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テスト自動化研究会の『システムテスト自動化 標準ガイド』を15倍あなたの力にする話

『システムテスト自動化 標準ガイド』の第2章 ~ 原書の刊行当時から変わったこと/変わらないことと補完すべきこと

テスト自動化研究会の『システムテスト自動化 標準ガイド』を15倍あなたの力にする話 第2回


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 本連載は、昨年12月に刊行された書籍『システムテスト自動化 標準ガイド』の翻訳あるいは執筆を担当した方に、担当した章について自身の体験談などを交えつつ、同書の魅力や開発現場で役立つポイントなどを語っていただきます。今回は第2部の監修を担当された太田健一郎さんが、第2章「キャプチャーリプレイはテスト自動化ではない」について、原書の刊行当時(1999年)現在になって変わったことや、逆に変わらないこと、補完すべきことを解説してくださいます。(編集部)

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システムテスト自動化 標準ガイド

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システムテスト自動化 標準ガイド
著者 : Mark Fewster、Dorothy Graham
訳者 : テスト自動化研究会
出版社: 翔泳社
頁数 : 488ページ
定価 : 3,800円(+消費税)
判型 : A5版
色数 : 1色
刊行日: 2014年12月16日
ISBN: 978-4-7981-3921-0

第2章の中で原書の刊行当時から「変わった」こと

 テスト自動化研究会(略称:STAR)の太田健一郎と申します。『システムテスト自動化 標準ガイド』では第2部の監修を担当しました。

 担当した第2部は事例集だったのですが、15年前に刊行された原書の事例は内容が古く、現在のテスト自動化の参考になる情報がほとんどありませんでした。しかし、事例は紹介したほうがよいので、翻訳刊行するにあたって翻訳メンバーとは別に執筆メンバーを募り、最新事例の書き下ろしを収録しました。

 一方で、テスト自動化の理論を解説する第1部は内容が普遍的で、そのまま翻訳しても差し支えないものでした。とはいえ、刊行から15年の間に変わった部分もあります。第2章に書かれていたことのうち、現在までに変わったことを次表にまとめました。

第2章に書かれていることのうち、現在までに変わったこと
分類 当時 現在
テスト自動化アプリケーション Windowsネイティブアプリケーション Webアプリケーション/
モバイルアプリケーション
テスト自動化ツール 商用 OSS
代表的なツール Mercury(現HP) WinRunner Selenium
テスト自動化の課題 GUIオブジェクト認識 マルチブラウザ
マルチプラットフォーム

 原書刊行当時は、実用レベルのアプリケーションとしてはWindowsネイティブアプリケーションが中心でした。第2章や原書の第2部で紹介されている事例でも、Windowsネイティブアプリケーションがテスト自動化対象の中心です。Webやスマートデバイスのアプリケーションが中心の現在とは大きく異なります。

 システムテストにおいては、テスト自動化が一部のエンジニアだけでなく、多くのエンジニアが低い初期コストで取り組めるプラクティスとなったことが大きな変化として挙げられるでしょう。その背景には、「Selenium」(IDEおよびWebDriver)をはじめとするOSSのテスト自動化ツールの普及があります。

 OSSのテスト自動化ツールは、ツールのライセンス費用というテスト自動化の障壁を取り払ってくれました。今や、ツール導入のROI(費用対効果)に影響を与えるのはツールのライセンス費用ではありません。テスト自動化に関わるエンジニアのスキルや、自動化の実行基盤であるクラウドサービスの質が大きな影響を与えます。

第2章の中で原書の刊行当時から「変わらない」こと

 一方で、『システムテスト自動化 標準ガイド』の第2章で説明されている次の事実は、15年経っても変わっていません。

  • キャプチャーリプレイはテスト自動化ではない
  • 比較の検証は自分で作成もしくは挿入する必要がある

 テスト自動化ツールのキャプチャーリプレイ機能を使い、単純にアプリケーションの操作を記録しても、テスト入力が自動化されるだけです。これはツールが進化した現在でも変わらないシンプルな事実です。比較の検証はテストエンジニアが作成したり挿入したりする必要がある点も変わりません。

 ただし、比較の方法にはいくらか変化があります。

 OSSのテスト自動化ツールの多くは、商用ツールのようなオールインワン型ではありません。Webアプリケーションとの通信API(Selenium WebDriverやGeb)とテスト実行ツール(JUnitやSpock)を組み合わせてテストするケースがほとんどです。そのため、最近では「実行後比較」よりも、テスト実行ツールから検証APIを呼び出す「動的比較」が主流です。言葉の上でも、動的比較と実行後比較を明確に呼び分ける場面が減ってきたと、筆者は感じています。

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この記事の著者

太田 健一郎(オオタ ケンイチロウ)

大手SIerおよびWebサービス会社にてツール開発、自動テスト、自動ビルドの導入などを経験。現在、株式会社SHIFTにてCIやテスト自動化の導入、コンサルティング、トレーニングを担当。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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