SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

Developers Summit 2025 KANSAI セッションレポート(AD)

自然言語で人材発掘するための新機能に生成AI活用──WHIが直面した課題と解決策

【A-4】タレントマネジメント × 生成AI — BtoBで使える製品にするまでの裏話

いいAI機能でもデータがなければうまく動かない

 いざ実務で使おうとすると、今度は検索したいデータがそもそも登録されていない問題に遭遇した。例えば本人の志向や希望も加味して検索したいが、「異動OK」のフラグはあっても、具体的に何をしたいかの情報がない。あるいは実務経験に応じて検索したいが、大まかな仕事内容しか分からず細かいタスクレベルの情報がない。

 データを増やすための解決策の1つとして、従業員が自らデータを登録したくなるような機能を開発することにした。従業員それぞれのための「マイページ」にて過去の経験や今後の希望についての入力をうながす機能だ。入力した内容に応じて、AIがマッチする学習コンテンツを提示。目標となるロールモデルを登録していれば「こういうスキルをつけるといい。こういう経験を積むとよい」と提案してくれる。情報を登録することで従業員は有益な情報を受け取ることができるため、入力を促せる。もともと従業員の情報収集に苦労している企業は多いため、この機能はお客さまからも好評だった。

 入力された情報に対するサジェストにも生成AIを使用している。ロールモデルに関するサジェストでは、対象の従業員の要約とロールモデルに指定された従業員の要約を取得し、Geminiに与えてどのようなスキルをつけたほうがいいかを生成させる。

 吉田氏は「よいAI機能を作っても、データがなければうまく動きません。データを集めるための工夫はAI機能を作る上では必須です」と強調する。

AIコスト可視化はクラウドベンダーが用意している機能を活用

 お客さまの利用が増えてくると、クラウド費用のなかで生成AIコストが占める割合が増えてきた。「COMPANY Talent Management」シリーズはマルチテナント構成なので全体でかかるコストしか分からなかったが、ビジネス側からの「テナントごとの生成AIコストを知りたい」という要求に対応する必要が出てきた。

 この問題の対処は比較的シンプルに解決できる。AWSならAmazon Bedrockのアプリケーション推論プロファイルを使う。テナントごとのコスト配分タグを追加すると、マネジメントコンソールでテナントIDごとにかかったコストを表示できる。Googleも似たような形で、ラベルを使うことでテナントごとのコスト配分タグを追加すると、コンソールでコストを表示できる。

テナントごとのコスト可視化
テナントごとのコスト可視化

 最後に吉田氏は、「生成AIをとりまく環境は日々進化しています。特にモデル選定の部分は状況が変化していて、現時点ではベストな選択は別にあるかもしれませんが、あくまで事例として参考になれば幸いです」と述べ、セッションを締めくくった。

この記事は参考になりましたか?

Developers Summit 2025 KANSAI セッションレポート連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

フリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Onlineの取材・記事や、EnterpriseZine/Security Onlineキュレーターも担当しています。Webサイト:http://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

タナカタイゾー(タナカ タイゾー)

 フリーカメラマン。日本写真映像専門学校卒業後、写真スタジオを経て独立。関西を拠点に広告、カタログ、雑誌の分野で活動。最近は子どもも成長し、休日は愛犬と一緒に1人と一匹でキャンプを楽しむ。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

CodeZineは、株式会社翔泳社が運営するソフトウェア開発者向けのWebメディアです。「デベロッパーの成長と課題解決に貢献するメディア」をコンセプトに、現場で役立つ最新情報を日々お届けします。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社Works Human Intelligence

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/22348 2025/11/21 12:00

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング