勉強会は、初心者も常連も大事にしたい
ゆうこ 量子情報勉強会のこともちょっと聞きたいんですけど、そこではどういう活動されてますか?
宇津木 量子情報勉強会ではですね、まあ最初はこれまでしたような話をしていて、量子コンピュータの有名な教科書があるので(『量子コンピュータと量子通信〈1〉量子力学とコンピュータ科学』)、それを最初から輪講していくってのをやってます。もう3年ぐらいやってるので、その教科書は、2冊目が終わって3冊目に入ってます。
ゆうこ 全部で何冊ぐらい?
宇津木 全部で3冊あるんですよ。日本語版が3冊あって。それを1冊目から読み解いていって、けっこう数式とかも多いので、ちょっと難しいところもあるんですけど、そこはイメージをこんな感じだねっていうのも含めて、一緒に読んでいって。
かまぷ 量子アニーリングではないの?
宇津木 それはね、アニーリングができる前、もう十何年も前の教科書なので。量子アニーリングじゃなくて、量子コンピュータ、今のコンピュータの進化系のことが書いてある本ですね。
ゆうこ ちなみに勉強会はどういう人が参加してるんですか?
宇津木 基本的には一般に募っているので、誰が来てもよくて、ITエンジニアの方、SEやってますとか、なんかちょっと自分で新しいものを勉強してみたいなっていう人がけっこう来ています。
かまぷ 私のような理解に時間がかかる人でも大丈夫ですか?
宇津木 大丈夫です。今は教科書の中盤のほうなので、そこに乗っかるのは難しいんですけど、最初に復習コーナーを設けています。もし全然分からなくても、これまでしてきたような説明をするので、雰囲気だけでもわかってもらえるようにしています。
かまぷ 素晴らしいですね。勉強会のレベル合わせって、主催者側の悩みの種というか、考えるべき重要ポイントですよね。
宇津木 そうですね。僕も悩んでます。どうしていけばいいのか。
かまぷ 両方大事だから、バランスなんですかね。量子コンピュータの元の考えって、一番初めの、こういうコンピュータ作ってみたいなって言い始めた人っていうのはいるんですよね?
宇津木 けっこう有名なのはファインマンさんで、よく出てくるんですよ。
かまぷ あれ、ファインマンの前にもう1人いたような。ウィキペディアで見てみます(カタカタ)。1980年代……。
宇津木 ああ、はいはい。えっとね、このドイチュっていう人は有名です。
かまぷ あ、そうそう、ドイチュってよく出てきた。なんでこんな可愛い名前なのかしら。ドイツじゃないのね、ドイチュ。
宇津木 普通のコンピュータは、チューリングマシンっていうふうにモデルがあるんですけど、それの量子バージョンである量子チューリングマシンっていうのが作れると最初に言った人が、このドイチュっていう人で。この人が、量子コンピュータを最初に提案した人という位置づけですね。で、それの前にファインマンさんが、似たようなこと言ってて、量子力学を使ったコンピュータができるんじゃないかっていうことを考えたんです。
かまぷ ファインマンさんのアイデアは予言に近いのかな?
宇津木 そう。ファインマンさんは、世の中のことを全部計算してやりたいって思った時に、だったら量子力学に沿った計算をしなければいけないと思った。そうすると、普通のコンピュータじゃできないなって思ったらしくて。で、どうやったら世の中のことを全部計算できるかと考えた時に、もはや量子力学でコンピュータを作ってしまえばいいんじゃないかと言った人なんですね。
かまぷ やっぱりこの、予測やイマジネーションってすごく大事ですよね。ファインマンさんの姿勢に学びたいよ、本当に。それで今実際に実現に向けてお金が動いてるからすごいですよね。
宇津木 いや、本当ですよ。生きてたら「すげえ!」ってファインマンさんも言うんじゃないかな。
ゆうこ そんなにね、時間経ってないですからね、80年代っていういうと。
宇津木 そうなんですよ、ファインマンさんけっこう最近まで生きてましたからね。
ゆうこ ちょっとね、録り始めて1時間ぐらいで、いろいろ聞きたい話があるんですけど。
かまぷ そうですね、ナチュラルコンピューティングのこととか。
宇津木 あ、そうですね。ナチュラルコンピューティングの話はしたかった(編集部注:今回は時間の関係で割愛……面白い概念なので調べてみてください)。
