マイクロソフトは2月5日、都内で技術セミナー「Microsoft Application Platform Summit」を開催し、Vista時代のアプリケーション開発について語った。
マイクロソフトは2月5日、都内で「Microsoft Application Platform Summit」を開催した。
企業向けソフトウェア開発・システム構築の開発者を対象とした技術セミナーで、冒頭の基調講演「Windows Vista時代を勝ち抜く! アプリケーションプラットフォームと開発手法」では、同社デベロッパービジネス本部長の市橋暢哉氏がVista時代の開発について語った。
ピープルレディーのビジネス
マイクロソフトでは、ビジネス活動の主体は企業ではなく社員にあるとし、社員一人一人の能力を最大限に発揮することで、企業も最大限の力を発揮できると考えている。これを「ピープルレディ」の状態と呼んでいる。
これらを実現する最大の手段が革新的なソフトウェアであり、日々刻々と変化している環境に社員が適応するのを支えるインフラ的な役割を担う。
Windows Vistaと2007 Office system
先週、一般販売が開始されたWindows Vista(以下、Vista)は、「より使いやすく」「より楽しく」「より安全」という3つのコンセプトで作られており、「共同作業の簡略化」「情報検索の強化」「コンテンツ管理と保護」「ITコストの削減とセキュリティの強化」の4つの機能が強化されている。今後は、これらVistaの機能を活かしたソフトウェアがエンドユーザ市場で求められるようになると言う。
また、同日リリースされた「the 2007 Microsoft Office system」(以下、2007 Office system)は、従来のOfficeに比べて非常にサーバコンポーネントが増えており、今までのデジタル事務用品から更に発展したビジネスプラットフォームとしての利用を意識している。これもVistaと同様に、Officeを使ったビジネスアプリケーションのニーズがマーケットの中で増えてくると考えている。
高度なユーザ体験
顧客の求めるユーザ体験(ユーザエクスペリエンス)は非常に高度になってきており、デスクトップアプリケーション、Web、モバイルの各分野において、ユーザのニーズが変わってくる時代が来ている。
高度なユーザ体験の実現例として、イースト株式会社 代表取締役の下川和男氏により、「Xamler(ザムラー)」という青空文庫ビュアーが紹介された。.NET Framework 3.0のアプリケーション記述言語XAML(ザムル)で記述されており、インターネットからシンプルなHTMLを取り込んで、読みやすいドキュメントとして表示する。画面表示に関しては大きな実装を行っておらず、ファイルサイズも100kB程度と言う。
高度なユーザ体験は、華々しいグラフィカルなものを追求することだけが正解ではなく、最新のテクノロジーを取り入れて、より使いやすいというニーズを突き詰めていくことで実現した良い例の一つと考えられる。
Expression Studio
マイクロソフトは「Expression Studio」という、従来にないプロフェッショナルデザイナー向けデザインツールの製品群を市場に導入する。4つの製品から構成され、2月16日(金)には最初の製品としてExpression Webのリリースを予定している。
Expressionで実現しようとしているのは、デザイナーとビジネスロジック担当者とのコミュニケーション・コラボレーションの強化。XAMLという共通言語を介することで、Visual StudioとExpression間のデータ共有などを可能にし、開発において非常に重要なロスとなりがちな表現部分の生産性を高め、ユーザが求める高度なユーザ体験の実現に貢献する。
Microsoft ASP.NET AJAX 1.0
次世代(Web標準に対応した)のWebアプリケーションの開発環境も提供される。その一つとして、Microsoft ASP.NET AJAX 1.0(以下、ASP.NET AJAX)がリリースされた。有償サポート付きで提供されるため、企業がアプリケーションに求める保証・サポートといった面でも、安心してテクノロジーを利用できる。
この技術の利用例として、株式会社エコス CTOの杉本晋吾氏により「ECOSS Solution M3 Blog」というブログアプリケーションが紹介された。
ASP.NET AJAXでは、列ソート時にページ再読み込みで発生する画面のスクロールを回避したり(アップデートパネル)、オートコンプリートの利用、モーダルでサブウィンドウを表示、といったことが簡単にできるようになる。
これらは細かい部分だが、ビジネスアプリケーションのユーザにとって非常にストレスとなりうる部分だ。数行のサーバタグの記述で実現できるため、開発のコスト・期間の削減、品質の向上といった面で、ベンダーにとって非常に有益な機能だと考えられる。
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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