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イベントレポート

iPhoneゲームのトップクリエーターが語る
「iPhoneアプリ成功の方程式~企画編」

CodeZine編集部主催「iPhoneゲームアプリ開発セミナー 人気ゲームアプリから見る3つの成功ポイント」レポート


市場で成功を収めているプレーヤーたちの9つの共通項

 ここで宮川氏は、自身の経験を振り返る。

 「初めてiPhoneゲームを出したときは、まだ市場規模がつかめなくて採算性も見えなかったので、とにかく限界までコストをケチって開発してみることにした」(宮川氏)

 開発コストを極力削り、115円という最低価格帯の値付けをした上で、同じ価格帯のほかのアプリよりはちょっとだけ見栄えがいいものを作った。その上で、どれだけの市場規模があるかをまずは測ってみる作戦に出たのだ。

 果たして、宮川氏が始めて世に出したiPhoneゲーム「iNinja」は、ゲームカテゴリのランキングで2位、総合ランキングでも5位にランクインし、約1万本がダウンロードされた。しかし何と、それでも赤字になってしまったという。

 「その結果分かったのは、採算をとるためにはランキングトップを獲るための勝負をしなければダメだということ。さらに言えば、一瞬だけトップをとるだけではダメで、ユーザーに継続して利用してもらうための仕掛けがないと、すぐにランキングは落ちてしまうことも分かった。採算上は赤字になってしまったが、そうした市場の規模感が分かったのは大きかった」(宮川氏)

 ダウンロードランキングのトップを獲り、その後もなるべくユーザーに使い続けてもらうアプリを企画するためには、まずは「勝負をする覚悟」が必要だと同氏は言う。トップが獲れず、なおかつすぐ飽きられてしまうアプリを出しても採算軌道を外れるだけで、そうなってしまっては「もはや玉砕するしかない」(宮川氏)。そのような事態に陥らないためには、同じ価格帯のライバルアプリと比べて「ちょっと光る」「ちょっと浮く」部分がないといけない。

ライバルは、大手企業が本気になって取り組んだアプリ群

 しかし、ライバルたちも手ごわい。ダウンロードランキングでトップクラスを占めるアプリには、今や大手企業のものも多い。例えば、電子書籍のヒット作『もしドラ』や『適当日記』は、大手出版社のダイヤモンド社がベストセラー書籍の内容をそのままiPhone上に持ち込んだものだ。あるいは、アーケードゲーム『ストリートファイターIV』のiPhone版は、決して片手間に移植されたものではなく、『ストIV』の世界をそのままiPhone上で再現したものだ。こうした、大手企業が本気になって取り組んだアプリ群に対して、立ち向かっていかないといけないのだ。

 とはいえ、大手が手掛けたアプリを尻目に、零細企業や個人のアプリがひょっこりランキング1位につくこともままある。「そこがiPhoneアプリ市場の面白いところで、醍醐味でもある」と宮川氏は言う。

 「App Storeは、超大手と超零細が軒を並べてガチンコ勝負を繰り広げる屋台村のようなもの。その中で勝ち残っていくためには、一歩抜きん出るだめの『勝負勘』や『勝負の意気込み』が必要」(宮川氏)

 こうした混沌とした市場で成功を収めているプレーヤーたちに共通する性向として、同氏は次の9点を挙げる。

  • 自分が欲しいものを作る
  • 爆速(とにかく速く!)
  • 本気
  • 勉強熱心
  • iPhoneが好き
  • 世界で唯一のもの
  • ユーザーの声を聞く
  • とことん突き詰める
  • 自分が得意なものを作る
勝負アプリを作成する際のポイント
勝負アプリを作成する際のポイント

 宮川氏は言う。「これらの内、どれ1つとして欠けてもダメだと思う」。特に「速さ」「スピード感」はトッププレーヤーたちに必ず共通している点だという。

 「アイデアを出してから目に見えるものを作り上げるまでのスピードは、トップの人たちはとにかく速い。僕も時々引いてしまうぐらい」(宮川氏)

アプリの魅力が『一瞬で』伝わることが重要

 さらに、iPhoneアプリを企画する上で必ず肝に銘じておくべき点として同氏が強調するのが、「アプリの魅力が『一瞬で』伝わること」だ。

 「ユーザーは、そのアプリを買うべきかどうかを『一瞬で』決める。従って、そのアプリの魅力を一瞬でユーザーに伝えるための工夫が必要だ。さらに、ユーザーは購入したアプリを起動して、30秒以内にそれを使い続けるかどうかを判断する。従って、アプリを起動してすぐにその面白さが伝わるような仕様にしなくてはいけない」(宮川氏)

 そのためには、直感的な操作で簡単に使えるものでなければいけない。ユーザーはアプリを購入する際、ユーザーレビューは熱心に読むが、作り手側の説明には一切目をくれない。「一瞬で」そのアプリの魅力を伝えて、ユーザーに好意的なレビューを書いてもらう。そしてそのレビュー内容が、さらに多くのユーザーを呼び込む。こうしたサイクルを形成できるかどうかが、勝負の分かれ目だと同氏は言う。

 宮川氏は「これからiPhoneアプリの企画を立てようという方は、『これは勝負アプリなんだ!』ということを心に誓って取り組んでもらいたい。そして、『本当にこれで勝負になるのか?』ということを、厳しく自問自答したり、周囲と真剣に議論することだ」と話し、企画編セッションの最後を締めくくった。

 次回は、「iPhoneゲームアプリ開発セミナー 人気ゲームアプリから見る3つの成功ポイント~プロモーション編」を紹介する。

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この記事の著者

吉村 哲樹(ヨシムラ テツキ)

早稲田大学政治経済学部卒業後、メーカー系システムインテグレーターにてソフトウェア開発に従事。その後、外資系ソフトウェアベンダーでコンサルタント、IT系Webメディアで編集者を務めた後、現在はフリーライターとして活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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