LINEが独自開発しているAIとは
NEXT LINE実現の要となるAIとブロックチェーン。LINEは現在、これら2つの技術にどう取り組んでいるのか。まずLINEが取り組むAIについて解説するため、サービス開発担当執行役員 池邉智洋氏が朴氏に代わり登壇した。
LINEが取り組むAIの一つの活用例が、AIプラットフォーム「Clova」を実装した「Clova WAVE」「Clova Friends」「Clova Friends Mini」という音声アシスタント端末である。「音声UIは可能性がある。投資すべき分野だと判断しているからです」と池邊氏はLINEがClovaに注力する理由を話す。LINEでは「音声認識」「自然言語理解」「音声合成」などの要素技術から開発し、サービス運営で培ってきた大規模サーバ運営技術・ノウハウを生かして、クラウドベースのAIサービスを提供している。
「今はスマートスピーカー製品だけですが、適用範囲はスマートスピーカーに限らない」と、その代表例として池邊氏はトヨタ自動車のコネクテッドカーでClovaが採用されたことを紹介した。
AIの活用はスマートスピーカーだけではない。既存のスマートフォン向けのLINEアプリでもいくつかAIが使われている。LINEトークリスト上に表示される情報エリア「スマートチャネル」はその一つだ。パーソナライゼーションの高度化を図り、各ユーザーに最適な情報を提供できることを目指しているという。
検索体験の拡張にも取り組んでいる。例えばLINEショッピングではショッピングレンズという写真や画像を使って商品検索ができる機能を提供している。「このような画像を元にしたパターン認識のほか、コンピュータビジョンの領域にも投資開発を進めています」と池邊氏。
その例として紹介したのが、LINEのビデオ通話などで使える「キャラクターエフェクト」だ。これはキャラクターの表情が自分の表情と連動するという機能である。
「LINEというサービスのイメージである『楽しい』を拡張していく分野にもAIを活用しています。このように数多くの分野でAIを使ったサービスを展開することで、多くのデータを集められる。そのデータを元に、AIの精度を高めて、サービスの向上に努めていきたいですね」(池邊氏)
朴氏が語ったAPIの公開も進んでいるという。リリースが予定されているAPIとして池邊氏はチャットボットエンジンとOCRを紹介。チャットボットエンジンとは、チャットで送られてきたテキストの解釈し、適切な処理をするためのエンジンである。LINEが提供するOCRは「高い精度を誇っている」と池邊氏。OCRはすでにLINEのデスクトップ版で提供されており、「スクリーンショットの中の文字列を認識し、容易にカットアンドペーストやコピー、翻訳ができるようになっているので試してほしい」と池邊氏。
LINEではClovaプラットフォームを活用してAIサービスが作れる専門サイト「Clova AI Tech Demo」を立ち上げている。先述のOCRのデモも紹介されているので、興味のある人はぜひ、アクセスしてみてほしい。
ブロックチェーン技術を採用した「LINK Chain」
続いて那須利将氏が登壇し、ブロックチェーン技術を使って独自開発した「LINK Chain」を紹介した。
「あるインターネットサービスで、ポイントやキャッシュなど、ユーザーが何かしら対価を得られる仕組みを作ろうとしても、システム的に複雑でなかなか実現できず、悩んでいる人も多いのではないか」と那須氏。この悩みを解決し、容易に現金やポイントをユーザーに還元する仕組みを実現できるようにしたのが、LINK Chainである。LINK Chainの最大の特徴は、企業とユーザー間のポイントの発生や費用などの部分にブロックチェーンの技術を用いることで、より安全性と透明性が得られていること。「これがブロックチェーン技術を導入する一番大きな理由だった」と那須氏。
なぜ、LINEがこのようなプラットフォームの開発に取り組んでいるのか。その理由について那須氏は「LINEプラットフォームを使っている企業とユーザーに大きなメリットがあるからです」と説明する。サービス提供者はLINK Chainを利用することで、サービスを即開発できるようになる。またdApps(分散型アプリケーション)提供者は、ユーザーがよりサイトやアプリ内を活発に活動してもらえるような取り組みに注力できる。こうすることで、さらに質の高いサービスの提供を作り出す好循環を生み出すことができる。「LINK ChainはdApps、サービスを使うユーザー、サービス提供者がお互いに成長していくエコシステムを目指すためのプラットフォームである」と那須氏は言う。
LINEでは、LINK Chainを活用したdAppsを開発して実験的にリリースしている。例えば「4CAST(みんなで参加する予想する未来コミュニティ)」「Wizball(知識共有プラットフォーム)」などはその一例だ。今後さらに3つのdAppsのリリースが予定されており、「サービスの企画、運営経験からユーザーに受け入れられるdAppsのあり方を提示していきたい」と那須氏は意気込みを語る。
それだけではない。LINEでは、2019年の春にパートナー企業向けに、さらに来年夏には一般の開発者にもLINK Chainを公開していく予定だ。
