量子コンピュータは伝説のポケモンにマスターボールを投げるがごとく使われる

ゆうこ はい、では次。ラジオネーム「もなか」さんからのお便りです。これは今回の、第2回のためのお便りですね。
量子コンピュータにできることとできないことを、簡単に教えて下さい。
宇津木 これすごく良い質問ですね。ちなみに僕は、特に量子コンピュータを専門に研究していた人ではなくて申し訳ないんです。本当に素人の、ちょっと勉強してきたっていうぐらいの人なので。
かまぷ でも多分、みんな知らないから大丈夫だと思いますよ。基本的なものを。
ゆうこ 知らない側の気持ちがわかるっていうのもあるじゃないですか。知りたいから勉強したっていうと。
宇津木 その立場で、今日は話せたらなと思ってます。で、このできることとできないことはけっこう難しいんです。連載でも解説している「量子アニーリング」とは、量子コンピュータの一種なんですけど、それが今、すでに実際に作られつつあって、活発に研究されています。この量子アニーリングで何ができるかというと、「組み合わせ最適化問題」と呼ばれる、すごく計算量が膨大になって、普通のコンピュータじゃ解くことができないような問題を、普通のコンピュータよりも速く解けるというのが特徴です。
ゆうこ 組合せ最適化問題とは例えばどういう問題ですか?
宇津木 よく言われるのは「巡回セールスマン問題」ですね。例えば、いくつか駅があって、その駅を全部1回ずつ通る最短経路を求めなさいっていう問題があるとすると、駅の数が少ない場合は、ある程度の組み合わせしかないので数えられる。一方、駅の数がどんどん多くなっていくと、どの駅を通るかの組み合わせが膨大になってしまうんですね。
そういう問題に対して、量子コンピュータ、量子アニーリングを使うと、わりと高速に解けるというのがよく知られている例ですね。
ゆうこ で、できないことっていうのはなんですか?
宇津木 できないことっていうのが難しくてですね、基本的に量子コンピュータとは、普通のコンピュータの進化系のような感じで考えられてたんですけど、今注目を浴びてる量子アニーリングはちょっと亜種なんですね。これはなんでかというと、解ける問題がさっき言った組み合わせ最適化問題に限定されていて、他の問題を解くのは苦手だっていう特徴があります。
なので、普通のコンピュータじゃできないところだけを、その量子アニーリングにやらせるっていうのが、今研究者の人たちが考えてる使い方の1つ。
かまぷ 今実存する量子コンピュータのマシンは量子アニーリングしかないから、もうそういうことなんですよね。
宇津木 そうなんですよね。だから使い方としては、量子アニーリングがちゃんと実用化したとしても、誰かの家にあるとかではなくて、今のスーパーコンピュータのようにサーバー室がどっかにあって、そこにアクセスして使う、クラウド上で使うのがいいのかなと思います。
かまぷ そのサーバーにアクセスしてそこで計算して、結果だけもらう。
宇津木 そうそう。だから、普通に解ける問題はもう普通にコンピュータで解けばよくて、伝説のポケモンにマスターボールを投げるみたいな感じで、これ無理じゃんっていうボスのような難しい問題に対しては、この量子アニーリングを使う、という感じの使い方かなと。
