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【夏サミ2016】セッションレポート (AD)

低レイテンシー、高スループット、マルチモデル対応……IoTを実現するデータ基盤の要件とは【夏サミ2016レポート】

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 最近、注目されているキーワード「IoT」。IoTへのチャレンジはさまざまな企業が行っているものの、日本において、まだ本格的な活用事例は少ない。その背景には、乗り越えなければならない技術のチャレンジがあるからだ。データの読み取りスピード、単位時間当たりのデータ処理量、多様なデバイスへの対応、多様なデータへの対応、リアルタイムアクションの実現などが求められる技術の要件となる。しかしこれらの技術の課題を解決するためのソリューションが登場した。インターシステムズのIoTソリューションとはどんなものか。IoTを実現させる課題と共に同社のソリューション内容について、インターシステムズジャパン ビジネスデベロップメント シニアマネージャーの佐藤比呂志氏が紹介した。

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インターシステムズジャパン ビジネスデベロップメント シニアマネージャー 佐藤比呂志氏
インターシステムズジャパン ビジネスデベロップメント シニアマネージャー 佐藤比呂志氏

IoTを実現するためのさまざまなチャレンジ

 現在、注目を集めているキーワード「IoT」。だがIoTの一般的な認識は「ありとあらゆる機械、デバイスがインターネット上でつながり、その結果としてデータ量が爆発する」というもので、実はビッグデータとあまり変わらないように捉えている人も多い。しかし、IoTは本来、ビッグデータとは異なる概念である。IoTの可能性を表す象徴的な言葉として「RoboBoss(ロボット上司)」があるように、IoTではインテリジェントで自律的なデバイス、機械が急増し、デバイスがITに何かを要求したり、指示や報告を求めたり、または命令したりできるようになる。「IoTは単なるデバイスの接続ではなく、IoTを構成するデバイスが小さなシステムそのもので、そこに高度なシステム連携することでIoTの可能性が広がる」とインターシステムズジャパンの佐藤氏は言うのである。インターシステムズは米マサチューセッツ州に本社を置く、ヘルスケアITの世界的リーダーである。設立から38年目となったが継続的に成長し、1500社を超えるパートナー企業を持つ。

 「IoTを実現するにはさまざまなチャレンジがある」と佐藤氏は続ける。まずはデータの読み取りスピード(レイテンシー)をいかに高速にしていくか。「IoTの世界ではデバイスの数も、データ量も増えていく。それに対応するだけのデータの読み取りスピードが不可欠になる」と佐藤氏は説明する。第二は単位時間当たりのデータ処理量(スループット)。「スケーラビリティが求められる」と佐藤氏。第三はデバイスの多様性への対応、第四に発生するデータの型も構造データ、非構造データなど多様化するので、それへの対応も求められる。第五はあらかじめ設定した条件に対してアラートを出したり、自動調整や自動改善を行ったりするなど、リアルタイムアクションも求められている。「特に最後のリアルタイムアクションは難しく、これから期待されている部分だ」と佐藤氏は語る。

インターシステムズ社の会社概要
インターシステムズ社の会社概要

IoTソリューションが抱える課題とは

 このような状況を解決するため、IoTのソリューションも登場しているが、課題も山積しているという。例えば、あらゆる先進的なIoTソリューションのワークフローをサポートするためには、単一のテクノロジーではカバーできないこと。またITアーキテクトが、多種多様なマルチプラットフォームと、分岐するIoTソリューションを設計、運用する際に、複雑な統合という問題に直面し、準備に時間がかかってしまうこと。

 それだけではない。多種多様なハードウェアや通信の管理、データ準備や分析、さまざまなバックエンドアプリケーションサービスへのアクセスなどが必要となるIoTソリューションを開発するためには、広範なITの専門性や技術を持った人材が必要になるが、そのようなスキルのある人材が不足していること。「IoTという言葉が大きく取り上げられてはいるものの、IoTテクノロジーや最適な利用方法、アーキテクチャー、マーケットは確立されておらず、このようにまだまだやることがある」と佐藤氏は言い切る。

 IoTの重要なポイントとして佐藤氏が挙げたのは「オープンインターオペラビリティ」だ。IoTの各アプリケーションには特有のデータ要件があり、それは個々にユニークなものである。そしてそれがオープンにつながっていくことが大事になるからだ。そこで重要になるのが「正しいデータ」「正しい量」「正しい人に」「正しい時間に」「正しいアクションを」という5つの正しいこと(5R)という原則をいかに実現していくかである。5Rを満たすためには、まず起こっていることを理解、判断することができる仕組みが求められる。プロセスの可視化ができること、データマネジメントができるデータプラットフォームの構築が必要になるというわけだ。

 さらに不可欠なのが、「アクティブ・アナリティクスの仕組みだ」と佐藤氏は言う。業務システムから派生したDWHを活用するような回想的な分析は盛んに行われているが、その回想的な分析で得られた知見が本当に実際の場面でも起こっているかを確認するためには、リアルタイム分析が欠かせない。そしてこの分析を繰り返し実施し、確認していくことで漸進的な改善につなげることができるようになるからだ。

オープンインターオペラビリティに求められる連携アーキテクチャー
オープンインターオペラビリティに求められる連携アーキテクチャー

インターシステムズが用意するIoTに最適なデータプラットフォーム

 IoTを活用するにはこれらの要件を満たす機能を持ったプラットフォームが必要になる。そしてそれを実現したのが、インターシステムズのIoTデータプラットフォームである。図を見ればわかるとおり、多種多様なIoTデバイスからデータを取り込めるようSOAPやIMS、MQTTなど業界の標準プロトコルに対応。データベースもリレーショナルデータ、オブジェクト指向データ、ドキュメントモデルなどの構造化データだけでなく、非構造化データにも対応し、低レイテンシー、高スケーラビリティを実現したマルチモデルデータベースを採用。スキーマモデルにも柔軟に対応するため、データモデルの違いによる、新たなデータサイロの発生を防ぐこともできるという。

IoTに最適なインターシステムズのIoTデータプラットフォーム
IoTに最適なインターシステムズのIoTデータプラットフォーム

 どれだけの低レイテンシーなのか。その証明例として、佐藤氏が紹介したのは欧州宇宙機関のガイア計画である。「これは銀河系10億個の天体の精細な3Dマップを作成するというプロジェクトで、データ容量は60TB。商用DBMSを利用してデータを取り込むと1週間でもロードが終わらなかったが、当社のマルチモデルデータベースであれば約半日で終了することができた」と語る。

 また高スケーラビリティの証明例としては、米国の1300を超える医療機関とつながり、15万人の医療従事者が日々の業務に活用する退役軍人向け医療システムネットワークなどを紹介した。

 特徴はこれだけではない。「データベースはメンテナンスフリーとなっているのも大きなポイントだ」と佐藤氏は語る。再編成、インデックスの再構築が不要で、スキーマの進化にも柔軟に対応する。また項目数は多いが、実際にデータが入っている頻度が小さい場合の格納効率が高いなど、「IoT時代にマッチしたデータベースエンジンになっている」と佐藤氏は強調する。

 データ変換やイベントプロセスルール、ビジネスプロセスオーケストレーション、リアルタイム分析などの機能も提供している。画期的な技術を開発したとして佐藤氏が挙げたのはアクティブ・アナリティクスを実現する2つのテクノロジー、「トランザクショナル・ビットマップ・テクノロジー」と「トランザクショナル・ビットスライス・テクノロジー」だ。これにより、DWHのように別データベースを作ることなく、今ある業務データベースに対して分析が行えるようになるという。

 また非構造データの取り込みについても画期的な技術を開発しているという。それが「iKnowテクノロジー」。これは自然言語の解析の仕組みで、一般的な形態素解析とは異なり、大枠ドメイン辞書の力を借りることなく、コンテキストに基づく正確な情報、意味が得やすくなる。辞書が不要になるので、そのメンテナンスも不要になるという。

 もちろんIoTデータプラットフォームにはCRMやPRM、ERPなどの基幹システムと連携するような仕組みも提供。「開発も容易にできるよう標準に準拠したオープンなアプリケーション開発環境も用意している」と佐藤氏は説明する。

 IoTの活用はこれからというのが現状だが、それでも海外では少しずつ同社ソリューションの導入事例が登場していると言う。米AssureNet社ではリアルタイム走行状況分析システムの基盤にインターシステムズのソリューションを活用。車両に搭載されたセンサーより音声、画像、動画データを収集し、それを分析することで事故防止や事故原因の特定ができるような仕組みを構築。この仕組みを採用したタクシー会社においては、タクシー事故率を50%以上低減できたという。また保険会社においては、保険金支出の抑制につながっているという。

リアルタイム走行状況分析システムの事例
リアルタイム走行状況分析システムの事例

 またオーストラリアのオプタラート社ではインターシステムズのソリューションを採用した疲労管理ソリューションを開発。多くの輸送企業が同ソリューションを採用することで、労働災害防止に貢献しているという。このほかにもスペインの船舶会社で船舶に搭載された機器を管理するシステム、米国最大級の統合医療ネットワークであるパートナーズヘルスケアのアプリケーションにも採用されているという。

 佐藤氏が国内の事例として紹介したのが、ある会社が開発中の安全運転支援システムへの採用である。同システムはドライバー向けの健康管理を支援するもので、血圧や体温、活動量を日々収集し、健康ノートを作成するほか、心拍数などをモニターして異常を検知し、アラートを発生させるという。「Intersystems DeepSeeを使用したアクティブ・アナリティクスの機能を導入すれば、さまざまなリアルタイム分析の提供が可能になる。それが採用の決め手」と佐藤氏は採用の経緯を語る。

 最後に佐藤氏は「私たちはこのソリューションを提供することで、みなさんのIoTへの取り組みをお手伝いしていきたい」と語り、セッションを締めた。

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https://codezine.jp/article/detail/9615 2016/08/29 14:00

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