2.課題解決のためのスキル獲得
解決すべき課題が明確になったら、今度はその課題を適切に解決に導くためのスキルを獲得する必要があります。
私が考えるデザイナーが身に着けるべきスキルは、ロジカルシンキングをベースとした「リサーチ力」と「デザインスキル」です。
2-1.リサーチ力
リサーチ力は、シーケンス分析やユーザーインタビュー、ユーザビリティテストなどによって鍛えていきます。またそれだけでなく、Google Analyticsなどのツールを活用した定量分析もできるようになる必要があると考えました。
正しくデータを読み解くことができなければ、適切な課題設定もできない。つまり、事業の成長に貢献できるデザイナーになるためには、マーケティング的なデータ分析力が不可欠だと考えた当時の私は、事業の数字を正しく読み解くための「リサーチ力」強化に注力することに。
定量的なユーザー行動分析などのリサーチを行うことにより、サイト全体の設計や構造、良質なコンテンツ設計、ユーザビリティを向上させ、ユーザーの回遊率を高める施策などの検討が可能になりました。このようなマーケティング視点での分析は、事業にUXデザインを導入するうえで必要不可欠なユーザー心理や行動を読み解くことにもつながります。
2-2.デザインスキル
解決すべき課題が明確になっても、適切な表現ができなければ改善にはつながりません。普段から目にするクリエイティブの狙いを考察したり、その良し悪しを言語化するなど、質の高いインプットとアウトプットを繰り返すことで、UIやグラフィックデザインスキルを磨いていきます。
3.振り返り習慣の徹底
UXデザインの実践とは、ユーザーのコンテキストに寄り添い、仮説思考でリサーチし、改善活動を繰り返すことだと考えています。そのため施策を実施した際には、上手くいったことと上手くいかなかったことを洗い出し、それらをもとに改善すべき点と今後のアクションを定めるようにしています。そのうえで導き出した行動計画は、下記のようにすべてドキュメント化し、チームメンバー全員が見ることができるようにしています。
このように、私は約2年かけて、事業成長を可能にするUXデザインの取り組みに力を入れてきました。そして同時に、「課題発見・解決に必要なロジカルシンキング」、「コミュニケーションスキル」、「リサーチ力」、「仮説思考や課題解決力」を磨いてきました。
「Life.」はまだまだ成長途中ではありますが、ローンチして3年間でサービスの規模も大きくなり、ユーザーも増えていきました。こうした「数字の成長」は少しずつユーザーに支持されるようになってきた証だと考えています。
私が考えるUXデザインとは、「サイトを利用するユーザーや、提携していただいている事業者、ともにサービスを成長させていくチームの仲間含め、サービスに関わるすべての人々にとって最高の体験を設計する」こと。
市場やユーザーのニーズが多様化し、いかに最高のユーザー体験を提供できるかが重要になった今、見た目をきれいにするだけでは真の顧客志向とは言えないことはもちろん、ユーザーが快適な体験なしにサービスを利用し続けてもらうことも難しくなっています。正しくユーザーを理解し、必要とされるサービスは何か、解決すべき課題は何か――。サービスの本質的な価値を高めるためにも、事業を成長させるためにも、事業運営にUXデザインを正しく取り入れてみてはいかがでしょうか。