コラボできる開発環境、GitHubやDevOpsの取り込み、さらに進化する.NET
続いてマイクロソフト コーポレーション Developer Division コーポレートバイスプレジデント ジュリア・リウソン氏が登壇し、開発環境について紹介した。これまでのAzureの説明から分かるように、開発環境はAzureとの連携や統合が進んできている。
マイクロソフトの開発環境といえばMicrosoft Visual Studioだ。いまや700万のアクティブユーザーがいる。またVisual Studio Codeのアクティブユーザーは360万人へと広がりつつある。リウソン氏が最初に紹介した新機能は開発者同士がコードを共有することができるVisual Studio Live Share。開発者仲間に自分のコードをシェアし、一緒に開発やデバッグを進めていくことができる。開発者がWindowsやMac、Visual StudioやVisual Studio Codeなど異なる環境でもコードを共有できる。また実行環境がローカルだったとしても、ローカルホストを相手と共有して実行環境もシェアできる。実際にシェアするにはMicrosoft Teamsから相手に招待状となるリンクを送信し、共同作業を開始する。
もう一つ、Visual Studio App CenterとGitHubとの連携も開発環境の大きな新機能となる。iOSやAndroidなどモバイル向けのアプリ開発における、ビルド、テスト、デプロイをGitHubで実行できる。GitHub Marketplaceで開発用ツールとして「Visual Studio App Center」が提供される。デモではホテルが顧客向けに提供しているアプリに新機能を追加する一連の流れがデモで披露された。
DevOpsのためのソリューションとなるのがAzure DevOps Projects(現在はプレビュー版)。ランタイムの選択、フレームワークの選択、Azureサービスの選択という3つのステップで、Azureサービスに5分程度でアプリケーションを実行できるようになる。リウソン氏は素早く環境構築ができることから「開発者はコードを書くことに専念できる」と話す。
.NETもまだまだ進化している。アクティブ開発者は月間で400万人。毎月45万人もの新規の開発者が増えていると言う。.NET Core 2.xではクラウドネイティブでクロスプラットフォームのワークロードに準拠できるようになっている。いま性能を強化した.NET Core 2.1がRC(Release Candidate)として公表されている。.NET Frameworkとの互換性が向上、GDPRなどセキュリティ対応などが特徴だ。さらに将来的にはWindows Desktop、IoT、AIを包含する.NET Core 3が提供される予定だ。すべてのWindows 10 APIにアクセスできる。事前にコンパイルされるので高速に起動でき、単一で自己完結した実行ファイルとなることなどが計画されている。
りんなは共感モデルで自然な会話をより長く、障害者支援のAI技術開発プログラム
基調講演の最後には改めて代表取締役 社長 平野拓也氏が登壇し、基調講演を総括した。今回の基調講演で平野氏以外の登壇者が全員女性だったことについて、平野氏は女性開発者の支援を理由に挙げた。
ほかにも平野氏はチャットボットとして世界トップレベルの知名度を誇るマイクロソフトの「りんな」に次世代会話エンジンとして共感モデルを採用したことを発表した(現在はまだアルファ版)。共感を重要視し、相手との自然な会話が継続するように改善している。
平野氏はBuild 2018で発表された障がい者向けプロジェクト「AI for Accessibility」も言及した。5年間で2500万ドル(約27億円)を障がい者支援のためのAI技術に投資する。日本では5月22日付けで一般社団法人 日本支援技術協会と連携して「Accessibility Developer Community」を設立した。