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「PyCon JP 2014」レポート

PyCon JP 2014レポート
~第1回 座長挨拶・会場チームの作業内容について

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当日の運用

 500人以上の人がネットワークを同時に利用するため、一度でも「多数の人がネットワークに繋がらない」状態を作ってしまうと、モバイルルーターなどを利用する方が増加し、会場内の電波状態が大幅に悪化する事態を連鎖的に発生させる可能性があるため、障害には即時対応を原則に、舞台袖でNOCメンバーが交代で緊張感をもってネットワークの監視にあたりました。

1.監視ツール

 ネットワークの監視にはPingによる機器の死活監視とSNMPによるトラフィック監視を行いました。死活監視にはDeadManというオープンソースのツールを利用しました(注4)。登録した機器にPingを打ち続け、稼働している機器は緑色、ダウンしている機器は赤色で表示してくれます。非常にシンプルなツールですが分かりやすく、ネットワーク系の展示会であるInterop Tokyo 2014のNOC担当も利用しているツールです。

注4

 【Github】deadman

監視画面
監視画面

 SNMPを利用したトラフィック監視にはオープンソースのZabbixというツールを利用しました。

 会期中、インターネット側からの下りトラフィックは最大145Mbpsを、双方向の転送量の合計は1日あたり約150GByteを記録しました。

 また、監視ツールでの発見が難しい障害、例えば「遅い」「繋がりづらい」などの問題に関しては、実際に接続している参加者がいち早く気が付くため、Twitterを使って積極的に情報発信や情報収集を行いました。実例は「参加者からの打ち上げ対応」で述べます。

2.障害対応

 会期中、多くの参加者がネットワークを利用できなくなるような障害は発生しませんでしたが、小さなトラブルは一定数発生しており、その都度NOCメンバーが対応にあたっていました。例えば、ホワイエなどでスイッチの接続されている電源ケーブルを誤って抜かれてしまう事象が何度か発生しました。

3.参加者からの打ち上げ対応

 2日目の午後に4階の会議室より無線LANが繋がりづらいとの情報をTwitterより受け、調査を行いました。調査の結果、4階の会議室は座席数より無線LANアクセスポイント2台としておりましたが、立ち見が出る程人気のあるセッションが開催されていたため、1台の無線LANアクセスポイントあたりの収容人数が多くなりすぎ、無線LANアクセスポイント1台あたり安定して利用できる接続端末台数を超過している状況でした。すぐに無線LANアクセスポイントを追加することはできない状況でしたので、双方の無線LANアクセスポイントの電波出力を上げ、不安定になっている無線LANアクセスポイントを再起動するなどの対応を行いました。

4.無線LANアクセスポイントの追加

 9月13日のパーティでは会場の1階のスペースも利用しました。当初は1階には無線LANの提供は行わない予定でしたが、参加者の皆様に少しでも快適に無線LANをご利用していただきたいという思いより、当日に急遽無線LANアクセスポイントの追加を行いました。このような柔軟な対応が求められるのもカンファレンスネットワーク運用ならではのことです。その他にも会場内の参加者の皆様の移動や電波状況を見ながら、何か所かに無線LANアクセスポイントの当日追加を実施しています。

NOCツアーと可視化で「再発見」

 PyCon JP 2014に来場している参加者はプログラマーが中心で、普段ネットワークの構築、運用を行わない方が多いと思います。そのためネットワークに関する深い知識に触れたことがない方も想定されました。PyCon JP 2014のテーマに併せた「ネットワークを通じて”再発見”をしていただくこと」との思いを具体的に伝えるために、デジタルサイネージを利用してネットワークを可視化した画面の表示と、ネットワーク運用している場所の見学と解説を行う「NOCツアー」を行いました。

会場ネットワークの可視化
会場ネットワークの可視化
NOCツアー(1)
NOCツアー(1)
NOCツアー(2)
NOCツアー(2)

 当初の予定にない突発的な企画でしたが、NOCツアーには合計50名程のお客様にご参加いただきました。NOCツアーや可視化を通じて普段はネットワークに深く関わらない業務をされている方などに、少しでもネットワークに興味を持っていただけたなら幸いです。

終わりに

 私は本業がネットワークエンジニアであり、プログラマーではないため、スタッフとして仕事の進め方の文化が異なる部分などで戸惑いを感じることもありましたが、普段は関わりの少ないコミュニティの方とPyCon JP 2014を作り上げる中で、数多くのことを学ぶことができました。来年のPyCon JP 2015でも何らかの形でネットワーク構築の協力ができればと考えています。

 またNOC担当スタッフには学生が2人、社会人1年目の人が3人参加していました。学業や慣れない仕事で忙しい中、NOCメンバーに多大なる貢献をしてくれました。彼らがこのNOC担当の経験を将来の学業や仕事において何らかの糧にしてくれることを期待したいと思います。

 最後となりましたが、会場ネットワークを構築するにあたり、必要となる機材やインターネット接続サービスを、株式会社インターネットイニシアティブ様、インターネットマルチフィード株式会社様、株式会社シーアイオープラス様、ヤマハ株式会社様にご提供いただきました。この場を借りて、改めて感謝申し上げます。

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パーティについて

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この記事の著者

鈴木 たかのり(スズキ タカノリ)

PyCon JP 2016座長。 株式会社ビープラウド所属部内のサイトを作るためにZope/Ploneと出会い、その後必要にかられてPythonを使い始める。PyCon JPでは2011年1月のPyCo...

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ナツ(ナツ)

ゲリラ的テスト屋さん。Python使いではありませんが、PyCon JPでは会場担当を引き受けて4年目になります。 Twitter: @natsu_bm

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筒井 隆次(ツツイ リュウジ)

本業はWebエンジニア。メイン言語はJava、PHP、Python。Pythonを学んだのは2011年ごろで、Python歴はまだ浅いのですが、書きやすさから今では一番お気に入りの言語になりました。最近、仕事でも念願のPython(Django)デビューができました(PyCon JPスタッフ活動のおかげかも?)。Twitter: @ryu22e Blog: ryu22eBlog

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

Kosei Kitahara(キタハラ コウセイ)

Web系なエンジニア。AWS, Docker, Python, Djangoあたりが好き。仕事では主にPythonを使ったサーバサイドアプリの開発をしています。Twitter: @Surgo Facebook: Kosei Kitahara

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金井 貴浩(カナイ タカヒロ)

株式会社インターネットイニシアティブ所属。ネットワークエンジニア1年目。自宅にネットワークの検証環境を構築し、日々学び続けています。いくつかのイベントネットワークの構築も経験し、今回は設計から携わりたいためPyConネットワークチームに参加。Twitter: @taka_stack

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水野 真璃(ミズノ マリ)

 PyCon JPスタッフ2年生。Python書かないどころかプログラミングしていなくても入れる太っ腹なPythonボルダリング部(#kabepy)で壁を登っています。部員の腹は出ていません。

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山口 勝司(ヤマグチ カツシ)

株式会社インターネットイニシアティブ 新しい技術にチャレンジする事、自分の設計したネットワークを多くの方に使って頂ける事に喜びを感じ、様々なカンファレンスネットワーク構築チーム、ネットワーク関連の勉強会などに積極的に参加しています。Twitter:@yamaarashi0518 Blog:http://www.ipnet-lab.jp

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https://codezine.jp/article/detail/8196 2014/10/28 14:00

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