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救急医療の現場で動き始めたDXの舞台裏(AD)

救急隊を巻き込んで進化する医療システムの裏側を解説――音声入力とOCR技術が救急医療現場に革新をもたらす?

一人でも多くの命を救うためのシステム開発とは? 救急医療の現場で動き始めたDXの舞台裏 第4回

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音声入力の精度を高め、現場で使ってもらえるシステムに

 精度を高めることに注力しているとは言え、課題もある。音声入力もOCRもどれだけやっても100%にならないからだ。「自治体や消防隊員、救急隊員はシステムに対するゼロリスクの信仰があり、100%稼働することを期待するんです。だから音声入力で誤認識があると『バグではないか』、OCRで血圧の数値が入力されないことがあると『こういうエラーが出るシステムでは困る』と言われます」(園生氏)

 しかし、何度も自社でテストを実施することはもちろん、現場でも使ってもらい、意見を積極的にもらったという。実際、同社システムを活用している神奈川県鎌倉市の消防署に所属する救急隊員へのアンケートを実施したところ、音声入力の有効性は55%だったが、画像OCRの有効性は94%という回答があった。

OCRした結果はこのようにアプリに取り込まれる
OCRした結果はこのようにアプリに取り込まれる

 OCRに関しては高い満足度が得られている一方で、「音声入力に関しては若い人たちから、フリック入力したほうが早いという意見をもらうことも多いですね」と園生氏は話す。

 TXP Medicalが日頃から大事にしているのが、ユーザーとのコミュニケーションである。「AIを使った仕組みと言うと、魔法の杖のように思われがちですが、実際にはいろいろな技術を組み合わせて作っています。精度を上げられることには精一杯、これからも取り組んでいきますが、100%にはならないことを理解してもらえるよう、より積極的にユーザーとコミュニケーションを取っていこうと思います。これは私たちのチャレンジです。せっかく開発しても使ってもらえないと、意味がなくなるので」(水島氏)

 今後、TXP MedicalではFileMakerとの技術的な組み合わせで、どんなことを解決していくのか。園生氏は「もっとハンズフリーにしていきたい」と力強く語る。

 園生氏が今最も注目しているのがSiriとの組み合わせだ。OCRは月間4000件ぐらいの救急隊の出動があり、OCRのトランザクション数は月間約1万回以上。それぐらい活用されている中で、満足度の高さを得ているOCR同様に、音声入力の満足度を高めたいという思いがあるからだ。

 Siriをはじめとする、グローバルな汎用AI技術は年々、精度が上がっていく。救急医療の現場で活用するために、その汎用のAI技術と組み合わせるのが、救急医療というニッチ領域で活用するためのTXP MedicalのAI技術である。同社ではそこにフォーカスして開発を強化していくのだ。

 「例えば『Hey Siri、今から既往歴を言うよ』と手軽に音声入力ができるようになると、ドクターカーやドクターヘリなど、救急搬送の場面でもっと使えるようになるという意見をよくもらいます。音声入力に対する市場の期待は大きいので、その期待に応えていきたいですね」(園生氏)

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この記事の著者

中村 仁美(ナカムラ ヒトミ)

 大阪府出身。教育大学卒。大学時代は臨床心理学を専攻。大手化学メーカー、日経BP社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランス編集&ライターとして独立。現在はIT、キャリアというテーマを中心に活動中。IT記者会所属。趣味は読書、ドライブ、城探訪(日本の城)。...

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