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プロダクトマネジメントの基本を学ぼう

「プロダクトとは何か」から考える、プロダクトマネージャーが身につけるべきスキル

プロダクトマネジメントの基本を学ぼう 第13回


「知識」と「スキル」の関係

 今回、知識とスキルを分離して、学び得ることができるものを「知識」、それらの知識を生かした経験により身につけられるものを「スキル」と定義した。

 まず、プロダクトマネージャーが持つべき「知識」についてはBusiness、Texh、UXのベン図が最も有名だろう。このベン図のうち、3つの知識の交差領域がプロダクトマネージャーの役割であると言われている。そのため、Business、Texh、UXの3つの領域の知識を持つことはプロダクトマネージャーにとって必要不可欠だ。

プロダクトマネージャーに必要なBusiness、UX、Tech
プロダクトマネージャーに必要なBusiness、UX、Tech

 では、スキルとしてはどうだろうか。例えば、プロダクトを成功させるためには素早い仮説検証が必要であることは広く知られている。しかし、「知識」のように広く知られたものがまだないため、プロダクトマネージャーに必要なスキルを改めてひもとき、解説する。

プロダクトマネージャーに必要なスキル

 プロダクトを成功させるため、すなわちビジョンを実現して、事業価値と顧客価値を最大化させるために、プロダクトマネージャーに求められるスキルを6つに分解した。

発想力

 プロダクトマネージャーはプロダクトが進むべき方向を指し示し、そのための一歩を踏み出さなければならない。ビジネスモデルを創出すること、既存の機能を組み合わせて新しい価値を提供すること、ステークホルダーとの良いコミュニケーションのとり方など、全ては新しい発想によって行われる。そして、発想をするために、常にアンテナを高く張り、情報を得ておくことや、常日頃から思考をめぐらしておくことにより、プロダクトの進化の種を見つける力が求められる。

計画力

 プロダクトマネージャーには発想したものを実現に向けて計画する力も重要だ。また、発想したものを全て実行するのではなく、ユーザーに提供できる価値が大きくなるものから順番に優先度付けをすることも重要だ。

 計画力という名称ではあるが、プロダクトマネージャーに求められる計画力とは、ガントチャートを作成したり、リリースまでのマイルストーンを組み立てたりすることではない。これらはプロジェクトマネージャーのに求められるものだ。プロダクトマネージャーに必要な計画力は、中期的なロードマップの作成や、指標の立案といった、着実に計画を立てつつも、ビジネスとして成り立つビジョンを実現する力である。

実行力

 プロダクトを設計するだけではなく、プロダクトのCoreからHow(※第12回参照)までの全てのフェーズにプロダクトマネージャーは責任を持たなければならない。そのためには、プロダクトマネージャー自身がプログラミングを書いたり、デザインしたりすることはなくとも、それらについての基礎的な知識を持っておかなければならない。

 つまり、プロダクトの大きな絵を描いて終わりではなく、多くの人の力をまとめてその絵を現実に実現させる力も必要だ。物事を机上の空論で終わらせず、どんなハードルがあったとしても実行することが求められている。

仮説検証力

 プロダクトに関わる全てのものは仮説である。プロダクトマネージャーの仕事は新たな仮説を作り、それを検証する作業の繰り返しだ。全てが仮説であることを理解し、小さなリスクを取って素早い仮説検証サイクルを回すこと、そして何が仮説であり、何が検証済みの仮説であるのかをロジカルに考え、数字と向き合う能力もプロダクトマネージャーの必須能力だ。

リスクコントロール力

 プロダクトのリスクを見積もり、対処する力も必要だ。どれだけ魅力的なプロダクトであったとしても、法に触れていたり、脆弱性があったりする場合にはサービスの継続が難しい。しかしながら、リスクばかり気にして石橋をたたいて渡り続けていてはスピード感を失ってしまう。そのため、プロダクトマネージャーは各意思決定にどれだけのリスクがあるのか、そしてそのリスクを軽減する方法はあるのかを把握し、プロダクトのライフサイクルに合わせて適切にコントロールすることが求められる。

チーム構築力

 どれだけ優秀なプロダクトマネージャーであったとしても一人ではプロダクトを作ることはできない。プロダクトマネージャーは人事上のマネージャーではないが、プロダクトチームを率い、ステークホルダーをまとめることが求められているため、チーム構築力も必須である。

 そして、このチーム構築力はソフトスキルとハードスキルから成り立つ。このソフトスキルとは、プロダクトを率いるリーダーに必要なコミュニケーションスキルだ。これには、心理的安全性についての理解や、他者とのネゴシエーションスキルも含まれる。ハードスキルについては、プロダクトチームと協業するためのソフトウェア開発プロセスやDevOpsなどの運用手法などが含まれる。

おわりに

 第7回記事ではプロダクトマネージャーに必要なスキルセットを木のモチーフに例えて、Business Acumen、User & Market Insight skills、Technical skills、Team & Collaboration skillsと定義した。しかし、読者からのフィードバックや執筆者間での議論の中で知識とスキルを分けて検討することに思い至り、今回の記事となった。ぜひ、今回の記事についてもフィードバックをお願いしたい。

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 本連載は、プロダクトマネージャーを目指す方の道しるべとなる書籍(執筆中)の一部抜粋です。

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この記事の著者

及川 卓也(オイカワ タクヤ)

 早稲田大学理工学部を卒業後、外資系コンピューターメーカーに就職。営業サポート、ソフトウエア開発、研究開発に従事し、その後、別の外資系企業にてOSの開発に携わる。その後、3社目となる外資系企業にてプロダクトマネージャーとエンジニアリングマネージャーとして勤務後、スタートアップを経て、独立。2019年...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

小城 久美子(コシロ クミコ)

 toC向けサービスを提供するWeb系企業に入社し、その後いくつかの企業で新規事業の立ち上げなどにエンジニア、スクラムマスターとして携わる。どう作るかより何を作るかに興味関心が移り、プロダクトオーナー/プロダクトマネージャーに転身。プロダクトマネジメントについてより深めるために、2019年よりTab...

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曽根原 春樹(ソネハラ ハルキ)

 Fortune500系外資企業に入社後、SE、カスタマーサポート、マーケティングなど様々な役職を日米で従事。その後シリコンバレーでプロダクトマネージャーに転身。B2B、B2C領域で米系大企業・スタートアップの双方でプロダクトの世界展開に携わる。現在はSmartNews社米国法人にて日本のスタートア...

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