4. 外部関数プラグインを使う
4-1,外部関数プラグインとは
カスタム関数と同様に、FileMaker Proへ機能を追加するものに「外部関数プラグイン」があります。
外部関数プラグインは、その名が示すようにユーザー定義関数の一種です。外部関数プラグインは、FileMaker Proに拡張機能としてユーザーが任意にインストールすることができ、外部関数プラグインをインストールしたFileMaker Proで開いたすべてのデータベースファイルで使用することができます。
FileMaker Proにインストールされた外部関数プラグインは、通常の関数と同じように計算フィールドやスクリプトステップ内の計算式で利用することができます。 この外部関数プラグインですが、FileMaker Proに初めから用意されている関数やカスタム関数と同様、「y = f(x)」の関数式の「y」を求めるための関数も多くありますが、「y」を求めるという用途よりも、FileMaker Proがもともと持っていない「機能」をFileMaker Proに追加するために、外部関数プラグインが用いられる場面が多くあります。
外部関数プラグインは、C++のプログラミング技術をお持ちの方であれば開発をすることが可能です。しかし、FileMaker Proを利用する方の大半は、自分でプログラミングすることは難しいでしょう。そのような場合は、市販されているサードパーティー製の外部関数プラグインを購入することで、FileMaker Proに機能を追加することができ、例えばグラフ描画、メール送信、イベント発生、ポートI/O、画像や動画処理、ファイル操作を初めとする、多彩な機能をFileMaker Proに追加できます。
4-2. 外部関数プラグインを使う
この中から、グラフ描画を行う外部関数プラグインを例に、簡単に説明しましょう。
4-2-1. インストール
外部関数プラグインをインストールするには、まずプラグインファイルをFileMaker Proの「Extensions」フォルダにコピーすることから始めます。
プラグインファイルのコピーが完了したらFileMaker Proを起動し、[編集]メニューの[環境設定]を選択して、「環境設定」ダイアログボックスの[プラグイン]タブを選択します。プラグインファイルがFileMaker Proに正常にインストールされている場合には、インストールした外部関数プラグインの名称が表示されます。名称の左側にあるチェックボックスがチェックされていれば、外部関数プラグインの利用準備は完了です。
実際に外部関数プラグインで使用可能になった外部関数を確認するには、計算フィールドの「計算式の指定」ダイアログボックスの「表示」ポップアップから[外部関数]を選択します。関数リストに外部関数が表示されれば、いつでも外部関数を利用することができます。
4-2-2. 設定
多くのサードパーティ製 外部関数プラグインでは、購入時にユーザーIDやレジストレーションキーがメーカーから発行されますので、それらを使用して外部関数プラグインをアクティベートします。今回、題材に使用するグラフ描画プラグイン「xmCHART」も、アクティベーション処理を必要とします。
この外部関数プラグイン「xmCHART」では、「xmCHART」に用意されているアクティベーション用の外部関数を実行することで、アクティベーションを行います。
FileMaker Proのスクリプトステップに「フィールド設定」という項目がありますが、このスクリプトステップの実行内容として次のような外部関数を実行します
xmCH_Activate( メーカーから付与されたユーザーID; アクティベーション用キーコード; 0 )
このxmCH_Activate
はアクティベーション専用のカスタム関数で、ユーザーIDとアクティベーション用のキーコードを引数にします。
「フィールド設定」スクリプトステップを実行することで上記のカスタム関数が実行され、外部関数プラグインのアクティベーションが行われます。
4-2-3. 実行
グラフを描くために必要なデータはFileMaker Proの計算フィールドやスクリプトで作成します。
作成するデータの形態は描画するグラフの種類や複雑さによって違いますが、5つのデータを持つ一般的な棒グラフの場合、次のように値を「;」(セミコロン)で区切って指定します。
ChartData( 1005000 1200000 1700000 1820000 2100000 2300000 2550000 2500000 2700000 2850000 2800000 3500000; 1500000 1200000 1550000 1680000 1750000 1950000 2050000 2200000 3000000 3000000 1400000 1700000; 980000 800000 860000 910000 985000 1100000 1250000 1400000 1480000 1320000 1400000 1600000; )
またグラフに表示する凡例のラベルなども、ダブルクォーテーションで囲んだ文字列をセミコロンで区切って指定します
LegendTexts( "佐藤 "; "田中 "; "鈴木 "; )
これらの他にも、グラフの描画サイズ、グラフの色や、グリッドラインの表示方法なども同様に作成しておき、これらを外部関数のxmCH_DrawChart()
関数の引数に指定して、「フィールド設定」スクリプトステップで関数を実行することにより、FileMaker Proのレイアウト上にグラフが描画されます。
5. まとめ
FileMaker Proのカスタム関数と外部関数プラグインについて、とても駆け足で解説をしてきました。カスタム関数や外部関数プラグインを使用することで、FileMaker Proに初めは存在しない機能をFileMaker Proで実現することが可能になります。
カスタム関数はFileMaker Proのユーザー自身が作成する場合が多いですが、外部関数プラグインは自分で開発できなくはないものの、既に市販されている外部関数プラグインがあるかも知れませんので、まずはサードパーティ製の物を探してみると良いでしょう。販売されている物がなかった場合には、開発方法も公開されているのでC++が扱えるプログラマの方に製作を依頼しても良いかも知れません。
カスタム関数、外部関数プラグインは下記のようなサイトで検索することができます。まずは便利なカスタム関数や、FileMaker Proに加えたい外部関数プラグインを探してみてはいかがでしょうか。
サイト名 | カスタム関数検索 | 外部関数プラグイン検索 |
BrianDunning.com (英語) | ○ | - |
FMPro.jp (日本語) | ○ | ○ |