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文系エンジニアの強みを生かすには? 技術力やコーディング力を体得して多様なキャリアを描こう【デブスト2020】

【Session15】Hello, World! 外国語学部英語学科系エンジニア爆誕までの軌跡

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2021/02/19 12:00

 大学でプログラミングの勉強をすることなく、ITエンジニアとして就職する人も多い。未経験からの分野に進むと、新人のうちは技術的な用語が混じるため、先輩の話すことが理解できないほか、中には「何がわからないかもわからない」というような状況に陥ったことも一度で済まないかもしれない。だが技術力やコーディング力を身につけて磨いていけば、文系エンジニアならではの強みが生かせるキャリアが描けるという。外国語学部英語学科出身ながらバリバリのエンジニアを目指し、日々、業務に突き進んでいる電通デジタルの関本裕氏が自身の体験を元に、文系エンジニアの仕事への向き合い方やキャリアの考え方を紹介した。

株式会社電通デジタル 事業戦略室 関本裕氏
株式会社電通デジタル 事業戦略室 関本裕氏

新人時代にはさまざまな壁にぶつかった

 「Hello, World! 外国語学部英語学科系エンジニア爆誕までの軌跡」というテーマで行われた関本氏のセッションは、自己紹介から始まった。

 2017年に電通デジタル入社し、現在バックエンドエンジニアとして開発業務に従事している関本氏は非常にユニークな経歴を持つ。高校を卒業後、米国に渡って大学を転々とした後、転送サービス領域で起業する。その後日本に戻り、上智大学外国語学部英語学科を卒業し、電通デジタルに入社した。従って当時の目標は、英語も技術もバリバリのエンジニアになることだったが、それはあまりにも甘い目標だったと振り返る。

 電通デジタルは2016年設立、と比較的若い会社であり、デジタルマーケティングのすべての領域に対して、コンサルティング、開発・実装、運用・実行などのサービスをワンストップで提供している。開発エンジニアは広告業務の運用支援ツールやクライアントデータの基盤の開発、DXのための技術検証などに従事している。

 自社プロダクトの開発現場ではモダンな技術を採用しており、「プロセスはScrum開発を前提としています」と関本氏。現在、バックエンドエンジニアとして関本氏が携わっている主な業務はAPIの設計開発だそうだ。

 「使用言語はGoやPythonを使ってgRPC APIの設計開発や、Node.jsでBFF(Backend For Frontend)を書いていたりしています。そのほかにもPythonなどを使ってデータパイプラインの構築をしたり、デジタル広告配信に役立つスクリプトを作成したりしています」(関本氏)

 開発業務をこなす中で、新人エンジニア時代には未熟さゆえに壁にぶつかることも多く、直面した数々の難局に、関本氏はユニークなあだ名をつけて心の中で呼んでいたという。

 例えば、「TG:BGI」というあだ名。こちらは「先輩の書いたコードがわからないを超越して、半目で硬直状態になってしまった」を意味する。エンジニアあるあるとして紹介する「通例儀式シリーズ」だが、そのほかにもTG:HDK(本番データを消す)、TG:OK(お客カンカン)など、「文系卒の新人プログラマなら、あるあるの失敗だと思います」と関本氏は笑みを浮かべる。

 また「技術的な用語が多すぎて何を言っているのかわからないが、優しいので何回も教えてくれる先輩に困ったこともあった」という。わからない、優しいの二重の意味で泣きたくなった状態を関本氏は「UJYS」と名付けている。上述のような通例儀式シリーズと同様に、「プルリクエストに公式ドキュメントのURLだけを貼ってくる先輩」など、先輩シリーズにもさまざまあると関本氏は言う。

 そのほかにも、「うまく言葉にして説明できない」「ただの質問が詰められているように思える」「〇〇さんとコミュニケーションが難しい」など、新人エンジニア時代にはさまざまな困難にぶち当たることがある。「文系だからと負い目を感じる必要はありません。これらのことがあっても、それでいいのだと思うこと」と関本氏は言う。

 なぜ、そう言えるのか。関本氏自身、「典型的なできないエンジニア」だったそうだ。技術系イベントに参加することもあまりなく、会社のチームの同僚が自作キーボードで盛り上がっていても、話している内容は面白いと思うものの、どうしても自分事にできなかったという。「技術的にも思考的にもソフトウェアエンジニア的ではないと思いながらも、仕事をしてきました。ですが、徐々に『自分が成長している』ことに気づくようになったのです」(関本氏)

 今、関本氏はあるプロダクトのバックエンド設計・開発チームのリード的な立場を担っている。そのチームでは2人のメンバーのサポートをしているほか、インターンシップシップに来た学生のメンターや新人エンジニアのトレーナーを務めることもある。「学生や新人と自分を比較すると、圧倒的な差があることに気づきました。いつの間にかできることが増えているのです」(関本氏)

 もちろん、技術力を身につける努力は必要だ。だが前向きに頑張って取り組んでいけば、必ず未来が見えてくる。「エンジニアとしての生命力は上がっていきます。だから、いろいろ失敗をしてもいいんだと自信を持って言えるのです」(関本氏)

 「一般的な文系出身エンジニアの成長度合い」として、レーダーチャートで表すと次のようになる。自身の目指す理想像を10とすると、入社時のコミュニケーション力は普通、勇気・鈍感力は文系から別業界に飛び込んだということでやや高め、別領域の知識は持っている。一方、技術知識とコーディング力はゼロである。これが数年たつと、コーディング力や技術知識はゼロだったものが平均値になるなど、日常業務だけでも大きく成長していけるのである。

一般的な文系出身エンジニアの成長の度合いをレーダーチャートで比較
一般的な文系出身エンジニアの成長の度合いをレーダーチャートで比較

他分野の経験・知識×エンジニアの掛け算で、広がるキャリア

 「文系エンジニアは一度、技術力やコーディング力を体得すると、さまざまなキャリアが見えてきます」と関本氏。

 例えば法律学科卒のエンジニアであれば、GDPRなど個人情報保護の問題などの分野で、強みを発揮することができる。意外と関係なさそうに思えるかもしれないが、アートとエンジニアは親和性が高く、例えば、近頃のCGや3Dアニメーションの制作現場では、7割ぐらいまで作り上げてはまた1から作り直したりを複数繰り返すなど、アジャイル開発に非常に近しいところがある。

 文系エンジニアのメリットは、「掛け算式キャリア」が比較的容易に考えられることだ。現在、世の中のほとんどの企業がIT企業といっても差し支えないほど、ITの活用がビジネスを左右するようになっている。しかも約15年後には、プログラミング義務教育世代が社会に出てくる。そんな時代にただ仕様通りに作るエンジニアでは勝負できない。

 「開発技術に足して何かしら別の強みを持ち、企業に貢献できるようなエンジニアになっていないと、生き残っていくことはできないと思います。だからこそ、今後掛け算式キャリア形成という考え方が重要になってくるのです。しかも文系/非情報系出身だと、技術的領域以外の知識や経験から掛け合わせられる変数の数も多くなるので、優位に働くはずです」(関本氏)

 関本氏の強みを、掛け算式キャリア設計を使って表すと、英語(経験)×技術的バックグラウンド(経験・知識)×コミュニケーション能力(得意)となるという。そして目指しているキャリアは「外国人エンジニアがたくさんいるチームのテックリード」である。

 これまでの経験や得意分野などの、すでに自分が体得しているモノが掛け合わせると、現実味のある目標になる。掛け合わせられる変数の中には、これまでぶつかった壁も入っている。だが、それらの変数はすごく小さなモノで、制御不能なもの。「そうではなく、自分でコントロールできそうな変数の能力を向上することに意識を向けることが重要」と関本氏はアドバイスする。

 確かに関本氏にとってはもはや宇宙人にも思える「宇宙語と日本語で喋る」先輩エンジニアとやりとりを重ねることで、コミュニケーション能力は向上するかもしれない。だが、最初からそこに意識を向けるのではなく、「Pythonのパッケージを勉強するなど、一つでも技術的バックグラウンドとなることに意識を向けることをお勧めします」と関本氏は強調する。

 関本氏はテックリードという目標を達成するためには、「コードの品質担保や採用アーキテクチャ・設計への責任などの技術的・知識や経験を身につけていくことが必要だと感じている」と話す。それを身につけるため、情報系大学院への進学も考えているという。

 「悩んだときはコントロールできる目標に立ち返り、ちゃんとそれに向かって進んでいるか確認することです。その際に自分でコントロールできないモノはあまり気にしないこと。そのためにも、目標を掲げることが重要になりますが、目標がまだ見つかっていないという人は、掛け算式キャリア形成で、目標を作ってみてください。自分のエンジンに油を差すことを忘れないように、共に頑張っていきましょう」

 関本氏は最後にこう視聴者に呼びかけ、セッションを締めた。

これまでの経験・知識を技術と掛け合わせることで多様なキャリアが描ける
これまでの経験・知識を技術と掛け合わせることで多様なキャリアが描ける

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