SmartHRが実際に行った簡易ユーザビリティテストとは
「SmartHR」には、従業員が提出した申請を労務担当者が承認することで従業員の情報を従業員が更新できる「申請機能」があります。この機能に「承認経路を多段階で設定できる機能」を追加することになり、開発者の想定通りに使ってもらえるのかをユーザービリティテストで検証することになりました。
BtoB向けサービスにおけるテスト対象者の考えかた
ユーザビリティテストは、実際に利用しているユーザーに行うことが基本です。我々であれば本来は、SmartHRを契約しているお客さまにテストの協力をお願いするべきですが、BtoB向けサービスのテスト対象者を選ぶ際、以下のような課題に直面することがよくあります。
- ユーザーの業務時間中にユーザビリティテストに協力してもらうことになるので、スケジューリングに時間がかかる。
- BtoC向けサービスに比べ、実際のユーザーに会うまでが遠い
- 開発サイクルが1週間など短いため、開発現場では素早い動きが求められる
SmartHRでも、こういった状況に直面することが多々あります。そんなときは、社内のカスタマーサクセス、カスタマーサポートメンバーを仮のユーザーと見立てテスト対象とし、簡易版のユーザビリティテストを行っています。
その際、(テスト対象の)申請機能には触れたことがないメンバーに依頼することで、社内リクルーティングだったとしても、実際のユーザーの利用状況に合った状態で一部のテストを行うことができます。
社内で簡易ユーザビリティテストを実施すると、スケジューリングにかける時間を減らすことができるだけでなく、よりラフなフィードバックを得られるというメリットもあります。さらに副次的な効果として、テストを受けたメンバーへ開発の進み具合や機能の共有をする機会にもなり、他部署との連携がスムーズになったり、新機能の理解が深まる効果もあるはずです。
オンラインでの具体的な実施方法
ユーザビリティテストを行う際、まずは事前に作ったテストシナリオとタスクに沿って対象の機能を操作してもらったあと振り返り時間を設け、「なぜその操作をしたのか」をヒアリングするのが標準的な流れです。
今回の場合、現在の情勢をふまえすべてオンラインでテストを行う必要があったため、Zoomでデザイナー(テスター)のパソコンの画面を共有。その画面をユーザーに操作をしてもらうリモートコントロール機能を使いました。Zoomをつなぐだけでテストに参加できるため、テスト対象者の環境設定の負担も減りますし、Zoomの録画機能を用いれば、振り返りや開発チームへの共有がとても楽になります。
リモートコントロールの機能を利用する際には、Zoomのミーティングの設定画面にサインインをし、[遠隔操作]のスイッチがオンになっていることを確認します。
テスト時には、画面共有をした状態で、メニューの[リモート制御]からリモートコントロールを付与したい人の名前をクリックすることで、リモートコントロールを開始します。
テストを実施する際には開発チームにも声をかけ、気軽に参加できるようにしました。テスト対象者を緊張させないために、テストを見学するメンバーには音声と映像は切ってもらい、デザイナー(テスター)だけが顔を出すなどの配慮をしています。