Dockerを使うための準備
さて、Dockerを使うには、どうすればよいのでしょうか? それには、Docker Engineを含むソフトウェアをインストールします。Docker Engineをインストールしたコンピュータ(つまり親となっているコンピュータのこと)を「Dockerホスト」と言います。
Docker Engine
Docker Engineには、無償のコミュニティ版と有償のエンタープライズ版がありますが、本稿ではコミュニティ版のみを扱います。
1. Linux
コミュニティ版は、「Docker CE」と呼ばれます。「CentOS」「Debian」「Fedora」「Ubuntu」に対応しています。それぞれのインストール方法については、こちらに記載されています。なお、Raspberry Piで使うLinux「Raspbian」も対応していますが、これはARMプロセッサ用のものであり、ARM用に作られたDockerイメージでしか動作しません。また、「Red Hat」や「SuSE Linux」など商用Linuxでは、エンタープライズ版である「Docker EE」がサポートされています。
2. Windows
Windowsでは「Docker Desktop for Windows」を使います。Hyper-V環境またはWSL2環境が必要です。
3. macOS
macOSでは「Docker Desktop for Mac」を使います。
Ubuntuにインストールする
Docker Engineのインストール方法は、OSによって異なります。それぞれのOSのインストール方法は、Docker公式サイトのドキュメントに記載されているので、それを参考にしてください。
ここでは例として、Ubuntu 20.04の環境にインストールする方法を説明します。実際に皆さんが試すときには、AWSのEC2やAzureのVMなどでUbuntu 20.04をインストールしたサーバーを用意して確認するとよいでしょう。実験に使うのであれば、無償の範囲で使えるインスタンス(AWSならt2.micro、AzureならB1Sといった、1CPU、1Gバイトメモリ程度の環境)で十分です。
ただし、Dockerであれこれ試すとディスクを意外と多く消費します。ディスクは10~20GB程度を確保しておくのが無難です。
Ubuntuにインストールする手順
実際にUbuntu 20.04環境にインストールするには、次の通りにします。また、下記の内容は公式のUbuntuへのインストールドキュメントに準拠したものです。最新情報については、公式ドキュメントを参照してください。
【手順】Ubuntu 20.04環境にインストールする
1. 必要なパッケージをインストールする
Docker Engineの実行に必要なパッケージ一式をインストールします。
$ sudo apt-get update $ sudo apt-get -y install apt-transport-https ca-certificates curl gnupg-agent software-properties-common
2. GPGキーを追加する
Dockerオフィシャルサイトのキーをダウンロードして登録します。
$ curl -fsSL https://download.docker.com/linux/ubuntu/gpg | sudo apt-key add -
3. Dockerダウンロードサイトを登録する
Dockerダウンロードサイトをaptリポジトリに追加します。
$ sudo add-apt-repository \ "deb [arch=amd64] https://download.docker.com/linux/ubuntu \ $(lsb_release -cs) \ stable"
4. Docker Engineをインストールする
次のようにして、Docker Engineをインストールします。
$ sudo apt-get update $ sudo apt-get install -y docker-ce docker-ce-cli containerd.io
5. ubuntuユーザーでdockerを利用できるようにする
既定ではrootユーザーでしかdocker操作できないため、ubuntuユーザーでもdocker操作できるようにしておきます。次のようにして権限を与えます。
$ sudo gpasswd -a ubuntu docker
6. ログインし直す
5.の設定は、次回ログインより有効であるため、一度ログオフしてログインし直します。
以上でDocker Engineのインストールは完了です。インストールが完了すると、dockerコマンドが使えるようになります。次のように実行してバージョン番号を確認することで、正しく動作することを確認しておきましょう。
$ docker --version Docker version 19.03.8, build afacb8b7f0