事前検証:ホットステージ
ネットワーク機器の設定を設営日に行っている時間はない上、作成した設定で当日に機器が想定通りに動作するか事前に検証しておく必要があります。そのため、8月中旬より合計4日間程かけて、会場で実際に使う機器をすべて接続してテストを行う“ホットステージ”と呼ばれる検証環境を構築しました。あらかじめ作成したパラメーターシートをもとに機器に設定を投入していき、想定通りに動作するか確認し、違いがあれば修正していきました。前述のDualStack-Liteなど新規技術の採用を行ったこともあり、確認は入念に繰り返し行っています。
また、会場で利用するケーブルは、既製品は使用せずすべてこのホットステージ期間に自作しました。既製品ですと会場にぴったりの長さの物はなく、余長が発生し配線作業の効率が低下するためです。各ケーブルの長さは事前調査と図面から算出をしています。さらにケーブルには接続元機器とポート番号、接続先機器とポート番号、図面と同様のケーブル番号を記載したタグを取り付けました。こちらも配線作業の効率化と結線ミス防止が目的です。
設営日:構築作業
現地での構築作業は会期前日の9月12日の17:30-21:00で行いました。翌日は9:00の開場と同時に参加者がネットワークを利用するため、前日の約3時間で配線、機器の接続、動作確認まですべての作業を終える必要がありました。そのため、時間内に作業を終えられるよう事前に十分な検討を重ねて詳細なスケジュールや手順書を作成し設営日に臨みました。
構築作業の中心となるのはケーブルの配線作業です。ケーブルは床上に養生テープで固定する方法で配線を行いますが、参加者の安全や断線などの障害が発生しないように十分に注意をして配線を行いました。例えば、通行量が多いことが予想されるカンファレンスホールの出入口付近では通行により養生テープが剥がれて転倒事故が発生することを防ぐためにポールを使ってケーブルを架空配線しました。また、階段の出入口など扉を挟む部分に関しては扉の開閉によりケーブルが断線し障害が発生する可能性を考え、障害発生時にケーブルを迅速に交換できるよう延長コネクタを利用して配線しました。
上記の他にも会場側で定められたルールや、避難経路や防火扉など消防上考慮しなければならない部分などがあり、ケーブルの配線は一見単純な作業だと思われがちですが、考慮すべきポイントが多い作業です。PyCon JP 2014で会場内にNOC担当が配線したケーブルの総延長は900mにもおよびます。