8社9機種のWindows10 Mobileが登場、日本のデバイスは世界でも注目を集めている
セッション冒頭、5月24日、25日に東京で開催される開発者のための技術カンファレンス「de:code」を紹介し、参加を呼びかけることから、高橋氏のセッションは始まった。高橋氏は2001年にマイクロソフトに転職。以来、開発支援に従事してきたという。マイクロソフトの技術者Webチャンネル「Channel9」で「しのぶちゃんねる」を運営しており、「いろいろ役立つ情報を発信しているので見てほしい」と会場に呼びかけ、セッションの本題へと移った。
まずはWindows Phoneのこれまでとこれからについて。Windows Phoneの歴史は2010年にWindows Phone 7がリリースされたことから始まる。高橋氏は「2010年にWindows Phone 7が登場してからいろいろあった。2011年に日本でリリースされてからの4年間、日本でWindows Phoneがリリースされないなんて思いもしなかった」と明かす。
実はWindows Phone 7.5が日本でリリースされたが、そこにはさまざまな失敗があったと高橋氏は振り返る。まず価格が高すぎたこと。そしてキャリアメールのクオリティが低かったこと。「当時、日本市場ではまだフィーチャーフォンが主流だったため、キャリアメールの存在が大きかった」と高橋氏。さらにストアシステムも、今思えば利用しやすいものではなかった。例えばストアシステムの登録料は、毎年9800円かかっていたという。その結果、日本のストアはアプリが0本の状態でスタートしたという。もちろん「アプリのリクルーティングはしていたが……」と高橋氏は語る。それでもLINEやNAVITIMEの乗換案内アプリなど、一部のアプリを獲得できたこと、Bingマップの品質が上がっていたことなどは成功要因だったという。
2012年にはWindows Phone 8がリリースされた。その際、マイクロソフトはOEM先をグローバルでリリースするメーカーに絞ったという。またWindows Phone 8ではカーネルチェンジを行ったことにより、Windows Phone 7から8への更新ができなくなった。「このような背景により日本ではデバイスの発売がなかった」と高橋氏は説明する。2013年にマイクロソフトがノキアを買収。Windows Phone 8の標準としてノキアのHERE Mapsを導入。しかしこの地図には「日本の位置情報が入っていなかった」と高橋氏は語る。2014年にはWindows Phone 7.5のサポートが切れたことで、Windows PhoneのOEMメーカーはほぼLumiaだけに。そこで8.1がリリースされたことをきっかけに、マイクロソフトは「カメラボタンはハードウェアでなければいけない」というようなレギュレーションを大きく変更し、Android用として生産された端末にWindowsを載せられるようにしたという。
日本では2011年以降リリースされていなかったWindows Phoneだが、ついに2015年、マウスコンピューターよりWindows Phone 8.1の「MADOSMA」が発売された。同年10月にWindows 10の発表とともに、Mobile対応メーカーのお披露目があった。現在、Windows 10 Mobileは8社9機種まで増えたと高橋氏は嬉しそうに話す。その背景には、SIMフリーの普及やMVNOの台頭、さらにWindows 10によるOne Windowsコンセプトにも共感が集まったからだろうと高橋氏は言う。「現在日本のデバイスは世界が注目している。3月30日から米サンフランシスコで開催を予定しているマイクロソフトの開発者向けイベント『Build 2016』でも新しい情報が出るかもしれないので、注目してほしい」と述べた。