AWS大見本市「Expo」
佐藤です。
Expoは最も来場者の多いコンテンツの一つです。Expoでは350以上の展示ブースが設置され、スポンサー企業によるサービス紹介やAWS社自身のサービス、ソリューション紹介が行われました。
Expoはメーン会場のホテルベネチアンの大規模ホールで開催され、およそ東京ドーム一個分の広さのある会場は一通り回るだけでも一時間以上を要しました。
AWS Villageと名付けられたAWS社のブースでは、AWS社のエンジニアと直接会話することができるため、利用上の悩み相談や機能改善要望を行うこともできます。さらにAWS OutpostsやSnowboll Edge Clusterなど、実物をなかなか見ることのできないハードウェア製品の展示もあり、多くの人が興味深げにカメラを向けていました。
スポンサーによる展示は、各企業が趣向を凝らした大小様々な規模のブースが印象的でした。Accenture、Datadogなどのエメラルドスポンサーが運営する大規模なブースでは、30人は入ろうかというプレゼン会場がついていたり、落ち着いて会話のできるゆったりとしたソファスペースがついていたりするものまでありました。一方でスタートアップ企業が数名で切り盛りする小規模なスタンディングのブースもあり、AWSを共通項として様々な企業ブースが同じ空間に所狭しと並んでいます。展示されている企業やサービスのカテゴリで見ると、大規模スポンサーではDruvaやVeeamに代表されるクラウドにおけるバックアップサービスや、SignalFxやSumo Logicなどのモニタリングサービスなどエンタープライズでの利用をターゲットにしたものが多く、中小規模スポンサーにはAIやIoTなどのトレンドを押さえたサービスが多くありました。
筆者がAWSのイベントらしいと感じた展示は、エンジニア教育ソリューションの展示です。
前述のように、展示の多くはAWSサービスを強化するようなサービス、ソリューションの紹介でした。Sagemakerに投入する学習用データのアノテーションを手助けするサービスやAWS Outpostsのデータをバックアップするソリューションなどです。
こうした製品の開発は既存のAWSプラットフォームをベースとしているため参入コストが少ない反面、AWSサービス自体の機能改善・追加によって、製品の価値そのものが損なわれてしまうリスクがあります。例えば、先ほど言及したデータのアノテーションを手助けする製品ですが、「Amazon SageMaker Ground Truth」ではラベル付きのデータ管理ができるだけでなく、ベンダやクラウドソーシングへのアノテーション発注依頼ができます。また、今回のre:Inventで発表された新サービスの一つ「AQUA (Advanced Query Accelerator) for Amazon Redshift」はクラウドDWH製品におけるAWSのサービス強化ですが、これはDiamondスポンサーでもありExpoでも大規模ブースを構えていたSnowflakeに真っ向から競合する発表でもあります。
しかし、エンジニア教育ソリューションの場合、たとえAWSサービスが進化を続けたとしても、むしろ進化を続けるほどに、エンジニアの学習、教育ニーズは喚起されるため、新機能に追随するコストはかかるもののソリューションの価値が毀損されるリスクは低いと言えます。
AWS社自身もエンジニア教育を重要視しており、re:Inventでも関連するイベントが開催されていました。