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【デブサミ2016】セッションレポート(AD)

【デブサミ2016】19-B-2レポート
デバイスも続々登場! UMPアプリの開発でWindows 10 Mobileを盛り上げよう

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 日本で初めてWindows Phoneが発売されたのは2011年。その後、海外では販売され続けていたものの、日本では、2015年にWindows 10 Mobileがリリースされるまでの4年間、新機種は発売されていなかった。現在、そんな空白の時期などなかったかのように、国内ではWindows Phoneのリリースラッシュが続いている。その背景にあるのが、Windows 10の登場により、デスクトップ、ラップトップ、タブレット、Xboxが一つのWindowsとして統一される動きが始まっていることだ。Windows 10 Mobileとはどういう環境なのか。またその上で動くUniversal Windows Platform(UWP)アプリとはどういうものなのか。日本マイクロソフト デベロッパーエバンジェリズム統括本部 プラットフォームエバンジェリストの高橋忍氏が解説した。

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日本マイクロソフト デベロッパーエバンジェリズム統括本部 プラットフォームエバンジェリスト 高橋忍氏
日本マイクロソフト デベロッパーエバンジェリズム統括本部 プラットフォームエバンジェリスト 高橋忍氏

8社9機種のWindows10 Mobileが登場、日本のデバイスは世界でも注目を集めている

 セッション冒頭、5月24日、25日に東京で開催される開発者のための技術カンファレンス「de:code」を紹介し、参加を呼びかけることから、高橋氏のセッションは始まった。高橋氏は2001年にマイクロソフトに転職。以来、開発支援に従事してきたという。マイクロソフトの技術者Webチャンネル「Channel9」で「しのぶちゃんねる」を運営しており、「いろいろ役立つ情報を発信しているので見てほしい」と会場に呼びかけ、セッションの本題へと移った。

 まずはWindows Phoneのこれまでとこれからについて。Windows Phoneの歴史は2010年にWindows Phone 7がリリースされたことから始まる。高橋氏は「2010年にWindows Phone 7が登場してからいろいろあった。2011年に日本でリリースされてからの4年間、日本でWindows Phoneがリリースされないなんて思いもしなかった」と明かす。

 実はWindows Phone 7.5が日本でリリースされたが、そこにはさまざまな失敗があったと高橋氏は振り返る。まず価格が高すぎたこと。そしてキャリアメールのクオリティが低かったこと。「当時、日本市場ではまだフィーチャーフォンが主流だったため、キャリアメールの存在が大きかった」と高橋氏。さらにストアシステムも、今思えば利用しやすいものではなかった。例えばストアシステムの登録料は、毎年9800円かかっていたという。その結果、日本のストアはアプリが0本の状態でスタートしたという。もちろん「アプリのリクルーティングはしていたが……」と高橋氏は語る。それでもLINEやNAVITIMEの乗換案内アプリなど、一部のアプリを獲得できたこと、Bingマップの品質が上がっていたことなどは成功要因だったという。

 2012年にはWindows Phone 8がリリースされた。その際、マイクロソフトはOEM先をグローバルでリリースするメーカーに絞ったという。またWindows Phone 8ではカーネルチェンジを行ったことにより、Windows Phone 7から8への更新ができなくなった。「このような背景により日本ではデバイスの発売がなかった」と高橋氏は説明する。2013年にマイクロソフトがノキアを買収。Windows Phone 8の標準としてノキアのHERE Mapsを導入。しかしこの地図には「日本の位置情報が入っていなかった」と高橋氏は語る。2014年にはWindows Phone 7.5のサポートが切れたことで、Windows PhoneのOEMメーカーはほぼLumiaだけに。そこで8.1がリリースされたことをきっかけに、マイクロソフトは「カメラボタンはハードウェアでなければいけない」というようなレギュレーションを大きく変更し、Android用として生産された端末にWindowsを載せられるようにしたという。

 日本では2011年以降リリースされていなかったWindows Phoneだが、ついに2015年、マウスコンピューターよりWindows Phone 8.1の「MADOSMA」が発売された。同年10月にWindows 10の発表とともに、Mobile対応メーカーのお披露目があった。現在、Windows 10 Mobileは8社9機種まで増えたと高橋氏は嬉しそうに話す。その背景には、SIMフリーの普及やMVNOの台頭、さらにWindows 10によるOne Windowsコンセプトにも共感が集まったからだろうと高橋氏は言う。「現在日本のデバイスは世界が注目している。3月30日から米サンフランシスコで開催を予定しているマイクロソフトの開発者向けイベント『Build 2016』でも新しい情報が出るかもしれないので、注目してほしい」と述べた。

8社9機種がラインナップ。Windows 10 Mobile
8社9機種がラインナップ。Windows 10 Mobile

Continuum、Cortana……Windows 10 Mobileの目玉機能

 Windows 10 Mobileにはいくつかの目玉機能がある。まずは「Continuum」。「今のところSnapdragon 617と800シリーズのハイエンド機種でしか使えないが、スマートフォンに外部モニターを接続して使える機能だ」と高橋氏は説明する。つまり外部モニターをフルスクリーンとして使えるというわけだ。Continuumで使えるアプリはUWPのみとなり、その一つだけを全画面で起動できる。「出張の際、Windows Phoneとキーボードとマウスを持って行き、ホテルのモニターにつなげば、ちょっとした作業が容易にできるようになる」と高橋氏。

 次はCortana。これは音声によるパーソナルアシスタントで、「PCのCortanaと同じ」と高橋氏。「日本語の認識はだいぶよくなったが、みなさんがさらにCortanaと会話すれば認識率が高まるので、ぜひお願いしたい」と高橋氏は会場に呼びかけた。またここで米国のデバイスメーカーSatechiのCortanaを呼び出すための専用ボタン「Satechi Bluetooth Cortana Button」の紹介も。車でWindows Phoneを操作するときに便利に使えるのだそうだ。三番目はWindows Hello。これは生体認証の仕組みで、「虹彩認証の機能を提供している」と高橋氏。

 そのほかにもMap機能がBing Mapに変わったことで機能強化されたこと、さらに日本語キーボードも機能が充実していることも見逃せない。例えば日本語キーボードはカーブフリックに対応しており、濁点や半濁音までワンストロークで入力できるようになっているという。さらに英語のキーボードの場合には、単語をおおまかになぞるだけで高速に入力できるワードフローが標準搭載されている。「便利な機能なので、ぜひ使っていただきたい」と高橋氏は語る。またマイクロソフトではWindows 10に関して「こういう機能がほしい」「こうするとより便利になるのに」というフィードバックツールを受け付けており、Windows Phoneからは、電源ボタン+ボリュームダウンの操作でフィードバックツールを立ち上げられるので「気軽にフィードバックを送ってほしい」と受講者に参加を促した。

スマートフォンに外部モニターを接続して使える「Continuum for Phone」
スマートフォンに外部モニターを接続して使える「Continuum for Phone」

Windows10 Mobile向けのアプリはUMPで開発してほしい

 Windows 10のリリースにより、マイクロソフトの悲願でもあった、一つのOSですべてのデバイスを動かすことができるようになった。Windows 10では既存のアプリ資産はそのまま利用可能となっている。ただし、今後アプリーションを開発する場合は「UWPで開発してほしい」と高橋氏は強調する。その理由は9つある。

 第一にすべてのWindows 10デバイスで動作することだ。「これから発売が予定されるHoloLensでも動かせるし、Surface Hubのような大画面でも動かすことができる。どんなアプリでもすごく面白い経験ができるはず」と高橋氏は言う。第二にインストールメディア・ファイルを維持する必要が無いこと。第三はさまざまな画面サイズに対応できること。第四はWindowsストアからダウンロード・アップロードできること。第五は新しいデバイスに対して、アプリをまとめてインストールできること。第六はWindows 10のビルド番号に依存しないこと。

 第七はContinuum for Phoneに対応していること。Continuumは先述したとおり、Windows Phoneを外部モニターに接続して、アプリを全画面表示できるという機能である。「例えば外部モニターにはゲームなどのアプリを表示し、Windows Phoneをコントローラとして使うようなことが簡単にできる」と語る。そのような2画面の実装方法については、「簡単なコードだが私のブログの中で紹介している(『UWP を Continuum に完全対応させるには?』)。ぜひそれを参照してほしい」と高橋氏はContinuumの活用についても紹介した。第八は非公開のままWindowsストアにアップできること。第九はビジネスストアを通じて社内専用のアプリも公開・配布ができることだ。

 さらに現在、Windows 10では「Bridge」というWebや.NET、Win32、Android、Java/C++など既存のアプリケーションを簡単に移植できるという技術を開発しているという。Windows Bridge for Web Appsは、Webビューを使ってアプリケーション化するという技術。Webサイトをストアへ公開したり、Webサイト上のJavaScriptでUAP API(Universal App Platform API)を呼び出せたり、Webサイト上でネイティブとの混在が可能になったりするという。「これはコードを1行も書かずに設定するだけ。Channel9の『VS魂』でデモを交えて詳細に紹介しているので、そちらを参照してほしい」と高橋氏。

 さらにもう一つ「Windows Bridge for iOS」についても簡単に説明。これはObjective-CのXcodeプロジェクトをVisual Studioに読み込んでコンパイルすることでUWPのアプリが作れるという技術。現在開発中だが、その進捗を含めGitHubで公開している。まだ使い物にならないかもしれないがという前置きをしながらも「ぜひ、Objective-CのiOSアプリを開発している方は、ライブラリを試して、その結果をフィードバックしてほしい」と語る。

 日本でもWindows Phoneのデバイスが続々と登場しているが、アプリケーションはまだまだ足りない。「UWPのアプリケーションを作っていただき、Windowsモバイルを盛り上げてほしい」高橋氏は最後にこう会場に呼びかけ、セッションを締めた。

現在開発中のiOSアプリをUWPアプリにコンパイルする技術「Windows Bridge for iOS」
現在開発中のiOSアプリをUWPアプリにコンパイルする技術「Windows Bridge for iOS」

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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https://codezine.jp/article/detail/9315 2016/03/24 14:00

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