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チームをブーストし、仕事をドライブするモブプログラミング【デブサミ2020】

【13-E-8】チームをつくるモブプログラミング ~内側と外側から語る~

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2020/04/27 11:00

 デブサミ2020(1日目)の最終セッションの1つが、「チームをつくるモブプログラミング ~内側と外側から語る~」である。モブプログラミングは、チーム全員で、同じ仕事を、同じ時間、同じ場所で、同じコンピュータでプログラミングを行う手法で、最近では多くのチームが取り組んでいる。会場にも、モブプログラミングに興味を持つ、多くの聴衆が集まった。スピーカーの1人は、株式会社デンソーのMaaS開発部で日常的にモブプログラミングを行う及部敬雄氏。アジャイルモンスターという屋号で、チームや組織支援の副業もやっている。もう1人は、フリーランスのアジャイルコーチの安井力氏。「やっとむ」というハンドルネームでも活動している。及部氏がチームの内側から、安井氏がチームの外側からの立場で、モブプログラミングの具体的なノウハウや、チームと仕事への波及効果を語った。

目次

モブプログラミングの始め方とチームの育て方

 最初に安井氏が、モブプログラミングの始め方について解説した。この時、役に立つのが「モブプログラミングベストプラクティス」という書籍だ。この本では、「モブプログラミングを実験として位置付けよう」「最初は共感から」といった実践的なノウハウを知ることができる。また、本に載っていること以外の実践的なポイントとして、次の6項目を挙げた。

  1. 目的とゴールを定める
  2. 進み方を表明する
  3. 議論と実験のバランスを取る
  4. その場でフィードバックを得る
  5. ふりかえりをする
  6. 個々人のペースとやり方で復習する

 ここからはクロストークと題して、同じテーマを2人がそれぞれコメントしていった。まずは、「始める時、ネガティブな反応する人がいたら?」から話を進めた。

 安井氏は「まずは、試してみましょうというアプローチがいいと思います。最初は不安や反感があるかも知れません。だから、2時間だけやってみませんかと。その上で、今後どのように取り組んでいくか話し合ってみてください」と語った。

アジャイルコーチ 安井力氏
アジャイルコーチ 安井力氏

 及部氏は「最初は、勉強会をやっている人や他のチームでやっている人を呼んで、よいところを教えてもらうなど、ちょっと入ってもらうのもいいですよね」と付け加えた。

株式会社デンソー MaaS開発部 アジャイルモンスター 及部敬雄氏
株式会社デンソー MaaS開発部 アジャイルモンスター 及部敬雄氏

 続いて、チームをブーストするモブプログラミングについて、及部氏が解説した。モブプログラミングには、チームメンバーに対する教育的効果が期待できるという。新人や経験値の低い人がコンピュータを操作する「ドライバ」の係になり、経験値の高いベテランが「ナビゲータ」といったコーチ、調整役になるのだ。そうすると、理解に時間のかかるドライバのペースで進めやすくなり、一緒に参加している人たちにもスキルが伝搬しやすくなるそうだ。

 また、モブプログラミングはコードレビューとも相乗効果が期待できる。レビューには「コードのチェック」「メンバーの学習」「コード品質の強化」といった3つの側面があるが、そのうちチェックと学習はモブプログラミングでもカバーできる。一方で、強化についてはふりかえりなどこれまでのレビューが効果を発揮する。

モブプログラミングとレビューの組み合わせ
モブプログラミングとレビューの組み合わせ

 クロストークでは、「レビューでどんな会話が出るか? ケンカにならないか?」といった話題を取り上げた。

 「初めのうちは、変数の命名や関数の書き方、モデルに何を書くかなどの議論が盛り上がります。それを全員でやって認識がそろえば、バラバラに書いても書き方がそろうようになります。でも、モブプログラミングをしたからといって、チームが仲良くなることはありません。仲の悪いチームであれば爆発します」(及部氏)

 それについて安井氏は「コードが読みにくいですねとコメントすればいいのに、『うんコード』って言ってしまう人がたまにいます。感情を逆なでするのではなく、丁寧なコミュニケーションが必要ですよね。建設的になって、そこからチームが強くなっていくのがいいと思います」(安井氏)


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著者プロフィール

  • 可知 豊(カチ ユタカ)

    フリーランスのテクニカルライター 興味の対象はオープンソースの日常利用、ライセンス、プログラミング学習など。 著書「知る、読む、使う! オープンソースライセンス」。 https://www.catch.jp

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