その他のテスト機能
ここでは、VSTTに用意されているその他のテスト機能について簡単に紹介します。それぞれのテストはあまり頻繁に使われることはないかもしれません。しかし、これから紹介する機能が用意されていることによって、VSTTではカバーしきれないさまざまなテストのテスト内容およびテスト結果をVSTS(正確にはVisual Studio 2005 Team Foundation Server)に統合管理することができるようになります。VSTTとTFSの連携についてはいずれ回を改めて紹介したいと思います。では、手動テスト、汎用テスト、順序指定テストについてみていきます。
手動テスト
手動テストはツールによる自動化が難しい人の手による作業が必要なテストをVSTT上で管理するための機能を提供します。VSTTで手動テストを作成すると、そのテストの実行手順を示すドキュメントファイルをテストに関連付けることができます。通常この手順書はMicrosoft Office Word 2003(またはそれ以上のバージョン)かテキストファイルとして作成されます。
作成した手動テストを実行すると図11のような画面が開きます。
図11の下側には手動テストに関連づいている手順書が表示されています。実際にテストを行う際にはこの手順に基づいて手作業にてテストを行います。テストの結果、成功したのか失敗したのかは上側に表示されたラジオボタンで設定し、テストの際に問題になった点などはコメントとして残すことができます。一見回りくどいような感じがしますが、テストの内容と実行結果がVSTT(場合によってはその後ろで連携するTFS)によって一元管理されるメリットがありますので、多数の開発者やテスト担当者がかかわるような場合には重要な機能の1つではないかと思います。
汎用テスト
汎用テストはVSTTの外部に定義された実行可能形式ファイルを呼び出し、その実行結果を取得してテストの成否を判断するための機能を提供するものです。汎用テストでは、実行可能形式ファイルであればどんなファイルでも実行することができますが、基本的にはコマンドラインで実行されるアプリケーションが望ましいです。また外部ファイルの実行時にコマンドライン引数を設定したり、テストの実行前に依存関係のあるファイルを自動的に配置したり、テスト用に環境変数を疑似的に作成したりといった機能も同時に提供されます。これらはVisual Studio上で汎用テストを編集することで設定することができます。次の図12は汎用テストの編集画面の例です。
汎用テストの機能を利用して、例えば以前にNUnitで作成された単体テストケースをNUnitでそのまま利用したまま、テストの成否をVSTTに統合することが可能となります。手動テストとの使い分けとしては、手動テストは人間の手作業による介在が必要なのに対し、汎用テストは人間の手作業による介入は必要ありませんが、VSTTには統合されていない自動テストを実行する際に利用するといった方法になります。
順序指定テスト
順序指定テストは、VSTTで作成したロードテスト以外のテストを指定した順番どおりに実行させる機能を提供するものです。個別に作成された単体テスト同士やWebテスト同士を順番どおりに実施させたいときに利用します。単体テストを順番どおりに実施したい際にそれ用の単体テストを作成することもあるかと思いますが、そのような際には順序指定テストが有効活用できるかと思います。
さて、次の図13は順序指定テストの設定画面です。
右側のリストに定義された順番にテストが実行されることになります。また、それぞれのテストを実施した結果、失敗していても継続するかどうかも選択することができます。
順序指定テストには手動テストや汎用テストも含めることができますが、手動テストに関しては若干注意が必要です。VSTTのGUI上で順序指定テストを実施した場合には手動テストの順番になった際に作業をするように促されますが、コマンドラインから順序指定テストを実行した場合には一時的に手動テストの部分だけが削除された状態でテストが実行されます。この点は注意してください。