Javaの20年は、開発コミュニティの協力があってのもの
今年20周年を迎えるJava。基調講演の冒頭では、5月に還暦を迎えるというJavaの生みの親の一人、ジェームズ・ゴズリン氏が「皆さんが二十歳の時、非常に元気だったでしょう。Javaは今まさにそういう段階です。Javaの開発コミュニティは活発で、Javaのスキルセット一つで全ての開発が行えてしまう心躍る時代になってきています。特に日本のコミュニティのエネルギーは高く、日本では本当に楽しい時間を過ごしました。次の20年もまた皆さんと楽しみたい」というビデオメッセージを寄せた。
講演の司会を務めたJavaのプロダクトマネージャー、シャラット・チャンダー氏も、Javaが20年かけて達成した、30億台のデバイスへの搭載、900万人を越える開発者といった業績を紹介した後に、鈴木雄介氏(日本Javaユーザグループ会長)、阪田浩一氏(関西Javaエンジニアの会主催)によるコミュニティ活動や、末永恭正氏(OpenJDK 9コミッター)、大村忠史氏(OpenJFXコミッター)、久保田祐史氏(OpenJDKコントリビューター)、吉田真也氏(Lambdaコントリビューター)によるOpenJDKへの貢献の功績をたたえるなど、「Javaの成長はコミュニティの協力があってのもの」「今後20年の進化にも皆さんの貢献が欠かせない」という点を強く意識した発表内容となった。
堅実な進化を続けるJavaの開発プラットフォーム
オラクル・コーポレーションのジョージ・サーブ氏(Javaプラットフォーム開発 バイスプレジデント)は、最新版の開発環境「JDK 8」に対し、Lambda構文などの新機能やパフォーマンス改善、セキュリティアップデートといった特長を振り返り、Java SEに関連する話題として、アルデバラン・ロボティクスのローレント・レック氏がヒューマノイドロボット「Pepper」向けのJava SDKの発表と、プログラミングのデモンストレーションを行うことで、Javaの適用範囲の広がりを示した。
今後のロードマップとしては、先月リリースされたJDK 8, Update 40(JDK 8u40)に続いて、マイナーリリースのUpdate 60(8u60)が今年後半に、次バージョンのJDK 9が来年リリースされる予定。JDK 9では、モジュール機能をJavaに付与する「Project Jigsaw」に現在関わっており、これにより今後のパッケージ化の方法が大きく変わり、さまざまな改善が行われるという。どちらもウィークリービルドで早期アクセスできる(JDK 8u60、JDK 9)ので、ぜひ試してフィードバックが欲しいと促した。
組込み向けのJava Embededについては、用途ごとにAPIと言語仕様が細分化されていた状況を「Java SE 8」と「Java ME 8」に集約した経緯や、直近1年のリリース状況、適用領域を示した上で、業界との協業例として、ルネサス エレクトロニクスによる「バスの運行状況をバス停がツイートする仮想事例」や、オラクル・コーポレーションのIoTチームのアーキテクト、ジャスパー・ポッツ氏によるJavaOne 2014で紹介された「Java Car(センサーとしてIoTデバイスが組み込まれた車がサーバーと連係し車を制御するというもの)」のデモンストレーションが行われた。今後はより多くのデバイスのサポートを目指していくという。