POCOでのファイル処理 2
Path
こちらはよりパスに特化したクラスです。パス文字列の分解や、カレントディレクトリに関する操作(取得、ディレクトリスタックへのPUSH/POP操作、etc)などのメンバ関数が用意されています。
#include <Poco/Path.h> Poco::Path p( "c:\\a\\b\\c\\test.txt" ); // ディレクトリ名の取り出し std::cout << p.directory(0) << "," << p.directory(1) << "," << p.directory(2) << "," << p.directory(3) << std::endl; // (1) // パス名の分解 std::cout << p.getBaseName() << "," // ファイル名から // 拡張子を除いたもの << p.getDevice() << "," // ドライブ名 << p.getFileName() << "," // ファイル名 << p.toString() // パス名の文字列参照 << std::endl; // (2) // カレントディレクトリ取得 std::cout << Poco::Path::current() << std::endl;
サンプルコードを実行した場合、(1)、(2)での表示は、それぞれ次のようになります。
a,b,c,test.txt
test,c,test.txt,c:\a\b\c\test.txt
TemporaryFile
一時ファイルを取得するクラスです。ファイルパスを取得するだけで実際のファイル作成は行われません。ただし、デフォルトでは取得された一時ファイル名のファイルをデストラクタで削除するようになっており、ファイルの有無にかかわらず削除します(ファイルが作成されていなければ何も起こりません)。もちろん、デストラクタでの削除を行わないようにすることもできます。また、プロセス終了時に削除するという指定も可能です。
ファイル名は、tmp+プロセスID(4桁の数値)+[aaaaaa~zzzzzz]
となり、最後の6文字はファイルを1つ作成するごとにインクリメントされます。つまり同じプロセスで、aaaaaa~zzzzzzの、26^6=308,915,776個のファイルが使えるというわけです。
一時ファイルが作成されるディレクトリは、Windows環境ではWin32 APIのGetTempPath関数で取得しています。
#include <Poco/TemporaryFile.h> Poco::File tmp_file; { Poco::TemporaryFile tmp; tmp.createFile(); // 空ファイル作成 tmp_file = tmp.path(); std::cout << tmp_file.exists() << std::endl; // 表示は1 } // ここでファイルは削除される std::cout << tmp_file.exists() << std::endl; // 表示は0 { Poco::TemporaryFile tmp; tmp.createFile(); // 空ファイル作成 tmp.keep(); // 削除の抑止 } // ここでファイルは削除されない、 // またプロセス終了後もファイルは残る。 { Poco::TemporaryFile tmp; tmp.createFile(); // 空ファイル作成 tmp.keepUntilExit(); // 削除の抑止 } // ここでファイルは削除されないが、プロセス終了時に削除される。
Glob
globスタイルのファイル検索用パターンマッチングクラスです。いわゆるワイルドカードの実装として用意されていると思うのですが、残念なことにUTF-8には対応していません。今回の解説では割愛しますので、詳しくはPOCOのドキュメントを参照してください。
DirectoryIterator
指定されたディレクトリ配下のファイル(名)を列挙するイテレータクラスです。ファイルを走査する向きとして、単方向(++)のみ実装されています。なお、サンプルコードは次項のストリームクラスで紹介することにします。