Visual Studio “11” で運用も含めた「継続的フィードバック」を実現
Visual Studio 2010でもここまでできるようになっているが、次期バージョンVisual Studio “11” ではさらにそれを進化させ、開発だけではなく運用も含めた「継続的フィードバック」を実現するための仕組みを提供している。
例えば運用においては、何らかの障害が起こるものである。運用のインシデントを発行し、アサインされた運用者がそれを解決する。これからは、インシデントをRunbook Automation(ランブック自動化ツール)にアサインでき、あらゆる運用のアクティビティをオーケストレーションして、人を介さずに的確でスピーディな対応ができるようになってきている。System Center Orchestrator 2012がその役割を担う。一方、開発もこの流れの中に組みこまれることになる。運用しているアプリケーションに問題が発生したとき、オーケストレーションにより、バグの一つ一つ、ソースコードの変更セット、ビルド一つ一つを呼び出すことができるようになる。したがって、自動デプロイや自動ロールバックが行える下地はすでにできている。開発が透明でないと開発がボトルネックとなり、ビジネスを遅らせる要因となってしまうわけだ。
「Visual Studio “11” にはさまざまな使える機能が提供されている。代表的なものについてデモを交えて紹介したい」と長沢氏。
まずはストーリーボード機能。これは顧客のニーズを集めるのに便利な機能だ。
「PowerPoint上にお客さまのニーズを正確にまとめていくことができる。フィードバックはTFSに記録されるので、メンバー全員がそれを共有、抜けなくフィードバックに対応できるようになる」(長沢氏)
次はフィードバックマネジャー機能。ユーザーからのフィードバックを適切に管理、品質向上につなげる機能だ。「このツールの面白いところは、スクリーンショットやメモが簡単に取れること。そしてここで行った操作は記録されるのはもちろん、声も録音できる。お客さまのニーズをより取り込めるようになるはずだ」と長沢氏。
バックログの管理を直感的に操作できるようなツールも提供される。それが「Team Foundation Server Web App」である。これを使えばプロダクト・バックログとベロシティ、スプリント・バックログとバーンダウン・チャートが一つの画面で見られるようになる。「バックログ情報の優先順位を変えたり、タスクのスプリント間移動もドラッグアンドドロップでできるようになる」と長沢氏。
忙しい開発者を支援する機能も提供される。それが「チームエクスプローラー」に追加された「My Work」機能だ。これを使えば「自分が今やらなければならない仕事、レビューに回っている仕事がひと目でわかることに加え、仕事の切り替えが簡単にできるようになる」と長沢氏は実際にデモを見せながらその便利さを解説する。
単体テストを支援する機能も追加される。それが「Unit Test Explorer」である。これを使えばコードを書いているときでもビルドさえすれば、開発者にとって必要なユニットテストを勝手に実行し、問題があればその箇所をナビゲートしてくれるようになる。「マイクロソフトが提供する単体テストのフレームワークだけに対応していたが、NUnit、xUnit.NETなども複合的に取り込んでできるようになる」と長沢氏。
探索型テストを支援する機能も提供される。探索型テストはテスト担当者の匠としての知識を基に行われるテストである。テストを実施しバグを見つければ、クリックするだけでバグを起票できるようになる。またバグ項目からテストケースの発行も可能。最終的に開発者が実行までコードまで落とすことができるようになるという。操作手順もビデオで録画できるので、匠の技をナレッジとして蓄積できるようになるわけだ。
もちろんすべての開発現場にVisual Studioがフィットするわけではないだろう。しかし長沢氏は「開発者がよりクリエイティブな仕事をするためにツールを活用しない手はない。それぐらいツールは進化している。中でもVisual Studioはかなり成熟している。Developer Previewも公開しているので、ぜひ試してほしい」と熱く語り、セッションを終了した。
なお、2月17日時点では「Visual Studio 11 Developer Preview」が公開されていたが、2月29日より「Visual Studio 11 Beta」が公開され、日本語UIでより多くの機能を試すことが可能となっている。Betaの詳細情報および全機能のダウンロードは、Visual Studio 11 Beta公式サイトを参照のこと。
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