ここまで進んでいる最新技術
では、ややギーク気味にはなりますが、LinuxカーネルにおけるBluetooth 4.2対応状況を見ていきましょう(図9)。
こちらの資料は発表時期が2015年3月とやや古いので、最新版では変更がありそうですが、おおむねLinuxカーネルにおけるBluetooth 4.2対応は着々と進んでいるのが分かります。現在最新のLinuxカーネルは4.Xまで進んでいますので、さらなるリリースの進捗が期待できるところです。Bluetooth上でIPv6通信を実現する6LoWPAN(シックスロウパン)やL2CAP(エルツーキャップ)に至っては、すでに実装が済んでおり、先駆的なシステムエンジニアの間での評価も始まっている状況です。
とはいえ、世界は均一にすべてが一気には変化していきません。図10は、旧来からあるフィットネス系Webサービスと、そこで利用されているBluetooth対応デバイスのリストです。その数は147アイテムを数えており、ここまでBluetoothデバイスってあったのか……と筆者も驚くばかりです。
繰り返しになりますが、世界は均一にすべてが一気には変化していきません。これらWebサービスやそれに対応するBluetooth対応デバイスも段階的に増えていくことでしょうし、またその数も、おそらく現在よりも増えていくのではと筆者は感じています。
さらに、もう一つモノのインターネットに地殻変動を起こすと言われている技術があります。それがEmbeddedm SIM(eUICC/組み込み型SIM)です。このeUICCは最初から工業向けM2Mなど大量出荷を念頭において設計されている仕様であり、半導体の中にCPUとFlash、Memoryを搭載しています(図11)。
まだこの仕組みが稼働しているモノを筆者が見ていないため、あくまでドキュメント上の理解ですが、eUICC搭載通信デバイスは最初からモバイル通信網に標準接続でき、その上で自身が利用する通信キャリアを選択、プロファイルを遠隔からeUICCに書き込んでデータ通信を開始する仕組みをもっています。
これがもたらす効能としては、SIMが持つ固有プロファイルを一つ一つ書き込むのではなく、大量に生産したICへリモートからプロファイルをソフトウェア的に書き込むことで製品出荷やリリースを簡素化できます。
当然いまあるSIMの考え方や、モバイルキャリア同士の枠組み、さらにMNO(移動体通信事業者: Mobile Network Operator)、MVNO(仮想移動体通信事業者: Mobile Virtual Network Operator)といった立ち位置も変化が生じてくるかと思いますが、それはちょっと先の未来のお話しになっていくでしょう。
最後に3~5年先に起こるかもしれない、ちょっと先の未来についてみていきましょう(図12) あくまで仮説ですが、Bluetooth 4.2のようなモノをインターネットから直接触れる通信規格や組み込み型SIM(eUICC)のような通信規格の大規模普及が成功した場合、より安価に普段使いできるインターネットにつながるデバイスの世界が来るのでは、と筆者は感じています(注意: 未来は未定です)。
これから2020年までの5年の間に新たな通信規格やアイデア、もっとドラスティックなモノのインターネットへの取り組み、新たなバズワード化など、いろいろと頭に浮かびますが、名前や名称がどうであれ、皆さまが望む「より安価に普段使いできる"Connected"なデバイスの世界」は、着実に近づいてきています。
さて、ここまで『モノのインターネットのこれから』と題して、私たちが置かれているIT産業の最前線を考察してきました。何か一つでも読者の皆さまのお役に立っていましたら幸いです。
