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「ご機嫌で仕事に取り組む、成果を出す」は実現可能――そう語るSREエンジニアの北野さんにこれまでのキャリアを聞いてみた

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2021/07/07 11:00

 マニュアル作成・共有プラットフォーム「Teachme Biz」でも知られるスタディストで、執行役員 VPoE(Vice President of Engineering)/SREエンジニアとして活躍する北野勝久さん。新卒入社で「アプリ開発以外を全般的に経験」することから始まり、スタディストではアプリ開発やシステム運用業務を担当。その自動化を機にSREに目覚め、サービスの信頼性の制御に関する実装を担当し、2021年3月からはVPoEとして開発組織のマネジメント業務にも携わるようになったという。PythonでのExcel自動化やオンライン講座でのレクチャーなど、非エンジニアへの情報発信も含め、幅広く、「みんなが楽しく仕事ができること」に尽力する、そんな北野さんのキャリアのあり方や背景にある思いなどについて伺った。

目次

エンジニアチームが「ご機嫌に成果を出す」ために力を尽くす

――まずは現在のお仕事についてお聞かせください。

 スタディストでSREエンジニア、VPoEをしています。普段はVPoEとして採用業務に携わったり、開発部内の組織体制の変更に関する議論の推進を行ったり、開発組織に関するありとあらゆることに取り組んでいます。加えて、SREチームや技術支援チームなどの技術横断施策を推進するチームのマネージャーとしての役割も兼務しています。

 スタディストでは、CTOの佐橘が「ご機嫌に成果を出す」を口癖のように言っていて、それが開発チームのモットーのようになっているのですが、まさに私の仕事は、開発チームのみんなが「ご機嫌に成果を出す」ための仕組みや環境を作ることと言えるでしょう。

 スタディスト開発部では、1on1の時間をとても大切に考えています。本人の「やりたいこと=WILL」や「やれること=CAN」、そして「組織としてやるべきこと=MUST」のマッチングを重視して、しっかりとすり合わせるようにしています。実際、チーム間で異動したり、希望に応じたアサインを行ったり、かなり柔軟に対応しているのではないでしょうか。

株式会社スタディスト 執行役員 VPoE/SREエンジニア 北野勝久さん
株式会社スタディスト 執行役員 VPoE/SREエンジニア 北野勝久さん

――現職に至るまでのキャリアをお聞かせください。

 2014年に新卒で入社した日本タタ・コンサルタンシー・サービシズでは、主にサーバーの構築やデータベースのセットアップ、あとはデータベースでのリカバリやリストアの試験など、安定運用に向けた検証業務に主に取り組んでいました。また、ジョブシステムの開発なども行い、一言で言えば、「アプリケーションを作る以外全般」が私の担当領域でした。その分、キャッチアップなども大変でしたが、一人で幅広い業務に携われたことはやりがいもあり、さまざまな経験ができたことが今につながる財産にもなっています。

 さらに、当時は毎朝のように、メンターにシステム開発について教えてもらう時間を設けていただいていました。業務で触っている以外の部分についても、汎用的に技術を学ぶことができたのは、今振り返っても本当に幸運でした。

 その後、2016年にスタディストへ転職しました。たまたまサービスの”中の人”とお話しする機会があって、その際にスタディストが提供している「Teachme Biz」を知ったのがきっかけです。「Teachme Biz」は、手順書の作成・共有・管理が簡単にできる生産性向上プラットフォームなのですが、その使い勝手や考え方に魅力を感じ、自分も関わりたいと思うようになりました。

 それで、代表の鈴木との面談では、事前に質問を準備して臨みました。特にスタートアップは代表の考え方や方針で事業や組織が大きく変わるので、直接会うことができて話ができるのはチャンスだと思いました。その中で不躾ながら「こんな技術でこんな改善をしてみては?」といった提案をしたところ、既に同様のイメージを持っていて、自分の中でその先まではっきりとビジョンが見えました。

 他にも「Teachme Biz」やスタディストの未来について根掘り葉掘り聞きましたが、全てにおいて共感することができ、そうした納得感が最終的には決め手になって入社することにしました。あとで聞いたら2時間半くらい話し込んでいて、部屋の外ではいつ終わるのかと心配されていたようです(笑)。

システム運用の自動化を機にSREの可能性に目覚める

――その後、「Teachme Biz」のアプリケーション開発に携わるようになったのでしょうか。

 そうです。前職では「アプリケーションを作る以外全般」が仕事でしたが、「Teachme Biz」では、アプリケーション開発に携わりました。「Teachme Biz」については、アプリケーション開発全般に取り組みながら、お客さまからの問い合わせに関する調査を行ったり、新規機能開発に関するコンセプト資料を作成したり、あらゆる周辺業務を全部自分でやりました。愛着も湧きますし、サービスの全体像もわかるので、その意味でも「全部やる」というスタイルは本当に良かったと思います。その後、自分が作った機能がニュースサイトに取り上げられた時も嬉しかったです。

 それからSREとして活動を始めて、SREチームのマネージャーになり、次第にマネジメント業務の比率が高まって今に至ります。

――これまでとは違う領域に進まれたんですね。SREとの出会いは何がきっかけだったのでしょうか。

 SREを知ったのは、現在もスタディストの技術顧問である萩原利士成さんに、Googleの『Site Reliability Engineering』(オライリー刊)を教えてもらって読んだのがきっかけです。一緒に仕事を始めた当時、私は手作業でのシステム運営に追われていて、人が増えるまでは忙しい日が続くだろうな、と思っていたんです。

 でも、萩原さんに私の仕事の方向性をリードしてもらう中で、どんどん新しいテーマにチャレンジできる状態になっていきました。その萩原さんに教わった考え方がまさにSREで、私も実践するうちに会社が”箱(活躍の場)”を用意してくれて、そこにすっぽり収まったという感じです。立ち上げ時にSREの仲間としてメンバーを採用できたのも活動に弾みがつきました。

 かつて萩原さんと出会ってSREを知る前は、「人が増えれば、目の前の業務が楽になるはず」と思い込んでいました。でも、それは半分正解で半分間違いだと思っています。人が増えて、目の前の業務が楽になってもサービスも成長するので、運営業務は楽になるどころか、肥大化します。なので、ソフトウェアで業務を動かせるようにしていかないと、いつまでも人を増やす以外の選択肢がなくなってしまいます。

 SREの提唱者であるBen Treynor Sloss氏が、「SREはソフトウェア開発者のシステム業務の再設計」とおっしゃっているのですが、単なる自動化だけでなくて、セルフサービスでできるようにすること、プルリクエストで業務が進むことの大切さにも思いが至るようになりました。


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著者プロフィール

  • 伊藤 真美(イトウ マミ)

    エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

  • 鍋島 英莉(編集部)(ナベシマ エリ)

    2019年8月に翔泳社へ入社し、CodeZine編集部に配属。同志社大学文学部文化史学科卒。

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