はじめに
前回は、アジャイル開発やDevOpsが求められる時代において、「アジャイルテスティング」の必要性について解説しました。今回は、テスト自動化をうまくすすめるための戦略を考えていきます。
テストと品質の現状分析
筆者は、mablの仕事とは別に、QA組織の立ち上げや、アジャイルテスティング実現の支援を行っています。そうした仕事の事前準備として、その開発組織におけるテストと品質の現状分析を実施しています。
なぜこのような作業が必要になるかというと、企業によっては部署ごとにサイロ化が進んでおり、それぞれが何をやっているかわからず、似たようなテストを複数の開発チーム/メンバーで行ってしまうケースが多いからです。
これだと非効率なのはもちろん、間に落ちたボールが拾えません。ボールが落ちた結果、責任のなすり合いに発展するのは悲しいものです。
現状分析は、関係者の視点を揃えるサポートにもなります。ざっくりとでもいいので分析ができると、それが地図となり、改善の道標になっていきます。
現状分析のポイントは以下の通りです。
- どんなテストがあって
- それぞれが何を守っていて
- 何ができていて、何ができていないか
これらが整理できれば、理想とのギャップを認識し、そのギャップをなくすためにどうすべきか? と考え方が未来志向になります。できない理由を探すのではなく、できる方法を考えるべきです。
DevOpsのプロセスに合わせた分析もできます。例えば上記の図の場合、横軸にDevOpsのプロセスを置き、縦軸にプロダクトオーナー、フロントエンジニアといった役割を並べて、それぞれのプロセスと役割から見た問題や課題を洗い出しています。
複数の役割で似たような問題が出ている場合、改善するとその効果は大きくなります。