8. スプリントごとに開発することで、逆に先が見えなくならないか?
スプリントは短期の計画実現にフォーカスし、かつ計画の詳細はスプリントごとに行います。当然ながら、スプリントを経るごとに当初の計画とは少しずつ実現される要求が変化していきます。ソフトウェア開発で先が見えづらいということは本質的な問題として目をそらすべきではないものですが、かといって"見えないものなので"と開き直ってしまっては通用しない場面もあるでしょう。
スプリントが目視による走行で現実の信号や道路状態、渋滞などを逐次考慮した現実的な運転であるとするなら、リリースバックログないしはマスタスケジュールなどは目的地の説明であり、目的地に着くためのルート案内かもしれません。それらが適切に併用され、管理者によって最新化され続け、常に先の見通しを示されている必要があります。
9. メンバーが主体的に動くことで逆に管理者から進捗が見えにくくならないか?
現場に判断をゆだねる部分が増えるほど、管理者から見えにくくなることはあるかもしれません。しかし、デイリースクラムで補うことができる部分は多く、さらにシステムによって支援できる部分は多いのではないかと思います。例えば、タスク管理システムでは、作業実績値をつけたら管理者にメールが飛ぶようにする、ソースコード管理システムへコミットとタスクを紐づけるなどが可能です。
ただ、これらの管理の有益にするためには
- (1)コミット時のコメントの充実
- (2)日々の作業履歴の記録
について、しっかり運用されるようにする必要があります。
10. スプリントごとに計画を立てることも管理者にとって負担が大きくないか?
当初は大きいかもしれません。本質的に、常に本当に優先度(価値)の高いものを状況に応じて適切に提供する努力をしなければいけないからです。ただ、同時にメンバーに移譲しやすい仕組みなのではないかとも思います。例えば、見積もりは皆で行いますし、タスク管理システムに開発者自らがタスクを登録することも可能ですし、例えば、デイリースクラムの進行役を持ち回り制にすることも難しくないでしょう。
おわりに
今回は、アジャイル開発の最も基本的な運営単位であるイテレーションについて説明しました。実際には、開発対象のソフトウェアの要求流動性の高さ、契約形態、メンバーのスキル構成、使用技術などにより、多くの制限や工夫が必要な箇所が出てくると思います。しかし、もともとアジャイル開発の手法は、ナレッジマネジメントやカイゼンなど日本からインスパイアされてもおり、もしかしたらなじみやすい部分もあるかもしれません。
スプリントの要は「チーム」ビルディングです。良いチームを作るという観点から、ぜひ、部分部分でもよいのでアジャイル開発のプラクティスを取り込んでいただければ良いのではないかと思います。
今月の復習問題
以下の問題文を読んで正しいものに○、間違っているものに×を付けてください。
- 問題1:デイリースクラムは短く終わるのがよい
- 問題2:スプリントは短いのでアサインされたタスクのみを全力で終わらせる
- 問題3:スプリントを実践さえすればアジャイル開発は部分的にだが取り入れられる
復習問題の答え
- 問題1:○
- 問題2:×
- 問題3:×
状況の共有の場であって作業の場ではありません。問題を察知することは重要なのですが、問題解決の場は別途設定しましょう。
アサインされたタスクに責任を持つことは重要です。しかし、各メンバーはチームとして最良の結果が出ることに注意を払い、また、管理者は適切なサポートをするため、役割の重複はむしろ好ましい状態であると言えます。
アジャイル開発は、管理運営上の工夫と技術上の工夫とが両輪になってきます。技術的なエッセンスも取り入れて進めていくことで、より効果を発揮できるでしょう。
乙類焼酎45ml、チェリーブランデー15mlをグラスに注ぎ、お湯を満たしてレモンスライスを添えてできあがり。体の芯まで温まるこれからの季節向きの一品です。
乙類の焼酎は、自分の好みで選びます。私は芋が好きですが、カクテルで芋は強烈過ぎてブランデーの香りとぶつかるって方は麦でも蕎麦でもいいでしょう。それでもきついという人は甲種焼酎でもいいと思います。
カクテルのレシピは自分好みで良く、いろいろ試してみるのが楽しいです。「芋はあり得ない」などと自分の価値観を押し付ける人は、得てして飲んだことがない人です。美味しければ成功というのがカクテルの真理でしょう。
これはアジャイルも一緒です。アジャイルはこうでなければと頭の固い人がいますが、アジャイルもいろいろなやり方があります。自社に合ったやり方を試行錯誤し、成功パターンを持っていることが大事です。
今回、紹介されたディーバ社のやり方は、そうした実践の中から生まれています。試してみて、やっぱり自分は芋の方が…となるかも知れませんが、まずは飲んでみましょう。きっとおいしいですよ。(梅)
