計測可能な効率」に単純化されてしまうのである。

 ※参考:『ミンツバーグの組織論』(p.224)

 そのため、「コストと便益」「経済的と社会的」の2つの切り口で警戒するべき点をあげています。

 コストをかけたあとに得られる便益という観点で効率を定義すると、効率=便益/コストという式が成り立ち、効率を良くするためにはコストを抑えるか、便益を増す必要があります。ただし、「コストと便益」は独立してはおらず、一般的に大きな便益を得るためには大きなコストが必要です。この状況下で効率を最大化するためにはコストと便益のバランスを見るべきなのは当然に思えます。

 しかし、コストは便益よりも数値計測が容易であるという特徴を持っています。そのため、本来追求したい効率の最大化ではなく、コスト削減が主眼となってしまいます。大胆な策があまり見られず、小粒に感じられる手近な施策を進めている組織はこういった課題に陥っている可能性があります。

 次に、「経済的と社会的」という観点を取り上げます。経済的というのは、いわゆる金銭的なものと読みかえてよいです。社会的についてミンツバーグ氏があげている例は、組織の外の社会というニュアンスが強そうでした。ここでは独自に考えを拡張して、組織の中の社会、つまり人間や部署の関係性や文化、教育、情報の共有という側面だと捉えます。その前提に立つと、経済的なものは社会的なものに比較して数値計測が容易であることは想像しやすいでしょう。ミンツバーグ氏は、コストと便益のどちらについても、測りやすい経済的な側面が優先されてしまい、社会的な側面は後回しになると述べました。

 例えば、コミュニケーションや情報共有を改善するためのツールを導入する際、導入の必要性について説明を求められることがほとんどでしょう。見通しや判断のために定量的な説明が不可欠ではありますが、客観的に数値として提示できる根拠を示すのは困難なことが多いです。

 社会的な側面は、経済的な側面を支える重要な要素です。大きな社会的効果を見込めるにもかかわらず、比較するとそこまでの効果が見込めない経済的な施策に対して劣後するのはこういった状況によるところが大きいでしょう。

 まとめると、定量的な考えは重要ですが、数値計測しやすいものに判断が偏ってしまうバイアスを割り引いてバランスを取らなければ、数値計測をはじめた狙い通りの効果は見込めません。ここでは便益よりコストを強く見てしまう点、社会的な効果より経済的な効果を強く見てしまう点を紹介しました。

 この偏りはどの組織でも起きそうですが、DIGGLEにおいては問題になるほど大きくなっていません。それはなぜでしょうか。その背景を私なりに紐といてみます。

 DIGGLEはValues(DIGGLE全社員に求められる行動/価値基準)を4つ定めており、その中に「経済志向」と「誠心敬意」を備えています。経済志向は「大きな価値の提供は、大きな対価につながる。だから、顧客に対して確かな価値を提供し続けよう」という考え方です。常に価値についての目線を求められているということ、便益についての目線を求められていることはコスト偏重の考え方からの脱却に役立ちそうです。

 また、誠心敬意では「社会の一員として、常に誠実であること。(略)リスペクトの心を忘れずに、周りの人に向き合おう。」と謳っています。こちらはまさに「自分たち一人ひとりが社会的な存在であることを意識して仕事をしよう」という考え方なので、この意識を持って働いていることは、経済的な効果に偏ってしまうことを抑え、社会的な効果にも目配りできることにつながっています。

 株式会社の主目的の一つに、株主の価値最大化があることは間違いなく、そのため効率化や効率を測るための数値化が推し進められます。株主の価値最大化への指向性は非常に強いものですが、それとバランスを取ることが可能な組織の強い指針として、「企業理念がある」と私は認識しています。株式会社の別の主目的に企業理念を達成することがあるためです。

 株式会社では株主価値の最大化を行っていますが、それは常に企業理念に沿った方向性で進められているはずです。企業理念はさまざまな方法で表現されていますが、DIGGLEのようにミッション、ビジョン、バリューで表わされていることも多いでしょう。皆さんの組織においても、数値計測によって得られているものより、損われているものが多いと感じた場合は、企業理念やミッション、ビジョン、バリュー起点から考え、物事を整理すると良い方向へ進むかもしれません。

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エンジニアが‟事業貢献を意識して動く”組織に変えていきたい

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この記事の著者

北村 大助|DIGGLE株式会社 Devチーム Director(キタムラ ダイスケ)

 DIGGLE株式会社に勤務する開発者。 インターネット上では「にく(niku)」という名前で活動していることもあります。 手に馴染んでいる言語はRuby。 組織が「儲かる」と組織の中の人が「楽しい」を両立させて仕事を進めていくのが好き。 地元である北海道のスポーツチーム、特に北海道コンサドーレ札幌...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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