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オープンソースC++用クラスライブラリPOCO活用講座

POCO流ファイル処理あれこれ

オープンソースC++用クラスライブラリPOCO活用講座(4)

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POCOでのファイル処理 2

Path

 こちらはよりパスに特化したクラスです。パス文字列の分解や、カレントディレクトリに関する操作(取得、ディレクトリスタックへのPUSH/POP操作、etc)などのメンバ関数が用意されています。

Poco::Pathクラスのサンプルコード
#include <Poco/Path.h>

    Poco::Path p( "c:\\a\\b\\c\\test.txt" );

    // ディレクトリ名の取り出し
    std::cout << p.directory(0) << ","
              << p.directory(1) << ","
              << p.directory(2) << ","
              << p.directory(3) << std::endl; //  (1)

    // パス名の分解
    std::cout << p.getBaseName() << ","  // ファイル名から
                                         // 拡張子を除いたもの
              << p.getDevice() << ","    // ドライブ名
              << p.getFileName() << ","  // ファイル名
              << p.toString()            // パス名の文字列参照
              << std::endl;              //  (2)

    // カレントディレクトリ取得
    std::cout << Poco::Path::current() << std::endl;

 サンプルコードを実行した場合、(1)、(2)での表示は、それぞれ次のようになります。

(1)
a,b,c,test.txt
(2)
test,c,test.txt,c:\a\b\c\test.txt

TemporaryFile

 一時ファイルを取得するクラスです。ファイルパスを取得するだけで実際のファイル作成は行われません。ただし、デフォルトでは取得された一時ファイル名のファイルをデストラクタで削除するようになっており、ファイルの有無にかかわらず削除します(ファイルが作成されていなければ何も起こりません)。もちろん、デストラクタでの削除を行わないようにすることもできます。また、プロセス終了時に削除するという指定も可能です。

 ファイル名は、tmp+プロセスID(4桁の数値)+[aaaaaa~zzzzzz]となり、最後の6文字はファイルを1つ作成するごとにインクリメントされます。つまり同じプロセスで、aaaaaa~zzzzzzの、26^6=308,915,776個のファイルが使えるというわけです。

 一時ファイルが作成されるディレクトリは、Windows環境ではWin32 APIのGetTempPath関数で取得しています。

Poco::Pathクラスのサンプルコード
#include <Poco/TemporaryFile.h>

    Poco::File tmp_file;

    {
        Poco::TemporaryFile tmp;
        tmp.createFile();          // 空ファイル作成

        tmp_file = tmp.path();
        std::cout << tmp_file.exists() << std::endl;   // 表示は1

    } // ここでファイルは削除される

    std::cout << tmp_file.exists() << std::endl;       // 表示は0

    {
        Poco::TemporaryFile tmp;
        tmp.createFile();          // 空ファイル作成
        tmp.keep();                // 削除の抑止

    } // ここでファイルは削除されない、
      // またプロセス終了後もファイルは残る。

    {
        Poco::TemporaryFile tmp;
        tmp.createFile();          // 空ファイル作成
        tmp.keepUntilExit();       // 削除の抑止

    } // ここでファイルは削除されないが、プロセス終了時に削除される。

Glob

 globスタイルのファイル検索用パターンマッチングクラスです。いわゆるワイルドカードの実装として用意されていると思うのですが、残念なことにUTF-8には対応していません。今回の解説では割愛しますので、詳しくはPOCOのドキュメントを参照してください。

DirectoryIterator

 指定されたディレクトリ配下のファイル(名)を列挙するイテレータクラスです。ファイルを走査する向きとして、単方向(++)のみ実装されています。なお、サンプルコードは次項のストリームクラスで紹介することにします。

次のページ
ストリーム関連クラス 1

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この記事の著者

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

WINGSプロジェクト 高江 賢(タカエ ケン)

WINGSプロジェクトについて> 有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS Twitter: @yyamada(公式)、@yyamada/wings(メンバーリスト) Facebook

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/2205 2008/02/28 14:00

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