SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

高度IT人材を育成する産学連携の架け橋「トップエスイー」(AD)

「トップエスイー」の目指す「学術と実践の架け橋」がさらなる成果を生みだすために期待すること――修了者が語るカリキュラムの実際と受講のメリット(後編)

高度IT人材を育成する産学連携の架け橋「トップエスイー」 第2回

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

1年で専門を究める「アドバンスコース」を新設
-受講者間の交流からも「気づき」が

河井:礒﨑さんは、修了制作の期間を延ばされたり、松本さんは、業務に戻られてからも自分のスタイルで修了制作のテーマを突き詰めていらっしゃったりと、われわれが設定していた期間に収まらない形で実問題の解決に励んでいらっしゃいます。

 トップエスイーでは2017年度より新たに「アドバンス・トップエスイー」コースを新設することになりました。こちらは、特に先端かつ難度の高い技術的なテーマを追求したい方向けのコースになっていて、お二方が時間のやりくりに苦労された「修了制作」と、新たに設置される「ゼミ」を中心に、1年間かけてまだ講義にも組み込まれていない最先端事例・技術を調査し、じっくり課題解決に取り組むコースになります。なので、一般的な講義科目は自由に選んで受けることができるのですが、修了要件として、科目での単位取得は必須ではありません。

礒﨑:私の場合は、3か月の修了制作を半年に伸ばしてもらったのですが、それでも短かったと思っています。1年かけてしっかりと取り組めるというのはよいですね。

河井:アドバンス・トップエスイーコースのもう一つの目玉は「最先端ソフトウェア工学ゼミ」になります。こちらでは、「IoT」や「AI」のような近年注目されている最先端のトピックについて、同じトピックに興味のある受講生と講師がゼミをつくり、メンバーで分担してまだ教科書化されていない最先端の事例・技術を調査していくという内容を考えています。こちらについて、お二方のご意見を聞かせてください。

最先端ソフトウェア工学ゼミ トピック例
タイトル 概要
クラウド時代ソフトウェアのためのmicroservicesアーキテクチャ設計手法 クラウドの伸縮性を活かした拡張性の高いソフトウェアを得るmicroservicesアーキテクチャに関する事例調査や設計手法の調査を行う
All Programmable時代における自動推論・検証・最適化ツールの活用 モデル検査ツール、確率モデル検査ツール、SMTソルバーなど最先端ツールに関する調査、試行を行うとともにクラウド、IoT、SDN、DevOpsなど現在注目されている先端パラダイムでの活用方法について追求する
ソフトウェア工学の新パラダイムとは:AIで製品ソフトウェアは開発できるのか? 脳科学、認知科学、機械学習、データマイニング、サービスやプラットフォーム技術の専門家とのディスカッションや文献調査分析を通して、ソフトウェア工学の新パラダイムを検討する
継続的なソフトウェアの実行を実現する自動プログラム修正 自動プログラム修正の技術要素である欠陥位置推定・プログラム変異・修正空間探索・テスト実行最適化に関する論文やツールの調査を行う
先端的Webアプリケーションフレームワークの比較 TodoMVCを足がかりに先端的なWebアプリケーションフレームワークについて比較調査を行い、開発現場への導入に向けた課題などを調査を行う
派生開発のプロセス改善 受講生およびその周りで行われている派生開発の問題点を分析し、 その問題点を如何に解決するかを、受講生とともに考える
モデル検査における部分順序縮約法 モデル検査では、示したい性質が成り立つかを判定するために、全空間を探索すると、コストが高すぎて現実的でない.空間の一部分しか探索しないにもかかわらず、性質の成立・不成立を 正しく判定できる部分順序縮約(PartialOrder Reduction=POR)という手法の調査を行う
概念モデルに基づく様々な視点から要求分析を行う 概念モデルの作成をとおし、要求を様々な視点で捉えることでゴール指向要求分析手法KAOSやi*のソフトウェア開発現場で活用できる方法を探る

礒﨑:自分と同じテーマに関心を持っている人と、手分けして調査したり、深い意見交換ができる場というのは有意義だと思いますね。私がトップエスイーを受講したいと思った理由の一つには、同業種、異業種を含めていろいろな企業のエンジニアと意見を交換し、交流や視野を広げたいというのがあったんです。

 自分の場合「開発プロセス」の話を他のエンジニアとするのが好きなんですけれど、あまりそのテーマに関心のある人や、自分の考えに共感してくれる人がまわりにいなかったんですよ。トップエスイーに来て楽しかったことの一つは、そうした議論をできる人が多くいたということです。実際、修了した今でも付き合いがある人が何人もいます。

 現状のカリキュラムでも、グループワークのような授業や、土曜終日の講義などを通じて交流という目的は十分に果たせると思うのですが、同じテーマについて時間をかけて一緒に追求していくようなコースであれば、さらに得られるものも多いでしょうね。

松本:自分もそれは感じました。トップエスイーの受講生は、みなさん技術的なテーマに興味や意識が強い人が多いですよね。もちろん、いろんな考え方があっていいと思うのですが、会社だと、技術は道具と割り切って業務にあたっている人も多く、技術や手法が成立してきた経緯や、どんな必要性があって生まれたものなのか、どう使われるべきなのかといったところまで深く関心を持つ人って、必ずしも多くないですよね。

 自分は、そういう部分に興味があるのですが、同じような興味や関心を持った人が集まっていて、交流させてもらえるのが非常に楽しかったです。

礒﨑:本当にいろいろな方が受講されていたので、そうした人たちとの交流の中で得られる気づきも多かったですね。今、どの会社でどんな仕事をしているとか、どんな課題があって困っているとか。お互いエンジニアであれば、今、どんなフレームワークを使って何を作っているとか、ドキュメントの作り方やテストの方法はどうしているかなど、非常に深い部分にまで会話が進むこともありました。

河井:社外の人同士だから、職場にある課題についても話しやすいというのはあるかもしれませんね。

礒﨑:それはあります。どこでもそうだと思うのですが、会社の中でのやり方というのは、ある程度固定されてしまっていて、何かのプロセスを一つ変えようとするにも、とてもエネルギーがいりますよね。本当は「今のやり方じゃなくて、こういう別のやり方をしたほうがいいんじゃないか」と思っているのだけれど、現実業務が忙しい中で、やり方を変えるなど簡単に言い出せるものでもありません。そうした中で、まったく別のやり方をしているような別の会社の人と話をする機会があると、そこからいろんなことに気づけたりしますし、新しいやり方を導入する上で説得に使えそうな思いがけない材料が見つかったりといったこともあると思います。

河井:授業の内容だけでなく、トップエスイー受講をきっかけにした交流や情報交換の中から、社内でのやり方をより良いものに変えていくためのアイデアやヒントが得られるとすれば、それはすばらしいことですね。

受講者の属性(当初は研究開発部門の割合が多かったが、ここ数年は事業部門からの参加が増えている。データは、いずれも第1~10期生までの総数)
受講者の属性(当初は研究開発部門の割合が多かったが、ここ数年は事業部門からの参加が増えている。
データは、いずれも第1~10期生までの総数)

次のページ
修了生としてこれからの「トップエスイー」に期待すること

この記事は参考になりましたか?

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
高度IT人材を育成する産学連携の架け橋「トップエスイー」連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

高橋 美津(タカバシ ミツ)

PCやネットといったIT分野を中心に、ビジネスやゲーム分野でも執筆を行うフリーランスライター。Windowsユーザー。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/9767 2016/12/01 15:52

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング