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オープンソースC++用クラスライブラリPOCO活用講座

POCO流ファイル処理あれこれ

オープンソースC++用クラスライブラリPOCO活用講座(4)

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ストリーム関連クラス 1

 前回の記事のテキスト処理とも関連しているのがストリームです。POCOでは、ストリーム処理に関係するクラスがなぜかとても豊富に実装されていて、「Streams」というパッケージには53クラスも含まれています。ここでは、実用度が高いと思われるものを独断でピックアップし、サンプルコードを紹介することにしましょう。

Streamsパッケージに含まれる主なクラス
種別概要クラス名
ストリーム基本のファイル読み書きストリームFileStream、FileInputStream、FileOutputStream
文字カウント・ストリームCountingInputStream、CountingOutputStream
BASE64変換ストリームBase64Decoder、Base64Encoder
HEXバイナリ変換ストリームHexBinaryDecoder、HexBinaryEncoder
圧縮ストリームDeflatingOutputStream、DeflatingOutputStream
伸張ストリームInflatingInputStream、InflatingOutputStream
バイナリデータ操作ストリームBinaryReader、BinaryWriter
その他ストリーム・コピーStreamCopier
ストリーム・トークナイザーStreamTokenizer
改行コード変換InputLineEndingConverter

 ストリームクラスは、基本的には出力専用クラス(~OutputStream)、入力専用クラス(~InputStream)があり、中には入出力クラスが用意されているものもあります。

基本のファイル読み書きストリーム

 まずは、基本のファイル読み書きのストリームです。少し変わっているのが、ファイルが常にバイナリモード(std::ios::binaryフラグが付加される)でオープンされることです。つまり、改行コードの自動変換がこのクラスではされないということです。「\n」をプラットフォームに応じた改行コードに変換するためには、別途「Poco::InputLineEndingConverter」「Poco::OutputLineEndingConverter」を利用する必要があります。

 Poco::FileInputStream、Poco::FileOutputStreamの基底クラスは、それぞれstd::istream、std::ostreamなので、通常のストリームとしての操作が行えます。それ以外に特別なメンバ関数は実装されていません。ファイルストリームへの読み書きサンプルコードは次のようになります。

Poco::FileStreamのサンプルコード
#include <Poco/FileStream.h>
#include <Poco/LineEndingConverter.h>

    // ファイルストリームへの書き込み
    Poco::FileStream    out_stream( "c:\\temp\\temp.txt" );
    Poco::OutputLineEndingConverter conv( out_stream );
    conv << "test" << std::endl; // 改行コードが正しく変換される
    out_stream.close();

    // ファイルストリームから読み込む
    Poco::FileStream    in_stream( "c:\\temp\\temp.txt" );
    char c;
    in_stream.get(c);   // 1バイト取り出す

    // 「first -> t 」と表示される
    std::cout << "first -> " << c << std::endl;

BASE64変換ストリーム

 BASE64変換用としてフィルタのように使用するクラスです。

 BASE64とは、データを64種類の印字可能な英数字のみを用いて表すエンコードです。テキストデータしか載せられない電子メールでバイナリデータを扱うときにおなじみですね。

BASE64変換ストリームのサンプルコード
#include <Poco/FileStream.h>
#include <Poco/Base64Encoder.h>
#include <Poco/Base64Decoder.h>
#include <Poco/StreamCopier.h>

    Poco::FileStream    tmp_stream( "c:\\temp\\temp.txt" );

    // BASE64に変換して、出力
    Poco::Base64Encoder    base64Out( tmp_stream );

    // シフトJIS -> BASE64 に変換
    base64Out << "これはテスト" << "\n" << "文字列です"; 
                                    // バイナリデータ(改行)もOK

    tmp_stream.seekp( 0 ) ; // ファイルポインタを先頭に

    // BASE64 -> シフトJIS に変換
    Poco::Base64Decoder    base64Input( tmp_stream );

    // ストリームコピー(static関数)で、std::coutに出力
    Poco::StreamCopier::copyStream( base64Input, std::cout );

 サンプルコードはファイルストリームにBASE64に変換した文字列を書き込み、次にそのファイルからデータを読み出して復号し、画面に出力するものです。実行するとコンソール画面には、

これはテスト
文字列です

 と表示されます。改行コードのバイナリデータも復号できています。「temp.txt」ファイルを見てみると、

grGC6oLNg2WDWINnCpW2jpqX8YLFgrcK

 というBASE64に変換した文字列が書き込まれているはずです。

圧縮・伸張ストリーム

 これもBASE64変換ストリームと同様な使い方ができるクラスで、データの圧縮とその復号を行うストリームです。圧縮アルゴリズムの実装は、zlibという広く使われている圧縮ライブラリを利用しており、圧縮のタイプとしてzlib形式とgzip形式が指定できます。このクラスを利用すると、手軽に圧縮解凍処理をプログラムに組み込むことができます。

圧縮・伸張ストリームのサンプルコード
#include "Poco/InflatingStream.h"
#include "Poco/DeflatingStream.h"

    Poco::FileStream    out_stream( "c:\\temp\\temp.gz" );

    // 圧縮ストリーム
    Poco::DeflatingOutputStream deflater(out_stream,
                  Poco::DeflatingStreamBuf::STREAM_GZIP);  // gzip形式

    // 圧縮されて書き込まれる
    deflater << "Hello, world!" << std::endl;

    deflater.close();
    out_stream.close();

    Poco::FileStream    in_stream( "c:\\temp\\temp.gz" );

    // 伸張ストリームで、復元
    Poco::InflatingInputStream inflater(in_stream,
                    Poco::InflatingStreamBuf::STREAM_GZIP);

    // static関数のcopyStreamで、inflaterの内容をstd::coutに出力
    // copyStreamは、ストリームの内容を丸ごと別のストリームに書き込める
    Poco::StreamCopier::copyStream( inflater, std::cout );

 gzip形式で書き込んだ「temp.gz」を読み込み、データを伸張して表示しています。コンソール画面には、書き込んだ文字列の「Hello, world!」が表示されます。「temp.gz」ファイルはgzipに対応したツールで解凍することも可能です。

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ストリーム関連クラス 2

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この記事の著者

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

WINGSプロジェクト 高江 賢(タカエ ケン)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS X: @WingsPro_info(公式)、@WingsPro_info/wings(メンバーリスト) Facebook

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