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【デブサミ2021夏】セッションレポート(AD)

習慣化に必要なのは意思より技術! 挫折しないための7つの思考法とは?【デブサミ2021夏】

【A-3】95%の習慣化達成率を実現する方法~ハビットエンジニアリング~

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 仕事やプライベートで習慣化しようと決意をしたものの、なかなか実現できず悩んでいる方は多いのではないだろうか。習慣化できないのは、意思の力が弱いからだと思いがちだが、決してそうではないと持論を展開するのは、株式会社ゆめみ 代表の片岡俊行氏。優れた設計とエンジニアリングによって、習慣化達成率95%を実現したという具体的な手法とともに、7つの超習慣技術と思考法を紹介してくれた。

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株式会社ゆめみ 代表取締役 片岡俊行氏
株式会社ゆめみ 代表取締役 片岡俊行氏

習慣化の最初の一歩は「範囲目標」の設定

 20年前に創業した当初、代表取締役の片岡俊行氏をはじめ、創業メンバーは全員学生だった。「全員CEO制度」や「有給取り放題」「給与は自己決定」など、ユニークな経営で知られる株式会社ゆめみ。実は日本で最もQiitaやSlackを活用し、毎月5000万人が利用するBnB2C共創事業を展開するエンジニア集団である。

 そんなゆめみもコロナ禍で完全リモートワークを余儀なくされ、社員の生産性が低下した。そこで社内でサークルを立ち上げ、習慣化を達成するための取り組みを行ったところ、なんと習慣化達成率95%を実現したのだという。習慣化とは、性格や意思の力によるものではなく、技術だと言い切る片岡氏が実践しているのが「7つの超習慣技術」だ。

  1. バカらしい目標設定をする
  2. コミュニティの力
  3. 過半数の法則
  4. トリガー設計
  5. ネガティブ化
  6. 積読のススメ
  7. 月曜日が楽しくなる

 まず、習慣化において一番大切なのはやはり「目標設定」。だが、ここで陥りがちなのが「高すぎる目標設定」だ。意気揚揚と高い目標を掲げても、三日坊主で終わってしまっては意味がない。そこで片岡氏が紹介した超習慣技術の1つ目は「バカらしい目標設定をする」こと。高い目標とともに最低限の目標を定める「範囲目標」という考え方である。一番高いMAX目標と一番低いMIN目標を設定し、その範囲に入っていればOK。MIN目標はバカらしいほど低くていいのだと強調する。

 「読書をするという目標であれば、本を開いて1行読む。日記を書くなら『日記書くの面倒くさいな』って日記に書く、ジムに通うのが面倒なら、玄関にある運動靴に足を通すだけでOKとか。バカらしいぐらい簡単なミニマム目標を設定すればつまずかないし、乗り越えられるんです」(片岡氏)

「範囲目標」という考え方
「範囲目標」という考え方

 興味のないような作業でもやっているうちにやる気や集中力が出てくるという「作業興奮」と呼ばれる心理現象に基づいた理論である。

 とはいえ、目標を設定したもののなかなか走り出せないという人もいるだろう。そこで次に大事なのが、身近な友だちに目標を宣言すること。それが、2つ目の「コミュニティの力」だ。宣言する友だちは親友である必要も、大人数である必要もない。宣言を聞いてくれる人であれば誰でもOK。大事なのは、毎日報告すること。その報告内容もごく簡単な内容、できなかったらできなかったことを伝えれば問題ないという。

「コミュニティの力」大事なのは、毎日報告すること。

「コミュニティの力」で大事なのは、毎日報告すること。

誰もが達成できる思考法『不死鳥フェニックス』

 片岡氏は、スクラムを例に、毎週月曜だけしかデイリースクラムを行えていない開発チームがあるとすると「えっ? デイリースクラムなのに週一回って、どういうこと?」と思う人もいるだろうと語る。しかも月曜は祝日も多いため、その際はお休みしていると聞くと「デイリーどころか、ウイークリーですら習慣化していないのでは?」と習慣化できないと諦めてしまうだろう。

 ここで、3番目の「過半数の法則」が登場する。ダイエットのように1週間毎日行うものであれば過半数の4日、平日5日間行う習慣であれば3日でいい。もし2日しかできなかった、あるいは1日しかできなかった場合は、1カ月のスパンで考えてみる。

 つまり、4週間あるうちの1週が未達成でも、2週3週4週が達成していれば、過半数を達成できているというわけだ。それでもダメなら1年の四半期単位で考える。片岡氏はこの絶対に未達成とさせない、誰もが達成できる思考法を、奥義『不死鳥フェニックス』と名付けている。

奥義『不死鳥フェニックス』もとい、「過半数の法則」

絶対に未達成にさせない、奥義『不死鳥フェニックス』

習慣化するためのトリガー設計と、悪習慣を断ち切る方法

 4番目の技術は「トリガー設計」。「もしこうなったら、こうする」というif-thenルールを立て、習慣を実施するためのトリガーを用意する実行計画だ。

 「例えば、PCデスクを整理整頓したい社員がやっているのは、『ノートPCの上にウェットティッシュを置いて仕事を終える(トリガー設定)』すると『次の日仕事をしようとノートPCを開けようとするときに(if)』『必ずウェットティッシュがあるから、それで机やPCを綺麗にする(then)』。面倒くさくてゴミ捨てに行かない人は、『ゴミがたまったらゴミ袋を玄関に置いておく(トリガー設定)』そうすれば『翌日外出するとき(if)に』『ゴミ捨て場にゴミを捨てる(then)』。このような仕組化がトリガー設計です」

if文のような「トリガー」

if-thenルールによる「トリガー設計」

 しかし、このトリガーは悪い習慣も習慣化してしまうことがある。例えば、スマホを見たらゲームやSNSをしてしまう、ソファーがあったらつい横になってしまうなど。対策としては、なるべくトリガーとの接点を避けることだが、そのトリガーが自分の好きな食べものだったり、中毒的にハマっているものだったりすると、なかなか難しい場合もある。その連鎖を断ち切る技術が、5番目の「ネガティブ化」である。

 例えばコーラであれば、ドブネズミのエキスが入ってる、チョコレートアイスの茶色はコオロギの粉をまぶして作っている、ケーキのクリームはラーメンを食べすぎた人の脂肪の塊でできているなど。それを2時間くらい想像することで、行き過ぎたポジティブ化を中和し、遠ざけやすくなる。

ネガティブに感じる習慣をポジティブにする思考法

 しかし、このネガティブ化にも罠がある。いい習慣にしたくてトリガーを作っているのに、それがネガティブ化されてしまうことがあるのだ。その代表的な例が「積読」である。積読とは、購入した本を自宅に積んだままにしている状態。ネガティブなイメージで捉えている人がほとんどではないだろうか。だが、読みたくて買った本を積読することを、「ネガティブに捉えなくていい」と片岡氏は言う。

 例えば、家の冷蔵庫に飲み物や食べ物がたくさん入っていても、冷蔵庫に「積食」しちゃった、などとネガティブなイメージを持つ人はいない。むしろ何を食べようかなと、ワクワク楽しくなる人のほうが多いだろう。この違いは、「食べ物は腐るが本は腐らない」ことだと片岡氏は指摘する。つまり、食べ物は腐るから緊急性があるが、本は腐らないから緊急性がないというわけだ。

「食べ物は腐るが本は腐らない」

「食べ物は腐るが本は腐らない」

 もう一つは、食べ物は味や栄養素などの知識があるので、自分の中での優先順位が決められるが、本の優先順位は読まないとわからない。そこで片岡氏が勧めるのは、パラパラとでいいので本の中を見て、「こういうことが書かれているのか」と理解することだという。

 「本も試し読みすることで、『この本は娯楽系でおやつみたいなものだから楽しみにとっておく』『この本は必要だからすぐ読まなくていけない』といったことが判断できる。本の内容が理解できたら、優先順位を決めることが可能となります」

 だが注意したいのは、本にも「旬」があるということ。もちろん、その「旬」は人によって異なる。例えば、会社でスクラムマスターをやることになった人にとっては、アジャイルやスクラムの本が旬だが、そうでない人には旬ではない。自分の旬に合わせて優先順位を決め、最終的に「自分に必要ない」「旬じゃない」と思った本は売ったり、人にあげたりしてほしい、と片岡氏はアドバイスする。

 選りすぐりの本を選ぶコツとしては、5冊のなかから1冊を選ぶよりも、2:8の法則にのっとり、25冊から選りすぐりの5冊を選び、その中から自分の旬に合った1冊を選ぶ。そういうふうに積み上げられた本をネガティブにとらえない。それが片岡氏の読書思考法、6番目の「積読のススメ」なのである。この思考法は、仕事のタスクにおいても役立つ。同様に選りすぐりのタスクリストを作成すれば、仕事に対するモチベーションも上がるのではないだろうか。

「月曜日が楽しくなる」思考法とは?

 最後にお届けする超習慣技術、7番目は「月曜日が楽しくなる」方法。日曜日に月曜日のことを考えると仕事に行きたくないと憂鬱になってしまう人は少なくないだろう。片岡氏は、これは土日の楽しさと月曜日からの仕事に「落差」があることが原因だと分析する。

仕事に「落差」があることが原因

土日と月曜日の「落差」が原因

 落差をなくす解決法は、土日に旬の読書をすることで、土日も仕事をしていると考えること。もし読書をする時間がなければ、金曜日の仕事の終わり方をポジティブに意味付けするだけでも良いと片岡氏は言う。

 「やっと面倒くさい仕事が終わった。疲れた…」「上司から不条理なことを言われた」など、ネガティブな意味付けで金曜日の仕事を終えると、その仕事とネガティブな感情が紐付けされてしまう。しかし、「いろいろあったけど、これを続けていけば自分の成長に繋がる」というように、ポジティブに捉えることで、仕事とポジティブな感情が紐付けされる。すると日曜日を終えて、月曜日からの仕事を思い出すタイミングで格納されていたポジティブな記憶が引き出されるから、月曜日が楽しくなる。

 片岡氏は「今回ご紹介した7つの超習慣技術は誰もが身につけることができる技術であり、思考法。ぜひ皆さんも実践してほしい」と参加者にメッセージを送り、セッションを終えた。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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