Zend Framework入門（7）：抽象化レイヤによるデータベースアクセス手法 - Zend_Db（後編） -

Zend Frameworkによる実践的なPHPアプリケーション開発 7

テーブル作成

　まずは、DBMS上で今回使用するテーブルを作成します。前回の記事で作成したデータベースdb_zend_tableに新たなテーブルを作成し、レコードを追加します。プログラムからデータベースにアクセスする際は、前回作成したユーザーzendを使用します。データベースとユーザーの作成を行っていない場合は、前回の記事を参照して先に作成してください。

　オフィス内の部屋に入室する権限を管理する例を想定して、4個のテーブルを作成します。作成するテーブルと内容は次のとおりです。テーブル名は複数形で頭文字のみ大文字にしています。

入室権限管理のテーブル

テーブル名	内容
Offices	オフィスの情報を格納します。
Rooms	管理の対象となる部屋の情報を格納します。
Members	管理の対象となるメンバーの情報を格納します。
Permissions	メンバーが持っている入室権限と有効期限を格納します。

　各テーブルの列は次のようになっています。

Officesテーブルの列の内容

列名	キー	内容
office_id	PK	オフィスに割り振ったユニークな番号。
office_name	-	オフィス名の文字列。

Roomsテーブルの列の内容

列名	キー	内容
room_id	PK	部屋に割り振った番号。オフィス内ではなく、全体で重複しない値とします。
room_name	-	部屋名の文字列。
office_id	FK	その部屋があるオフィスのoffice_id。Officeテーブルのoffice_id列を指す外部キーです。

Membersテーブルの列の内容

列名	キー	内容
member_id	PK	メンバーに割り振ったユニークな番号。
member_name	-	メンバーの名前の文字列。

Permissionsテーブルの列の内容

列名	キー	内容
member_id	PK,FK	「誰が」部屋に入る権限を持っているかを示す値。member_idとroom_idの組み合わせがこのテーブルの主キーになります。Membersテーブルのmember_idを指す外部キーです。
room_id	PK,FK	「どの部屋に」入る権限を持っているかを示す値。member_idとroom_idの組み合わせがこのテーブルの主キーになります。Roomsテーブルのroomr_idを指す外部キーです。
term	-	入室権限の有効期限をあらわす日付型の値。

　ER図は次のようになります。

入室権限管理のER図

　MySQLのコマンドラインツールから次のSQLを実行し、テーブルを作成してレコードを投入します。

make_database.sql

-- データベースdb_zend_sampleを使用します
use db_zend_sample;

-- テーブルを作ります
CREATE TABLE Offices(
  office_id int primary key,
  office_name varchar(50)
) engine = InnoDB;

CREATE TABLE Rooms(
  room_id int primary key,
  room_name varchar(50),
  office_id int,
  CONSTRAINT rooms_fk foreign key(office_id)
    REFERENCES offices(office_id)
) engine = InnoDB;

CREATE TABLE Members(
  member_id int primary key,
  member_name varchar(50)
) engine = InnoDB;

CREATE TABLE Permissions(
  member_id int,
  room_id int,
  term date,
  CONSTRAINT permissions_pk primary key(member_id, room_id),
  CONSTRAINT permissions_fk1 foreign key(member_id)
    REFERENCES members(member_id),
  CONSTRAINT permissions_fk2 foreign key(room_id) 
    REFERENCES rooms(room_id)
) engine = InnoDB;

-- レコードを追加します
INSERT INTO offices VALUES(1, '池袋本社');
INSERT INTO offices VALUES(2, '品川分室');
INSERT INTO rooms VALUES(1, 'サーバ室', 1);
INSERT INTO rooms VALUES(2, '資料室', 1);
INSERT INTO rooms VALUES(3, 'サーバ室', 2);
INSERT INTO members VALUES(1, '織田');
INSERT INTO members VALUES(2, '柴田');
INSERT INTO members VALUES(3, '前田');
INSERT INTO permissions VALUES(1, 1, '2009-03-31');
INSERT INTO permissions VALUES(1, 2, '2009-03-31');
INSERT INTO permissions VALUES(2, 3, '2009-03-31');
INSERT INTO permissions VALUES(3, 1, '2009-03-31');
INSERT INTO permissions VALUES(3, 3, '2008-09-30');

　レコードの内容を表にまとめると次のようになります。

入室権限管理のレコードの内容

	office_id	1		2
	office_name	池袋本社		品川分室
	room_id	1	2	3
member_id	room_name member_name	サーバ室	資料室	サーバ室
1	織田	2009/03/31	2009/03/31	-
2	柴田	-	-	2009/03/31
3	前田	2009/03/31	-	2008/09/30