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成長企業の事例から学ぶプロダクトマネジメント

国内No1登山アプリのプロダクトマネージャーは、コロナ禍でどのような行動をしたか?

コロナ禍においてYAMAPがぶつかった壁

 ということで抽象的な話は以上にして、具体的な内容に入っていきましょう。皆さんご存じのように、2020年は「新型コロナウイルスの流行」という非常に大きな事件がありました。これはYAMAPの主戦場である登山・アウトドアというニッチな業界では非常に大きな波となって影響が出てきていました。

 YAMAPは以下のような成長サイクル図(本当はもっと複雑なのですが簡易版です)をもとに戦略を立てていました。成長サイクル図とは、プロダクト・サービスの成長の循環構造を表す図です。「この要素が増えるとこの要素が増える」という成長の構造を明らかにし、それぞれの要素のKPIを計測することによって「成長が想定通り行われているか」「注力しなければならないのはどの要素か」などを構造の中で把握することができます。

 この図が表しているのは簡単に言うと「より多くのユーザーが登山をし記録を残すことによってWeb上の情報が増え、より多くのユーザーがサイトを訪れる」ことが成長のサイクルを作り出す、ということです。

 この成長サイクル図をもとに作っていた戦略には、暗黙的に大きな前提がありました。それは、「人は自分の意志で”自由に山に登る”ことができる」というものです。この前提のもとにユーザージャーニーを考え、UXやUIを設計し、プロダクト戦略を策定していました。

 そしてコロナ禍。緊急事態宣言により「外出」が制限される中、「登山に行く」という自由が世界から奪われます。また緊急事態宣言解除後も、登山の自粛傾向が続くと共に、富士山や北岳のように登山自体が禁止となることもありました。

 「登山が自由にできない世界で、登山・アウトドアサービスがどうあるべきか?」という非常に厄介な問いに答える必要が出てきました。

 このため、YAMAPは2020年春にこれまで進めてきたOKRに基づいた戦略を一度白紙にすることを決め、新たな戦略の練り直しに入りました。

壁を乗り越えるための分析・検討

 戦略の変更を決めた際にやったことは、主に3つです。

  • シナリオ予測
  • 施策ブレスト
  • データ分析

 まず最初にやったのが「シナリオ予測」です。「自由に登山に行けなくなってしまった」世界ですが、今後どうなるかは誰にも分かりません。早期に流行が収束してすべてが杞憂で終わる可能性もある。逆に、収束しないままに延々と「コロナ禍」が延長する可能性がある。圧倒的な不確実性が立ち塞がっているですが、プロダクトを作る者としては諦めるわけにはいけません。「不確実性」は大きいものの、その解像度を上げることは可能なのです

 現状我々が持っている「事実(ファクト)」をしっかりと認識した上で、今後の情勢の予測の記事なども読み込みました。とはいえ、アウトドアや登山、そして我々のYAMAPに対する影響などは自分たちで考えるしかありません。プロダクトに関わる主要メンバーが集まってさまざまに分析を行い、「ベスト」「ワースト」「モデレート」シナリオと各ビジネスや各機能に対する影響などきめ細かく予想し、どのシナリオをベースに戦略を立てるべきか検討しました。

 また、メンバー全員に呼びかけて「施策ブレスト」を行いました。平常時YAMAPでは、新機能アイディアなどはいつでも提案できる状態になっており、闊達な議論が行われています。そのアイディアが採用され新機能になることは日常的に行われています。

 しかしいまは非常時であり緊急時です。それぞれの各メンバーの考えていることやアイディアを一度集めた上で、素早く議論を進めていく必要があります。これは、戦略をより広い発想で考えるためにも役立ちます。戦略立案の主要メンバーだけで終始してしまうと、バイアスのかかった閉じた議論で終わってしまう可能性があります。メンバー一人ひとりの意見を尊重し、よりオープンに議論することで、幅広い選択肢から戦略を考えることができます。

 これらの「シナリオ予測」「施策ブレスト」を支えるファクトとして重要なのが「データ分析」です。YAMAPではデータ分析の専任チームがおり、データ分析チーム主導でBIツール「Looker」を駆使して各種のデータ活用が日常的に行われています。コロナ禍では、「これまで蓄積したデータをもとにした分析」を行うと共に、「コロナ禍においての地域ごとの動向」なども詳細に分析し、今後の予想や施策に役立てました。

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「登山に行けない日常」をいかにサポートするか

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この記事の著者

土岐 拓未(株式会社ヤマップ)(トキ タクミ)

株式会社ヤマップ プロダクト・マネージャ国内No.1登山アプリ・サービス「YAMAP」のプロダクトマネージャー。2018年までは東京のソフトウェア・ベンダーにてB2B製品の開発責任者、新製品の提案・開発などに従事。YAMAPの企業理念に賛同し、2019年より福岡に移住しジョイン。戦略策定やビジネス...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/13455 2021/01/28 11:00

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