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エンジニアがビジネスを変革する――IoTで営業課題を解決、旧型アーキテクチャを刷新したパーソルキャリアの開発【デブサミ2020】

【13-E-2】doda開発者が語る IoT&サーバレスでビジネスサイド変革に挑戦した話~イノベ観点のダッシュボタン&負債から進化したアーキテクチャ~

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2020/04/08 12:00

 求人メディア、人材紹介サービスを中心に展開する総合人材サービス、パーソルグループのパーソルキャリア株式会社。同社のテクノロジー本部 BITA統括部 シニアコンサルタント 上源勇朗氏が、法人営業部門の課題をダッシュボタン(IoT&サーバレスのアーキテクチャ)という新しくも手軽な方法で解決した事例と、旧来型アーキテクチャの課題・負債を更新するための手順や効果などを紹介し、エンジニアによるビジネスサイド変革の在り方について語った。

目次
パーソルキャリア株式会社 テクノロジー本部 BITA統括部 シニアコンサルタント 上源勇朗氏
パーソルキャリア株式会社 テクノロジー本部 BITA統括部 シニアコンサルタント 上源勇朗氏

「ダッシュボタン」で法人営業担当者の業務効率化を実現

 求人メディアや人材紹介サービスを中心に、企業の人事課題に多彩なソリューションを提供するパーソルキャリア。パーソルグループ全体では13か国・国内外680拠点でサービスを展開し、従業員は4万5000人を超え、総合人材企業として日本最大級を誇る。そんなパーソルグループのパーソルキャリアのテクノロジー本部 BITA統括部 シニアコンサルタント 上源氏により、法人営業部門の課題に対する新しく手軽な解決事例と旧来型アーキテクチャの刷新という重く厄介な解決事例の2つが紹介された。

 まず前者については、BITA統括部に、「営業活動する時間がない」という法人営業部門からの相談が持ち込まれたことに始まる。法人営業部門では、営業担当が対応する顧客数が多く、「架電や訪問の時間がない」「インバウンドで顧客接点を持ちたい」という課題を抱えていた。

 営業担当は、リストをもとに電話をかけ、ニーズがなかった場合や不在の場合は、後日リピート確認を行っている。このアプローチの効率化が求められていた。

 そこで上源氏は「IoTダッシュボタン=anダッシュボタン」を採用し、顧客が求人掲載のニーズがある際には、1回押すと「掲載したい」、2回押すと「相談したい」というメッセージが営業担当者に通知され、対応できるようにしたという。

IoTダッシュボタン
IoTダッシュボタン

 ダッシュボタンを押すとLTE-M(IoT向け通信規格)を通じてAWSにつながるようになっている。AWSのIoT 1-ClickサービスでLambdaが呼ばれ、Pythonで書かれた判定条件で処理を決定し、SNSを通じてショートメールが営業担当のスマホに届くといった流れだ。Lambdaでは言語を自由に選べる上、1~2年目のエンジニアでも1人月未満で作成可能なレベルだ。モバイル用SNSの接続性を鑑みると東京リージョンが望ましく、ダッシュボタン自体は7980円/1台でボリュームディスカウントも可能だという。

 AWSのサービス一覧からIoT 1-Clickを選択し、そこからサポートされているデバイスを購入するか、もしくは既に所有しているならデバイスのIDを登録すれば設定が完了する。SNSメッセージの届け先やメッセージの内容などが登録でき、Lambdaに引き渡す変数を設定することができる。変数は複数設定でき、例えば複数の送付先にメールやメッセージを送ることも可能だ。

アーキテクチャ概要
アーキテクチャ概要

 ここで上源氏は、本セッション用にカスタマイズした内容をデモンストレーションした。顧客からダッシュボタンで連絡が来たらショートメールに記載されたURLをクリックするだけで、Lambdaの処理によって非公開のS3から公開用S3にデータが移され、本番環境にリリースされる流れだ。公開されるとSNSを通じてショートメールで完了メッセージが届き、そこから公開を取り消すこともできる。

 上源氏は「営業担当からエンジニアに本番環境へのリリース依頼が必要で、タイムラグが生じていた。しかし、このシステムで非エンジニアでも本番公開作業が可能になる」と説明し、さらに開発のポイントとして「AWS IoTを端末登録するとLambda、CloudWatch、SNSが設定される。SNS宛先を登録すればすぐに利用でき、サーバレス&従量課金のため安価・安全。また、ボタンの押し方に応じた処理をLambdaで設定する際にも好きな言語で対応が可能」と紹介した。

 なお前述の実際に導入されたシステムでは、運用費は月々1万円にもならないシンプルなコミュニケーションながら、導入企業の半数以上が利用し、うち6割が成約にも至った。さらに、インバウンド顧客接点ができ業務効率化にもつながったのは成果だという。ただし、サービス自体が閉鎖されたこともあり、利用促進や追加改善などにまでは至らなかった。

 上源氏は「今後は高齢社会、スマホの高機能化などにより、ITリテラシーの格差が発生してくると考えられる。ワンボタンで何らかの対応ができるというのは、そうした課題を埋めるツールとしてのポテンシャルがあるのではないか」と語った。


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