ユーザーに価値を伝える
ビジョンを達成して、ユーザーにとって価値あるプロダクトであるならば、その価値を多くのユーザーに届け、得られる収益を最大化することを検討する。そのために、プロダクトの価値がユーザーにしっかりと伝わらなければ受け入れられることはない。ここで必要となるのがGo To Market戦略(以後、GTM戦略)だ。
Go To Market (GTM) 戦略とは?
GTM戦略とは、ターゲットユーザーにプロダクトを手にとって実際に使ってもらうために、マーケティングメッセージやオンラインやオフラインのキャンペーン等を駆使して、ユーザーにプロダクトの価値を理解してもらう一連のアクションプランだ。
いくらプロダクトが良い出来でも、発射に失敗してしまったらこれまでの努力が水の泡だ。その意味でGTMまでしっかりやりきって始めてプロダクトが本当に成功するかどうかが見えてくるようになる。よって、プロダクトローンチ、プロダクトリリース、プロダクトプロモーション、といった場面においてこのGTM戦略が計画・実行されるのだ。そのプロダクトをつかってほしいユーザーがなぜ興味を持たなければいけないのか、そのメッセージの合理性やインパクトを与えることが目的となる。
誤解しないでいただきたいのは、GTM戦略とは目立つ広告を打てば終わりというわけではない。それはGTM全体の中で要求されることの一つにすぎず、実際には以下のような要素がある。
マーケティング施策(マーケティング予算、キャンペーンなど)
どのようなマーケティング施策を行うかはGTMの核となる部分だ。まずマーケティング施策で一番達成したいゴールはなんなのか、セールスリードを増やしたいのか、ページランディングを増やしたいのか、ソーシャルエンゲージメントを増やしたいのかなど、プロダクトのゴールのためにマーケティングの成功はどうあるべきなのかを検討する必要がある。その上で特にマーケティングチームにとって重要なタスクであるキャンペーンは大小様々なレベルで展開が可能であり、大規模なキャンペーンとなるとGoogleのGoogle I/O、AppleのWWDC、FacebookのF8といった自社カンファレンス方式もあれば、Mobile World Conferenceのような業界展示会での発表も含まれてくる。
価格メッセージ戦略
価格はユーザーにとってプロダクトの価値を伝える重要なシグナルである。ユーザーはその値段を見て、同様の価格帯の別のプロダクトやサービスをイメージするかもしれないし、安ければ「安かろう悪かろう」と思われてしまうかもしれない。高ければユーザーの期待値は上がり相応の価値を感じてもらえなければユーザーをがっかりさせてしまう。プロダクトが提供する価値にどのような価格をつけるかはユーザーの印象を大きく左右することになる。プロダクトにつけられた価格をどのように発信することでユーザーの興味を引けるか、どのような思いで手にとってもらえるか、数字のシグナルを適切なメッセージで伝えられなければ、ユーザーはせっかく手にとったプロダクトからすぐに離れてしまうかもしれないのだ。
営業・カスタマーサポートチーム支援
そして、多くのユーザーに心地よくプロダクトの価値を届けるには営業やカスタマーサポートチームが力を発揮することになるだろう。プロダクトマネージャーにとっては、プロダクトを生み出すところからユーザーが使うところまでを日々考えているので、プロダクトのどこを押せばどの様に動くのかは空気のように当たり前になっている。ところがいざリリースする段階になると、これとは逆に当たり前でない人々がむしろ大半であることに気づく。プロダクトチーム以外の営業やカスタマーサポートチームはリリースのときに始めて新規プロダクトや新規機能に触れるのがほとんどなので、丁寧に情報を伝える必要がある。
特にB2Bの場合はB2Cと違って新規プロダクトをPRするだけでユーザーを獲得できることは少ないだろう。認知向上にPRは役に立つかもしれないが、その先は営業や代理店、カスタマーサクセスと言ったプロフェッショナル達の仕事が必要になってくる。GTM戦略の策定にあたってこうした営業チャンネルでどのようにユーザーに応対してもらうのか、また客先で競合の比較を話に出された場合にどのように切り返すか、こうした場面でプロダクトマネージャーは営業支援としての動きを取る必要がある。
無論一人で全ての案件に顔は出せないので何らかの形で支援ドキュメントを作ることもあるだろう。これもGTMの中の重要な1つであり、プロダクトマネージャーは情報提供者として動く場合もあれば自ら準備することもある。また、営業部隊をより効果的に支援するために、営業リストとのそのプライオリティーづけ、また顧客からの要望の優先度をプロダクト戦略と合わせて計画するという部分も行う。
「ユーザーについて深く考える」ということ
ここまで、ビジョン、ユーザー価値、GTM戦略の3方向からユーザーとの向き合う視点について述べた。ときに「ユーザーについて深く考える」といった際に、ユーザー価値だけに重きを置いてしまうこともあるが、プロダクトの成功という目標に向かってユーザーと向き合う姿勢を忘れないでほしい。
次回は
今回はプロダクトの強い軸の「Input」と「Output」からユーザーに関係する部分について記載をした。早いもので、この連載は次回で最終回を迎え、これから、皆さんからのフィードバックを受けて、この連載執筆者3人による書籍は最終段階に入る。この記事や連載を通してのフィードバックは #PMの基本 にお寄せいただきたい(後述)。
次回、最終回はプロダクトを成功に導くための「指標の考え方」とプロダクトマネージャーが成功した先にある「キャリア」についてまとめ、連載を締めくくりたい。次回も楽しみにしていてほしい。
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本連載は、プロダクトマネージャーを目指す方の道しるべとなる書籍(執筆中)の一部抜粋です。
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