Web企業における機械学習分野のキャリア形成
セッションの終盤は「Web企業における機械学習分野のキャリア形成」について言及がありました。
機械学習をサービスで利用するためにはアルゴリズムやデータの取得、コード品質、デプロイなど、注意を払わなければならないポイントが非常に多くなります。また、求められるスキルについても、実験ステージでは研究能力が、コード整理以降のステージではエンジニアリング能力が必要となり、厳密な分業体制を築くのは難しい状況です。
そんな機械学習の分野でどのようなキャリアを形成していくか。伊藤氏は「同じ機械学習チームでも、チームの規模によってキャリア形成の道のりは異なります。自分がなりたいエンジニア像にマッチする規模を選びましょう」と、「選び方」について解説しました。
「小さな機械学習チームのメンバー」であれば、1人で多様なタスクに対処する形となるいわゆる「マルチスタック化」を目指すというものです。このケースだと機械学習自体のアルゴリズムを突き詰める時間はあまり取れません。
一方「大きな機械学習チームのメンバー」の場合、分業体制が整備された状況下で専門特化した経験を積むことができるでしょう。リサーチャーであれば新しいアルゴリズムを提案したり論文を執筆したりすることや、またインフラエンジニアであれば「エレガント」な機械学習デプロイフレームワークの導入や拡張に携われるということです。
規模によってどのようなキャリアが積めるかに違いはありますが、いずれの場合でも「最低限持つべき技術スタック」については同じであると伊藤氏は説明します。トピックとして挙げたものにはGitやDocker、コード品値へのケアやIssue管理の知識等がありましたが、いずれもメンバー全員が習得しておくことでプロジェクト管理・運営が円滑に進められるようになります。
続いて伊藤氏は「機械学習チームメンバーの生存戦略」をどう取るべきか、について説明を続け、機械学習やAI等の需要が一時的に減衰したとしても、価値を失わないように備えておくべきだ、と強調しました。
生存戦略を考える上で、選ぶことができる「方向性」は2つあります。機械学習のスムーズな導入の際に必要となる多様な関連技術を習得し、機械学習以外の関連分野での強みを持ち、さらにその強みを増やすという「マルチスタック化」、そして機械学習分野において超一流であることを示していき、(分野としての)熱が収まっていったとしても常に存在し続けるであろうトップの需要に応えていく「一点突破」です。
「いずれの場合においても大変な道のりではありますが、得るものも大きいと思います」と伊藤氏は総括し、セッションを締めました。