比較
この2回シリーズで取り上げた開発手法には、それぞれ長所と短所があります(表1を参照)。XP、スクラム、リーン、FDDの詳細については、第1回をお読みください。
どの開発手法も、それぞれ固有の長所と短所を持っているため、状況によって適不適があります。
表2は、この2回シリーズで取り上げた開発手法を比較し、プロジェクトの状況に合わせて適切なアプローチを選定するための目安を示そうとしたものです。適しているものを「√」で、適していないものを「X」で、どちらとも言えないものを「-」で表しています。
表2の情報はいかなる科学的メトリックも表していませんし、各開発手法の創案者が表明している目標を表しているわけでもありません。しかし、これは著者たちの直接体験によるものなので、それぞれのチームがこれらの開発手法を(全面的または部分的に)採用する際の参考になるはずです。
表3は、各開発手法の目標に対する著者たちの解釈を簡潔に表現したものです。
| 開発手法 | 要約 |
| XP | 単純 |
| スクラム | 優先順位付けされたビジネス価値 |
| リーン | 投資収益率(ROI) |
| FDD | ビジネスモデル |
| AUP | リスク管理 |
| クリスタル | 規模と重大度 |
| DSDM | 現在のビジネス価値 |
与えられた環境に対するアジャイル開発手法の適合性を類別する2つの方法として、プロジェクトの規模と重大度があります。これによってアジャイル開発手法の適合性を完全に捉えることはできないとしても、おおまかに理解するには非常に好都合です。Alistair Cockburnは、これらの特性に基づいて開発手法を比較するスケールを開発しました。図4では、これまでに取り上げた開発手法を、著者たちの経験と観察に基づいてプロットしてみました。

図4が示しているように、XPは一般に小規模で非常に動的なプロジェクトに最も適しています。ただし、XPのプラクティスの多くは、他の管理手法との組み合わせにより価値をもたらすことができます。XPは開発者が何百人もいる企業にも適用されていますが、大規模なプロジェクトを扱うというのは各企業が行うべきカスタマイズであり、継続的で迅速なフィードバックと単純さを旨とするXPプロセスの本来の姿ではありません。
AUPは儀式度が高いプロセスを提供します。このようなプロセスは、大人数のチーム、分散チーム、重要度の高いシステムに適していると考えられます。採用する側の企業文化がウォータフォール型のプロセスからゆっくりと変化しそうなら、アジャイル的な考え方に徐々に慣れるという意味で、AUPがうってつけでしょう。
スクラムとリーンは、プロセス全体を管理し、ビジネス価値を最大化し、無駄を少なくする方法に焦点を当てたフレームワークです。スクラムとリーンは技術的プラクティスを指定しないので、XPなどの開発手法や企業の既存の開発手法を補完することができます。
DSDMはアジャイルの中でも重くて儀式度の高い手法であり、しかも非常にビジネス中心的です。AUPに似ている点が多くありますが、リスクよりも現在のビジネス価値を重視しています。
クリスタルはプロジェクトの規模と重大度によって変わる開発手法のファミリです。プロジェクトの規模や重大度が大きくなるにつれて、より重大なプロジェクトに必要な高い安全度や大人数のチームという重荷をサポートするためのメカニズムが追加されます。
FDDは興味深い混合物です。FDDはそれ自体で完結したアジャイルプロセスとして機能することもできますが、スクラム、リーン、またはXPと組み合わせて、統合された技法を生み出すこともできます。
注意してほしいのですが、アジャイルにせよ何にせよ、そのまま実施されることを想定している方法論はありません。採用率と成功の機会を大きくするには、適用するコンテキストでカスタマイズする必要があります。


