エンジニアサイドとビジネスサイドが連携し合う意義
――他に、上園さんが過去の事例から学ばれた、プロダクト開発を成功させるための秘訣はあるでしょうか?
上園:ビジネスサイドとエンジニアサイドが、適切にコミュニケーションを取り合いながらプロジェクトを進めていくことですね。
かつてRise UPでは、開発を担う部署とプロダクトの要件を考える部署が完全に分かれており、後者の考えた要件に基づいて開発が行われた後、成果物を納品する形態になっていました。この体制では、部署間の連携がどうしても弱くなりますから、機能が必要な理由をエンジニアが正しく理解できないケースが発生しますし、エンジニアの意見はなかなかプロダクトに反映されません。
ですがその後、モアコンタクト事業部という部署に「MORECONTACT」を担当するビジネスサイドとエンジニアサイドのメンバーが集まる形になりました。コミュニケーションの距離感が近くなった結果、さまざまな利点が生じたのです。エンジニアがアイデアを提案しやすくなったためユーザーに届けられる価値は向上し、コミュニケーションロスに起因する手戻りが減って開発効率が圧倒的に良くなりました。
――エンジニアとビジネスサイドとのコミュニケーションロスを減らすことは、プロダクト開発において汎用的に有効な策だと思われますか?
上園:そう思いますね。プロダクト開発に求められる知識には3つあると私は考えています。ソフトウェア開発の知識と事業のドメイン知識、事業経営の知識です。これらがバランス良く揃っていなければ、プロダクトの開発体制は適切に構築できません。
ビジネスサイドのメンバーは、ドメイン知識と事業経営の知識はあるものの、ソフトウェア開発の知識が不足しているケースが多い。一方、エンジニアはソフトウェア開発の知識は豊富ですが、事業経営の知識をそれほど持っていないケースが多く、ドメイン知識の有無は特定の業界に所属している年数に依存してしまいます。両者が連携を取り合うことで、ハードスキルのバランスが良くなり、強い開発体制が生まれるのではないでしょうか。
エンジニアからプロダクトマネージャーに転身する醍醐味
――エンジニアを経験したからこそ、プロダクトマネージャーとして生じた利点はありますか?
上園:開発や仮説検証サイクルのリードタイムは、自分がエンジニアの経験をしたからこそ早められたと思っています。開発経験のない方がプロダクトマネージャーを務める場合、どのようなプログラムで機能を実現するかイメージせずに要件を考えることが多いですよね。その場合、どうしてもエンジニアがプログラムに落とし込みづらい要件になってしまう可能性が生じます。
――となると、作業の手戻りが発生しますね。
上園:一方、エンジニア経験があれば、いくつかの設計・実装パターンを考慮したうえでどの方針がいいか検討できますし、エンジニアとの連携もスムーズになります。これは、自分がエンジニアを経験したからこそ生じた利点ですね。
――とても参考になりました。最後に、エンジニアからプロダクトマネージャーに転身する醍醐味についてお聞かせください!
上園:プロダクトマネージャーもエンジニアも、ユーザーにとっての価値を生み出す仕事であることは変わりません。ですが、プロダクトマネージャーを経験することで、よりユーザーに近い視点で課題を見つけられるようになりますし、ドメイン知識も深くなります。
もしも、今の視点を持った状態で私がエンジニアに戻るとすれば、エンジニア経験だけでは身につけられなかったスキルを持ったうえで仕事に取り組めるわけですから、エンジニアがプロダクトマネージャーを経験する意義は非常に大きい。特に私のように、事業づくりが好きな人間にとっては、より一層その傾向が強いのではないでしょうか。
よく、プロダクトマネージャーはミニCEOだと言われます。社員でありながら、事業の方向性について深く考えて行動できる職務だからです。ローリスクでありながら、数多くのチャレンジができる。こんな素晴らしい職業を、読者の方々にもぜひ経験していただきたいです。
――エンジニアがプロダクトマネージャーに転身するうえで意識すべき点や醍醐味が分かり、大変参考になりました。ありがとうございました。
