AIによるコーディング負荷の軽減や、チーム開発を快適にする機能が拡充されたVisual Studio
まず、開発環境の側面では、統合開発環境(IDE)の次のメジャーバージョンに当たる「Visual Studio 2019」のPreview 1(最初のプレビュー版)が発表され、ダウンロード提供も開始された。
特に、コーディング支援や、10月末に買収が完了したGitHubとの機能統合にフォーカスを当てた発表となった。GitHub上のオープンソースプロジェクトのデータから学習したAIを用いて改良されたインテリセンス「Visual Studio IntelliCode」や、同僚とのリアルタイムコラボレーションを支援する「Visual Studio Live Share」、ツール内からシームレスにローカル/リモートのGitレポジトリ操作が行える機能などが拡充されている(詳細:米MSのブログポスト)。
Visual Studio 2019では、Live Shareが標準搭載され、同僚を招待して一緒にコーディング作業を行ったり、デバッグを手伝ってもらったりすることが簡単にできる。マルチプラットフォーム対応で無料の軽量エディタ「Visual Studio Code」でも使うことができ、イベントのデモではmacOS上のVisual Studio Codeと、Windows上のVisual Studioがシームレスに連携し、macOSのローカル環境で実行しているアプリをWindowsからもデバッグできる様子などが示された。
GitHubとの統合においては、コードのレビュー、実行、デバッグ、同僚からのデバッグのプルリクエストといった、一連のアクションをIDE上で完結することができるようになり、プルリクエストの体験が向上した。Visual Studioマーケットプレイスから拡張機能「Pull Requests for Visual Studio」を入手することで試せる。
細かい部分では、現状の「クイック起動」ボックスに代わり、設定やコマンド、インストールオプションをスマートに検索できる機能が追加される。検索語があいまいだったり、ミススペルがあっても対応する。
また、リファクタリング機能も強化されており、GitHub上の同様のコードをもとにAIが提案する修正コードをボタン操作一つで反映したり、ユニットテストを自動生成したりする様子が紹介された。
WPFやWindows Formsも対象に含まれ、プラットフォームのオープンソース化が加速
オープンソース活動については、.NET Frameworkのオープンソース実装の次期バージョン「.NET Core 3」のPreview 1が発表された。ダウンロード提供も開始されている。前述のVisual Studio 2019も.NET Core 3をサポートする。
特筆すべきは、従来のバージョンではWebアプリケーションやコンソールアプリケーションが対象とされていたが、今回から「WPF」や「Windows Forms」といったWindowsデスクトップアプリケーション関連の部分が含まれた点。他にも、ASP.NET Core 3ではRazorビューエンジンが使えるようになり、Entity Framework Core 3はAzure Cosmos DBをサポートした(詳細:米MSのブログポスト)。
また、社外のコミュニティから延べ61000以上のプルリクエストを既に受け付けており、.NETのオープンソース化が成功を収めていることも強調した。