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【RubyKaigi'08】詳細レポート

【RubyKaigi'08】詳細レポート : 多様化するRuby

日本Ruby会議2008 詳細レポート 前編


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3種類のRuby、3種類のユーザー、3種類のセッション目標

 ここまでの3つのセッションは実にきれいに、異なるターゲット戦略を取っていることが分かる。

短期的なセッションターゲット

 すべてのRuby実装は、いずれも広範なユーザーの獲得に向けてのライバルであるが、短期的、すなわち日本Ruby会議2008のセッションにおいてのメッセージの伝達対象が異なる。

  • Ruby 1.9
    • 学生/研究者をターゲットとして、高速化の方策例を示して研究への参画をアピール
    • それと同時に実利用者に対して、MRIの健全な未来についてアピール
  •  
  • JRuby
    • 実利用者をターゲットとして、アプリケーションの開発言語としての面をアピール
  •  
  • Rubinius
    • Ruby実装者をターゲットとして、Rubiniusという言語実装のおもしろさを示してプロジェクトへの参加をアピール
    • それと同時に実利用者に対して、本質的にクリーンで正統的な実装であることをアピール

現在の処理系のポジショニング

 これらのセッションターゲットの違いは、同時に現時点での処理系の位置づけを反映したものでもある。

  • Ruby 1.9
  • デファクトスタンダードであるRuby 1.8の正統な後継実装。高速化とより広い分野への進出を狙う。
     
  • JRuby
  • Javaのオルタネーティブとして、業務システム、実用アプリケーションなどでのJavaの置き換えと、より広い分野の獲得を狙う(別の言い方をすると、JavaのユーザーがRubyを含む軽量言語へ移行することを阻止する)。このジャンルでは、IDE、Webアプリケーションの開発、配置の容易さが最も重要。
     
  • Rubinius
  • 中期的にはRuby 1.9と同様なポジションを狙う必要があるが、現時点では完全な実装とすることが先決。問題点としてWindowsのサポートが欠けている点を挙げることができる。

 このように、3つの実装のセッションは、見事なまでに日本Ruby会議2008のテーマである『多様性は善』に沿うものであった。

次回

  • 『Ruby《を》教えてるんじゃない、Ruby《で》教えてるんだってば』(増原英彦)
  • 『Rails症候群の研究』(前田修吾)

 の2つのセッションについては、後編でレポートします。

修正履歴

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この記事の著者

arton(アートン)

専門は業界特化型のミドルウェアやフレームワークとそれを利用するアプリケーションの開発。需要に応じてメインフレームクラスから携帯端末までダウンサイジングしたりアップサイジングしたりしながらオブジェクトを連携させていくという変化に富んだ開発者人生を歩んでいる。著書に『Ruby③ オブジェクト指向とはじめての設計...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/2724 2008/09/05 11:31

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